2009年6月30日火曜日

【ホンヨミ!】ムーミン谷のひみつの言葉【大賀】

冨原眞弓著「ムーミン谷のひみつの言葉」(2009年、筑摩書房)
2009年6月30日読了

***

 私は「ムーミン」が大好きだ。幼い頃は、ムーミンというキャラクターの可愛さだとか、スナフキンの格好良さだとか、ニョロニョロの怖可愛さに魅力を感じていた。勿論その気持ちは今でも変わらない。だが今になって「ムーミン」という作品に感じる新たな魅力は、人間の真理を言い当てたような言い回しの素晴らしさである。本書は、1954年よりロンドンの夕刊紙「イヴニング・ニュース」に掲載されたムーミンの連載漫画より、各キャラクターの特徴とその名台詞を抜粋したいわゆるまとめ本だ。連載漫画本編を読んだことが無い人でも十分楽しめる。また筆者自身が、「ムーミン」コミックスの翻訳を担当した人物であるがゆえに、作品やキャラクターの解釈に妙な「こじつけ感」は無い。「ムーミン」を良く知らない人にも読んでもらいたい名著だ。以下、私が好きな台詞をいくつか抜粋する。

●何かを手にいれようと思ったとたんに、めんどうなことがおこるものさ(スナフキン) 
 自由な旅人、スナフキンらしいこの一言。スナフキンは常に自由であることを望む。たとえモノであっても、それに縛られて自分の行動が制限されることはあってはならない。「所有」には必ず「不自由」が付き纏うことを彼は知っている。だから彼は必要最低限のモノしか持たない。旅先で宝物を見つけたとしても、それを思い出の中にとっておけばそれで良い。
 人間は常に何かを欲しがる。そしてそれを常に手元に置いておかないと気が済まない。モノであれ、地位であれ、名声であれ、愛であれ、何らかの形あるモノを手に持っておかないといけない。「欲望」は、人間の最大の特徴であり、愚かさの象徴である。しかしその「欲望」に囚われているということはすなわち、人間は常に束縛されているということなのだろう。全てを捨ててスナフキンのように旅に出ることは難しいだろう。だが時には両手に抱えたものを手放して、ほんの少しの期間であっても自由を味わうのも良いかもしれない。

●そういうことは、自分からはいわないものなのさ(ムーミン)
 ムーミンはスナフキンの親友である。ムーミンはスナフキンのことが大好きで、彼がやってくることを心待ちにしている。彼等はいつも一緒にいるわけではないけれど、その間には「離れていても友達だ」という強い絆がある。だがムーミンは、スナフキンに対して「親友」だとかそんな言葉を使ったりしない。本当の親友は、わざわざ声に出して確認せずとも自ずとわかるものだからだ。周囲にも自ずと伝わるものだからだ。
 小学校のとき、「私たち、親友だよね!」と一番仲の良かった子に言われたことがある。確かに仲良しであったことには変わらないのだが、そう言われることには違和感があった。成程、違和感の正体は、こういうことか。わざわざ口に出していることはすなわち、親友であることに不安を感じていると露呈するようなものなのだ。

●生れるのは小さな子どもだけよ!(ミイ)
 ちびのミイは子どもらしい素直さと狡猾さを持った存在として描かれている。「ここに大物は居るか」という質問に対し、素早く答えたのが上記の言葉だ。確かにその通りだ。大物は大物として生れてくるわけではない。人間は皆、何も知らない赤ん坊から始まっている。どんなに素晴らしい人でも最初は皆子どもだった。そして、大人であっても子どもっぽい人だっている。だから真の大物なんて存在しないのだ。・・ミイの台詞を見ると「がんばろう」という気持ちになる。どんなに素晴らしい人だって、皆悩み多き学生時代を過ごしていたに違いない。ならばクヨクヨするのはやめて精一杯頑張ってやろうじゃないか!

【ホンヨミ!】疾走する精神【金光】

『疾走する精神』 茂木健一郎

前に茂木さんの本が回ってきたときになんだか印象に残ったので、メディアの新着図書コーナーで見つけて読んでみた。今回は短編のつながりだったため軽い。こんなふうに今までは食わず嫌いしていた範囲に手を伸ばすようになったのは、ゼミで先生が貸してくださっているおかげ。
今、たまたま筆者の経歴について奥付を見ていたら、小林秀雄賞をとっている著作があった。小林秀雄が本文内に何度も出てくるのはそこに関連するのかと思った。

あなたにとっての無限とは何ですか
それはあなたの日常に数えきれないくらい存在します
という内容が一番印象的。詳しくは本文で。でも、言われれば当たり前のことに気づくか否か。当たり前のこと同士を理屈で関連付けるとどうなるか。茂木さんの文はそういう感じがする。とても頭が柔らかくて、結びづける材料となる知識が豊富なんだと思う。
また、中に小林秀雄と永井龍男がエントロピー(乱雑さ)について、横須賀線車内~帰り道とずーっと話し続けてもまだ理解できず、ついに小林が永井を道の脇の溝に突き落とし、「これがエントロピーだ!」と示したという話があった。私よりもはるかに知識の豊富な人が、こんなにつきつめても言葉では示せないような内容なのに、私が茂木さんの本を読んでわかった気になっているのは、本当の理解ではないのだろうか、と思った。

【ホンヨミ!】オーバーアチーブ【金光】

『オーバーアチーブ』 古田興司

あっという間に読み終わってしまった。
特に、違和感を覚えることはなかった。普段自分が考えていることにとても当てはまっていたような気がした。

普段自分がどんなふうにあろうと心がけているか、という具体的な行動がかなり筆者の考えと合致した。自分は実際に100%できているとは思わないけれど、でも日々心がけていることをまとめられた感じだな、と思った。
ただそこで思ったことは、自分の存在も行動はまだまだ「ひよこ」であって、まだまだ自立していないこと。当たり前のことかもしれないけれど、今の自分は、余裕のある「親鳥」の目や振る舞いではなく「ひよこ」として必死だなと感じた。人から学ぼう、とか素直であろう、と気をつけていることでいっぱいいっぱいな気がした。でも、それを一生懸命にこなすことで、いつの間にか自分がしてもらっていたことを今度は後輩に教えてあげられる、ものだと本にも書いてあった。どんなに上り詰めたとしても、絶対的にトップに立つことはなくて、常に学ぶべき存在はいる。この文を書いていて、誤解されてしまうかもしれないけれど、自分を奢る気持ちはもちろん皆無。でも、正直、このまま「ひよこ」のまま終わってしまうのではないかな、とふと不安になってしまった。
もっとも、不安になっている暇はなくて、全力で集中して、やるべきことはいっぱいある!
冒頭にもあるように、仕事のスピードは早い方がいいんだから!!

【書評】新聞社―破綻したビジネスモデル―【栫井】

新聞社―破綻したビジネスモデル―/河内孝

あくまで私の勝手なイメージなのですが、新聞社というものに対して私はあまり明るいイメージを持っていません。発行部数が落ちている、広告費は下がっている、という意味だけでなく、記者クラブの存在であったり匿名の後ろで自分の主張を並べていたり、薄暗いイメージが捨てきれないからです。
著者は本書の中で、新聞社の腐敗の原因を部数至上主義だと捉えている一方、インターネットの登場も新聞社の転換のターニングポイントとして見ている。読売や朝日、大きなシェアを持つ新聞社に対抗すべく、毎日新聞はインターネット上の覇権を狙っている。有料と無料を使い分け、ニュースを配信していくシステムは今後どのように発展していくだろうか。単純にニュースだけを見たいのなら、Yahoo!のトップページで事足りる。そのニュース元が毎日新聞だが、果たしてそこに集中してしまうことはどうだろう。私は毎日新聞に目を通すが、真剣に読むことはなかなかないのが現状だ。暇なときに惰性であれ読み、ニュースなどに対して記者というニュースのエキスパートがどのような解釈を加えるかを読んでいくのが楽しいと思う。新聞がないと生きていけないか、と問われると否と答えざるをえない。だが新聞がなくなってしまうと、確実に人々のリテラシーは精度を失い、気軽にさまざまな意見に触れるチャンスを失うことになると、私は思う。 

【ホンヨミ!】「すごい会議-短期間で会社が劇的に変わる!」【大賀】

大橋禅太郎著「すごい会議-短期間で会社が劇的に変わる!」(2005年、大和書房)
2009年6月29日読了

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本書を手に取りまず驚いたのは著者の経歴だ。とにかく「型にはまらない」生き方をしていると思う。悪く言えば落ち着きのない変人といったところか。大橋氏のような人生は欧米においてはありふれたものなのだろうか?詳しくはわからないが、どちらにしろ、「しっかりと義務教育を受けて良い大学に行って良い会社に入ってそこで働き続ける(女性であれば、きりのいいところで辞めて結婚する)」という日本社会のステレオタイプ的考えがいかに古くさいものか、ということを知らしめる。この考えに基づいて、大橋氏のことを「とんでもない変人だ」と思ってしまう私自身、やはり日本人的だなあとも思い何だかやるせない気分になった。
本書は「すごい会議」と題されている。物語中盤に出てくる「9時間の会議」がいわゆる「すごい会議」にあたるのだろう。だがその中身は、たとえば会議中は集中して聞くこと、発表内容を紙に書いてから発表すること・・など、言ってしまえば「当たり前」の事柄ばかりだ。現に、金ゼミでは毎週行っている。それを「すごい」と賞賛することが果たして正しいのかどうか。それを賞賛するほどに日本企業の会議というものが酷い状況だということか。不安になってしまった。
 ただこの本は良書であると思う。巻末に「チェックシート」が付いているのも面白い。今の自分の状況(金ゼミであれ、他の場であれ)に満足せずに、常に見直していようと思った。

0626ゼミの感想

遅れてしまって申し訳ありません!今後ないようにします

・英語
とりあえず自分の英語力のなさに愕然としました。力つけたい、と思います。変な見栄とかそういうので、逃げてきたのが原因かなぁと。わたしの一番ダメなところが、英語力にはもっとも影響しているようです。専門的になればなるほど、もっと高度な英語の力が必要になります。もしも社会に出て英語を扱うなら、すごく高いレベルを目指さなかればいけないなと思いました。

・NC
渋谷にあるあれに、デジタルサイネージという言葉がついてたなんて初めて知りました。電車のCMやウォルマートの例などはものすごく画期的だなぁと思ったのですが、もしも世の中の看板が全部デジタルサイネージにとって代わられたら非常に目に優しくない世の中ににるのではないか、と個人的な主観ですがものすごく思いました。特に日本は広告が多すぎな気がします。広告が少なければ、逆に目立って効果も上がると思うけど、きっと減らないんだろうなぁ。目の休まる暇がないから、人々の疲れにも影響するようです、広告。
デジタルサイネージにはちゃんとした収益のモデルがないというのにびっくりしました。本当にまだ試作段階で、これから伸びていくものなのだなぁと。嗅覚や味覚にまで訴えたれたら、本当に映像の限界を超えることになりますね。

0626ゼミの感想

遅れてしまいもうしわけありません

英語

前回に引き続き、みなさんの独自な切り口からのプレゼンはとても興味深く拝見させていただきました。特に、宮村さんや岸本さんは扱っていたテーマは日本語でも難しいものだと感じました。本当にみなさん英語が上手で、最近は焦りすら覚えています。英語力はいづれ必要なものであるし、今後も培っていかねばならないと改めて感じた。話す事に重点を置いていきたいと思う。

NC

担当者の方々お疲れさまでした。
デジタルサイネージは最近耳にするようになった言葉であり、実体はいまいちよくわかっていなかったためとても勉強になりました。デジタルサイネージは利用例が今後変化していくであろうメディアです。そのような新しいメディアについて早いうちに知識を深められてとてもよかったです。以前デジタルサイネージについて学習したときには、底の浅いメディアだと感じていた。モバイルが今後進歩していけば、わざわざOOHとしてのデジタルサイネージは必要ないと考えていたからです。しかし、今回のプレゼンを聞いて、push,pull型の両方を兼ね備えたメディアなのかと感じました。今後の動向にも注目していきたいです。

【書評】著作権とは何か―文化と創造のゆくえ 【栫井】

著作権とは何か―文化と創造のゆくえ/福井健策

最近なにかと扱うことの多い「著作権」。この本は、条文から解説してくれるいわば著作権入門だ。
中でも、古本屋や中古CDショップと著作者との関係についての項目が印象に残った。確かにこれらの店では、著作権が行き来することなく商品だけが人の間を動いていく。自分の創ったものが自分の手の届かない場所で取引されているのを、著作者はどのような思いで見ているのだろうか。
消費者と商品の関係が多様化するにつれて、著作権の扱い方もあいまいになっていく。先日の著作権法改正のNCで、無料動画サイトからのダウンロードが特に規制されていなかったことに少し驚いた。私自身はダウンロードしたことがないが、無料のダウンロードソフトもいろいろ出回っている中、権利の絡む問題をそのまま捨て置いたことはいかがなものだろう。先生が法改正のような問題は、議論で決まったものではないと仰っていたが、もっと活性化された議論でより実用化するような改正をしていくべきだと思った。市場のイノベーションには著作権の問題が絡んでくる。活発なイノベーションを促進したり、より確実に権利者を保護するために、著作権のより効果的で活発な見直しは必要なのではないかと感じた。

0626ゼミの感想(?)

 投稿が遅れてしまい、申し訳ありません。

 私はゼミが始まってすぐに早退してしまったので、ゼミの時間に体験したこと・考えたことを書きます。

 今回私は、末期癌患者の緩和ケアをしているお医者さんに取材をしに行った。彼の仕事は、既に改善の兆しがない癌患者の痛みや苦痛を緩和すること。要はホスピスを営んでいる。取材場所に行くまで私は本当に気が重かった。末期癌患者の生活が、患者本人にとってもその家族にとっても苦しくて辛くて、暗いものであるいことを、自分の体験やテレビドラマなどから知っていたからだ。そもそも“死”は暗いものだ。少なくとも日本人にとっては、明らかに“死”は暗く、“非日常的”なものだと思っていた。しかし、今回そんな考えが少し変わった。なんと彼が見せてくれた映像では、間違いなくまもなく“死”を迎えようとしている末期癌患者の人々が、明るく充実した生活しているのだ。その映像をみたとき私は、緩和ケアという医療の素晴らしさと、“死”の認識が人に与える影響が様々であることに驚いた。その医者は「“死”は決して暗いものではない。その認識を払拭していきたい。」と言っていた。末期癌患者は、“死”と隣り合わせで生きているからこそ、一日一日を大切に、一瞬一瞬を丁寧に生きているのだ。もしかしたら、人は“終わり”があるからこそ、本当に大切なものや本当に必要なものがクリアに見えてくるのかもしれない。
 何をするにしても、常に終わりを意識することで、今が活きてくるのだと思う。
 それにしても、人の命を救うだけが医療の役割ではないな、とつくづく思う。

ゼミの感想

何を思ったのか、すでに書いていると勘違いしていました・・すみません。

・英語プレゼン
自分の英語力、会話を成り立たせる力の不足を痛感しました。と同時に、みなさんがわかりやすい単語で自分のプレゼンを進めていくのをみて、すごいの一言でした。

合宿ではテーマ「英語」を扱って、英語村などにも行く予定なので、しっかり会話力をつけてこようと思います!
プレゼンの上手い人を見ていると、その人の持っている自信が現れていて、それは英語プレゼンに限ったことではないと思います。自分のプレゼンに自信が持てるように、努力したいです。

この日は、蕁麻疹が出ていて、あまりに辛かったので早退させていただきました・・・。
病院にいきましたが、原因はわからないままです。怖い・・・。

NC、興味のある分野だったこともあって、ぜひ見たかったです!
pptを見たり、感想をよく読んで、できるだけ遅れをとらないようにします。

2009年6月29日月曜日

ゼミの感想

すみません。ブログアップが遅れてしまいました。反省してます。

●英語プレゼン
 先週に引き続き、とても楽しい時間だった。単語力の必要性を再認識したので、土曜日から単語帳を再びやりはじめた。プレゼンの途中、質問の答えが出ずフリーズした時、先生が教えてくれた他の人に逆に質問を振ってしまうかわし方は、逆に話もはずんで面白いと思った。
 何人かも書いているように、自分も原稿丸読み状態だったので次回(あれば)は原稿なしで臨みたいところだが、このような場はその後のディスカッションが一番大切だと思う。原稿や流れを覚えるか覚えないかは記憶力と気合いの問題で、特に即席の英語で話す機会の少ない僕らにとって重要なのは、コミュニケーションにおいて即座に意味をなす言葉を生みだすこと。しっかりとした準備&積極的アウトプットを念頭に置いていきたい。

●NC
 自分たちが普段何気なく目にしているものが、実はデジタルサイネージというカッコイイ名前だったことは初めて知った。学校の食堂にもあるし、バイト先の病院にもある。だから少々後付けっぽい。
 最後議論が行きついたのは、「その国に合ったデジタルサイネージ」ということだったと思う。買い物のスタイルが異なる日本において、ウォルマートのような海外のものをそのまま真似したところで上手くいかないという懸念もあるようだ。さらに、共通の規格を設け、ネットワーク化するという大規模なインフラ投資を行うほど価値のある広告媒体なのか、少々疑問を感じた。ポスターや看板などの導入コストの低い広告に比べ、消費者に対しての有効性はどの程度上がるのだろうか。消費者を不快にしない配慮も求められる。
 さらに、デジタルサイネージはローカル性が高く、中央集権的に管理することは効率が悪いだろう。今後しばらくは自律的に発展していくのだと思うが、ネットワーク化が進むとすれば、草の根的に広がっていくような気がする。

【書評】新聞社 破綻したビジネスモデル【勝部】

毎日新聞の元常務が新聞経営の危機について書いた本。

私は上京するや否や新聞業界に足を踏み入れ、今でもそこにどっぷり浸かっている身なのであるから、この本は前々から読んでみたいと思っていたが、かなり期待はずれの部分が多い。一つは、著者は新聞経営に長らく携わっているが、所詮編集局出身であり、販売については素人の域を出ないということ。もう一つは、毎日新聞という大手の中ではマイナーな新聞社の個別の事情が色濃く出されており、それを新聞業界全体に当てはめるのは無理があるということだ。

今、現場の最前線に立つものとして、新聞経営について言えば、かなり危ないのは言うまでもない。しかし、部数の落ち込みは、特に都市部で著しいが、田舎では逆に微増している地域も少なくない。これは田舎の販売所の独占的システムと田舎の客層が新聞好きであることが要因だろう。田舎の安泰はあと20年は続くと思う。一方、都市部では今後10年以内に部数の激減に見舞われ、部数至上主義も変わってくるだろう。

また、私が勤める新聞社の各販売店について言えば、著者がいう以上に裕福だ。給料とは別に食事代もタクシー代もインセンティブも「大丈夫か?」と思うくらい気前よく払ってくれる。それに私が見たところによると、販売店の所長はたいてい新聞社側よりも立場が高い。そんな力関係では「押し紙」なんてとても無理だと思う。実情を聞いたことは無いが。

とはいえ、業界の誰もが嘆くことは将来性の無さだ。その中でも絶望的なのは、読者の高齢化と広告費の削減だ。もっとも先立たれやすい層が新聞を支えているのはあきらかで、この構造は明らかに危険だがどうしようもない。広告費の落ち込みは、特に折込の落ち込みが深刻だと聞くが、こちらもどうしようもないように思える。どっちにしても、新聞がどんどん斜陽化していくのは目に見えている。

【ホンヨミ!】見える化【金光】

『見える化』 遠藤功

「見える化」というのは聞いたことがあったけど読んだのは初めて。
正直、最後までこの言葉に慣れなかった。だって日本語的にちょっとおかしいから。見えるか?っていうのと掛けているのかもしれないけど、言葉の内容がすぐに変換できなくて、ぴんと来ない単語はキーワードとしてあんまり良くないんだなと思った。

都合の悪いことも見えるようにして、見えるようにする視点もさまざまに設定すること。
そういえば小学生のときはこれが日常だったな、と思い出した。書道や絵などの作品はもちろんクラスには宿題の日記がとか、班ごとに名前を書いた紙とか、この前の漢字テストの結果の一覧とか。中学、高校と経るにつれてそういう掲示物はなくなった。小学校の教室はそのクラスや先生のカラーが表れていて、おもしろかった。どんな意図があったのかなんて考えたこともなかったけど、お互いに刺激を受けたり、相手のことを知ったり、見られることを意識して書くようになったり、効果があったな、と思う。
たぶん歳を重ねるうちに、そのほかで忙しくなるから、教室の掲示板のような取組は合理的でないとして省略されていくんだと思う。

本の中のノウハウの見える化は、ここまでするかー!と少し違和感を覚えた。全部がマニュアル化されていて、新しい効率良いやり方を考案する「遊び」の余裕まで奪ってしまうのでは、と思った。
自分自身がマニュアルに基づいて仕事をしていた時、あまりにも細かいその決まりに、目的を見失ってしまった。本来の仕事を行うことではなく、マニュアルを厳守することが目的になってしまった。
何事にもある程度のゆとりは必要だと思う。

0626ゼミの感想

【英語プレゼン】

プレゼンターの方達それぞれの個性あふれるプレゼンでおもしろかったです。原稿を見ずにすらすら話している方もいて、すごいと思いました。私はプレゼンをした時、用意してきた原稿に気を取られてしまい、英語を使うよりも、英語にひきずられた感があったので、ぜひ見習いたいです。また、どのプレゼンターの方からも、一生懸命伝えようというという気持ちがすごい伝わってきました。英語の流暢さより、まずはそうした気持ちが、コミュニケーションの上で最も重要なことだと思います。

【NC】

デジタルサイネージは聞きなれない言葉でしたが、渋谷の大きな電光掲示板や電車内の電子画面がそうだときいて、意外と以前からあるものなんだなと思いました。渋谷Qフロントのあの大画面程の大きさであればデジタルサイネージはインパクトがありますが、テレビ程のサイズだと、街を歩いていて数ある広告の中でそれに注目するという可能性は低いかもしれないと思いました。いくらコンテンツが新しい画期的なものであっても、それを映す画面がテレビとあまり変わらないものであれば、通行者はコンテンツの内容を見る前に、瞬間的に目をそらしてしまうかもしれません。いかにこの壁を乗り越えるかが大きな課題の一つだと思います。その点、香りという特徴はおもしろいかもしれません。

さいごに、認知度の低いテーマだったにもかかわらず、情報の提示に偏りすぎず、議論へつないでいたのがすごいと思いました。担当者とコメンテーターのバランスもよかったです。

【書評】無知の涙【勝部】

19歳にして死刑を宣告された連続殺人犯にして、後に文学者としても名を成す永山則夫の最初の手記。

高校生のある時期、どうやら私は犯罪司法学にただならぬ興味を持っており、その道の研究者になりたがっていたようだ。詳しいことは忘れてしまったが、「倫理学入門」とか放送大学のテキストを背伸びして読んでいた記憶がある。倫理の授業は学校に設置されていなかったが、倫理の用語集は買って誰に言われるでもなく勉強していた。用語集に関しては今でもたまに流し読みする。

この本はそんな中、「死刑囚の手記」ということで購入した。その道(死刑廃止運動など)の人にとっては、不朽の名作らしいが、私にとってはただの狭い視野に基づいた共産主義の礼賛にしか思えなかった。1960年代当時はまだ共産主義(社会主義でもいい)が理想とされていたし、現実的にも勝っていたのは知っている。しかし、過去の歴史としてしか共産主義を知らない私にとっては何のアピールも持たなかった。

今回読み直してみて、2つの再発見があった。1つは永山の詩的センス。本書の解説者も同じことを言っているが、頭から離れないような気の利いた文句が並べられていた。もちろん、全てがそうと言うわけではないが。

もう1つは、永山事件の動機と犯罪性についての見解の変化だ。そもそもこの本を手に取ったのは永山事件の動機を知りたいというのが大きかった。しかし、それについて最初の読書で知りえることはとうとう無かった。第三者たちは、育った劣悪な環境による歪んだ人間性を指摘したが、私は、もちろんそれも原因の1つだろうが、もっと他にある気がした。「動機がないこと、が動機」なのである。教科書的に言えば、「殺人による自己確認」になるのだろうか、個人的にはニュアンスが違うが。喪失感から不意に無言電話をかけたり、犯罪予告を投稿したりすることはよく指摘されることだが、永山事件はそれが殺人というセンセーショナルな形で表現されたに過ぎない。ゆえに永山は(少なくとも本書を書いている時点では)自分の事件に関して犯罪性を積極的に認めない。永山がドストエフスキーを好んで引用している意味も理解できた。

カフカに『審判』という作品がある。この作品は「主人公は、起訴されていることは良く知らされているが、その内容がどうも”理解”できない。けど、それは死刑に値するらしい。何も分からないまま、明瞭なのは罪だけしかない。」といういかにもカフカ的不条理の世界だが、ここには普遍的妥当性があると政治学者・矢野暢は言う。つまり一言で言うと、裁く側と裁かれる側は決して同じベクトルで思考することはないのだ。この部分を本書を読みながら思い出した。また、『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロ演じるトラビスにも通じる部分があると思う。ちなみに、永山は1997年、最後まで頑固な抵抗を見せながらも刑に処せられた。

ゼミ感想

【英語プレゼン】
今回のプレゼンターは、プレゼンの最中に原稿をそのまま読みつつ、プレゼンをしている人が多かった。これは少し残念である。いつもどおりの力を出せずにいたことは、確かに英語という言語の壁があるかもしれないが、メモを見ながらプレゼンをしたために、どこが大切だとか、そのようなノンバーバルなコミュニケーションもできていないからだと思う。メモなどは準備不足を露呈しているようなものだし、誉められた行為ではない。
個人的には自分が質問した時に、うまく相手に伝わっていないことが多かったので、もっとシンプルに質問する。これを心がけようと思う。

【NC】
デジタルサイネージについて、準備は非常によくできていたと思う。資料、データの類は自分でも今回のNCのようには集められないだろうことに、感心する。
OOHが注目されていく中で、恐らくこれからの時代の1つのキーワードともなるだろう、このメディアには興味がわいてきた段だったので、面白く聞けた。
後は、これからのニーズなどを踏まえた戦略に問題だろうが、特に問題はないだろうと、個人的には楽観視している。規制など、そこまで複雑さを感じないし、デジタルサイネージの性質上、必ず必要とされるものだろう。これからの動向に注目したい。

【余談 ~築地~】
ゼミ後に戸高、勝部と築地市場にいって寿司を食べ、競りを見てきた。朝の築地市場はとても活気があって素人には難しい。築地市場で働いている人のような粋な感じを、自分も手に入れたいものだ。

2009年6月28日日曜日

ゼミの感想

前回に引き続き、

【英語プレゼンについて】

ただでさえ難しいプレゼンを英語でやるということで、みんな苦戦するのかと思いきや、みんな何だかんだでちゃんと英語を話せているので焦りを感じています。今回の中で自分が興味を持ったテーマは岸本さんのブランドのコラボレーションについて。前々回と前回の読書がブランド関連の本だったので、三つのモードからの切り口による「ノーボーダー」の分析がとても面白かったです。また、全体を通して感じたことは、女性陣はみんな英語が上手いということ。男性陣が上手くないという訳でなく、女性陣はみんな押し並べて流暢だなと感じました。どうやったら、そんな風に話せるのか教えて欲しいくらいです。

【NCについて】

デジタルサイネージの内容はゼミの中で説明したので、ここでは内容よりも、プレゼンを行った結果どう感じたのかを述べたいと思います。NCは二回目でしたが、担当者としてNCをやるのは初めてだったので、責任も感じてましたし、本当に自分に人前で何かを発表することが出来るのかと、非常に緊張していたというのが正直な感想です。ですが、いざ始まってみると、やるしかないんだと、吹っ切れたせいか、良い緊張感を保ったままプレゼンを進行することが出来ました。今回のプレゼンで意識したことは情報量です。デジタルサイネージはまだまだメジャーな広告とは言えないので、皆が知らないことを前提でやる必要があると思い、出来るだけ多くの情報を集める必要があると考えました。このように考えることが出来たのは、個人的にはアクトビラでのグループワークが非常に生きたと思っています。今までも情報収集が大事なことは分かっていましたが、それでもとりあえずその場がしのげれば良い位で考えてしまうこともありました。しかし、グループワークを通して情報量の大切さを再認識させられ、今回の意識改善につなげることができました。グループのメンバーにはとても感謝しています。話をNCに戻します。前述の通り、情報量を意識したため、ネットだけでなく、雑誌や本も買って情報を集めたので、何とか皆からの質問や意見にも反応することができ、終わった直後は安堵感で満たされました。ただ、これで満足するのではなく、もっと精進していきたいと思います。
また、タキと藤田君にはたいへん感謝しています。調べて欲しいと指示した内容を的確に調べてくれただけでなく、そこに自分の意見も提示してくれたお陰で、プレゼンをスムーズに進めることができました。二人ともさすがです。そして、お疲れ様でした。

【ホンヨミ!】ブランド大繁盛【戸高】

堺屋太一著『ブランド大繁盛』

 本の内容とは関係ないけど、冒頭に金先生の字で「期待以下」と書かれていたのでだいぶと読む気を失いながらも読んだ。

 ブランドは伝統を維持するだけでは、そのブランドイメージや、クオリティを保つことができず、随時時代の潮流に合わせた変革が必要不可欠となってくる。実際に、現代「大繁盛」しているブランドを見ても、旧態依然を貫いているブランドは淘汰され姿を消し、伝統を守りながらも、消費者ニーズを反映させたり、急進的な芸術家とのコラボレーションを行うことでその地位を保つどころか、高めている。
 あの東京ディズニーリゾートですら常に変化しているのだ。去年は25周年ともあり、過去最高の業績を記録したディズニーであるが、世界最高のエンターテイメントとして、細部にわたり徹底的にフィクションを、それも心地よいフィクションを作り上げている。東京ディズニーリゾートに足を運んだ方ならお分かりかと思うが、エリアとエリアの境目に滝などを設置することにより、エリアごとのBGMを完全に遮断していたり、スピーカーの位置を綿密に計算し、屋外とは思えないほどの心地よい音響を感じることができたり、朝から晩まで常に清掃がなされていたり上げていけばきりがないのですが、とにかく突っ込みどころがないくらいの徹底。
 「夢の国を創る」というコンセプトを創業以来守りつつも、新たなアトラクションやショー、イベントを随時行うことでディズニーは成長してき、「テーマパーク」での位置を築き上げた。その徹底と、コンセプトがあいまいだったテーマパークは閉園に追い込まれている。
 何かを徹底するということはできそうでできない。それは人間の人生においても同じだ。徹底的に貫くべき信念があり、その上で自分の成長のために変化していくことができる人間こそが、必要な人材であろう。

0626ゼミの感想

英語プレゼン
今回のプレゼンを通して感じたのは、何を言うかというポイントを明確化し、端的で論理的に話す事が日本を以上に要求されるという事です。自分自身の英語力に自信が無い事もあって事前に簡単な原稿を用意してプレゼンしましたが、わかりにくい表現や言い回しを多用してしまい、さらに、プレゼンの流れが抑揚の無いものとなって、結果としてあまりプレゼンしたい内容を伝える事ができなかったと感じました。これは大きな反省点として改善したいです。自分に比べ、他のゼミメンバーの発言は、分かりやすく発音も良くて本当に感嘆するばかりでした。田島さんも書いているように、「簡単な言葉で、大きな声で、重要なキーワードは強調して」という事を意識して次の機会に取り組みたいと思います。

NC デジタルサイネージ
担当者の村山君斉藤さん藤田君のプレゼンはどれも素晴らしくて、デジタルサイネージについての網羅的な知識と海外を含めた最新の動向を把握することができました。
デジタルサイネージの課題を考えてみると、他のメディア、特にネットとの徹底的な差別化という点がまだ弱いのではないかと感じました。サイネージに広告を流すにしても、ネット広告や他のメディアではなくてサイネージを選らぶには、現状ではまだ新しいメディアとしてのサイネージの存在感は弱いように思えます。この記事によると、今年の5月の時点でもまだ日本国内の9割のサイネージがネットワーク化されていないという事ですので、新しいメディアとしての存在感を確立する上で、ネットワーク化とそのためのインフラ整備が、早急に解決すべき大きな課題ではないかと思いました。

21.6.26 ゼミの感想

ゼミが二日前のこととは思えないほど時間が過ぎるのが早いです。

【英語プレゼン】

今回は、うっかりしててスピーチのスクリプトを忘れてしまった。だから、思い出しながらも即興で作ったためいささか杜撰になってしまった。常日頃思うのだが、英語のfluencyとproficiencyは違うと思った。もちろん、両方とも求められているのは言うまでもないが、僕の英語力には前者が致命的に欠けているということを思った。僕は若いうちに多様な言語に触れるため、英語の授業とっていないから、英語に触れる機会は他のゼミ生よりかはかなり少ない。だが、演習の授業で扱うJames Bryceの100年前の英文でもかなり正確に理解できるし、英字新聞も読める。英単語もそれほど忘れていない。これらの点でproficiencyあるいはliteracyに関してはあまり心配していない。しかし、リスニング力や「とっさ」の英語での表現、つまりfluencyに関しては全く駄目だ。これは留学や人付き合いなどで、英語の必要性が格段に高くなったときにしか本当の意味で身につかないのかもしれないが。

【NC】

よく準備されていると思った。僕はこのプレゼンまでデジタルサイネージというテクニカルタームを知らなかったが、このプレゼンでよく理解できた。まるで「90年代の近未来映画」のようなことが実際に起きていると思うとなんだか胸が騒ぐ。一つきになったのが匂いの機能など全てを広告としてのデジタルサイネージに分類してしまっていいのだろうか。そこは言葉の法則にしたがって、不都合があれば自然に割っていくだろう。

ただ、ゼミ中にも発言したが、大規模ネットワーク化・プラットフォーム化は難しいと思う。日本の場合、設置場所が限られているのとそれぞれのニッチがあるので、そうすることで本来持つ強みを殺してしまうのではないだろうか。だから、ネットワーク化・プラットフォーム化というよりかは、個別でのデジタルサイネージの「導入支援」「テクニカルサポート」がビジネスチャンスであると僭越ながら私は思った。

全く別の問題として、デジタルサイネージが今後普及していく段階で、当然議論されるであろう「規制」の部分も考慮に入れるべきだろう。インパクトが強い分政治権力・特定の利害と結びついたときの恐ろしさは想像に容易い。



時が経つのは早いですね。自分に学生時代として残された時間は少ない。金曜日が来るたびに、「また一週間経ってしまった」と思う。無駄な時間は少しも無い。後悔の無い学生生活を生きたいと思いながら、残された日々を大切に過ごしたい。

2009年6月27日土曜日

0626ゼミの感想

◎英語プレゼン
聞いている分には、簡単な英語で話している人が一番わかりやすいと感じた。(自分の英語レベルのせいなのかもしれないが)先週も感じたが、簡単な言葉で、大きな声で、重要なキーワードは強調して!以上のことを英語で話すときは気をつけたいと思った。しかし、先生のおっしゃっている英単語がところどころわからなかったので、しっかり覚えなおさなくてはいけないと感じた;;
自分のプレゼンはとても緊張しました!私は日本語でプレゼンするとき、話す文そのままではなく、話したいことの流れを箇条書きで書いた紙を持ってやっているので、今回の英語プレゼンでも同じようにやってみたのですがとても難しかったです;;他の金ゼミ生は結構話す文をそのまま書いて読んでいたように見えたのですが・・・。そうすると顔が下に行きがちですが、それでもちゃんとした準備したよい文章をしゃべっているので、原稿なしで意味不明な英語を喋るよりわかりやすいのかもなあと考えました。もっとスラスラとわかりやすい英語で喋れるようにしたいです。

◎NC「デジタルサイネージ」
最初はどこまでがデジタルサイネージと言われるものなのかよく理解できなかった。「デジタルサイネージ」と聞くとすごく新しい技術な気がするが、渋谷の電光掲示板は昔からあったものだし、お店の電子案内板も図書館などには以前からあったし、そもそもそれは広告か・・・?と混乱してしまった。「デジタルサイネージ」は普及のために、近年(土台は今までもあったが)急遽「作られた」言葉だと聞いて納得した。現在新しいと言われているのは、「デジタルサイネージ」のなかでもポスターに代わるスクリーン広告の分野だと感じた。
トレインチャンネルなどに音をつければという意見も出ていたが、私は広告に音を使うことには少し否定的だ。「聞かない」ようにすることは「見ない」ようにすることよりも困難なことだからだ。私は街頭を走る大音量のキャンペーンカーが好きではない。「広告がしっかり見られていない」ということが最近問題になっているようだが、私は広告に対して、「見ない」という選択肢が用意されていることは必要だと思う。

英語も広告もコミュニケーション

 築地はもはや寿司だけでよかったんじゃないかというくらい寿司がはんぱなかったです。

【英語プレゼン】
 ある程度は読める・書ける、でも話せない。英語難しいです。明らかに準備不足だった。台本に頼らずとも話せるプレゼンを心がけるのは日本語も英語も変わらないはずなんだけども、英語だからという甘えがあったのも確か。甘えを自分からなくさねば。

【デジタルサイネージ】
 トレインチャンネルの場合は、音がない。だからこそ面白いコンテンツを考えねばならないと、誰かが指摘をしていた。それは確かだ。トレインチャンネルは、既存のテレビCMをそのまま利用していたり、オリジナルのコンテンツでも興味を引くものは「ダーリンは外国人」というマンガくらいだ。
 音がないが、人に響くコンテンツと言えば、パントマイムやマンガといった、人の視覚に圧倒的な印象を与えるCM形態を追求するか、トレインチャンネルのような電車内では難しいかもしれないが、それこそ香りで楽しませるのがいいだろう。
 香りだと、スーパーの食料品売り場や、飲食店の店頭で提供するだけではなく、旅行代理店などでも利用し、旅館の食事や、旅行先の風景の香り(草原や花畑など)を疑似体験させることで、販促につながるのではないか。
 

0626ゼミの感想

 今週のゼミでは初めてNCで発表側として参加し、その難しさを知りました。

・英語プレゼン

 前回早退してしまい、議論に参加できなかったので、今回は積極的に参加しようと思いました。
やはり実感したのは、英単語がわかる、発音が正しくできる、以前に何か自分が伝えたい内容をもっているということが一番大切なのではないかということ。伝えたいと思えばたとえ自分が英語を話すのが苦手であってもしっかりと話の核は伝わると思うし、そういうプレゼンを聞いていた方が聞いていて興味がわく。逆にどんなに流暢に話せたとしても、伝えたい内容がぼやけていたり抽象的だったりするとおもしろみのないものになってしまう。実際に韓国合宿では現地の学生と話す機会があると思うので、自分が伝えたいことをしっかり持っていようと思った。それと、英語プレゼンを聞いているときは、無意識に何か必ず質問しよう、どんな表現を使うか、などを無意識的に考えていたので内容も自然に頭に残った。これをいつものプレゼンや議論にもあてはめていきたい。

・NC

 デジタルサイネージという言葉は今までに聞いたことはなかったが、自分がコメンテーターになって調べていくと、なんだあの山手線の中にあるやつか!!と気づいた。それだけ今回のテーマは自分が普段接しているものだった。しかし、それが現在テレビ広告やネット広告に次ぐものあるいはとってかわるものとして市場が注目されてきているとは知らなかった。屋外で高画質な映像が見れることがメリットになるという前提で、それの是非を問うような形で議論が進んでいったが、そもそもまだデジタルサイネージのメリットはあまり発揮されていないのではないかと思った。そのためにはネットワーク化が必要だ、ということをプレゼンの中で強調したかったのだが、時間配分が上手くできず、伝えたいことを明確に完結に発表することができなかったので、あまり伝わらなかったのが残念だ。反省したい。
 まずデジタルサイネージは、山手線の例は特別だが、消費地においてパッとちらっと通りすがりに見るものである。だからテレビCMのようにあるコンテンツを繰り返し流すというストリーミング型ではその特性が生かされないし、ただのテレビCMの受け皿になってしまう。しかしネットワーク化が進んでないため、きまったコンテンツを単に流し続けるという方法を取っているところが多い。ネットワーク化されれば、たとえばタイムセールなど、時間によって情報は違ってくるため、次々と情報が更新される。そうすることにより必要な情報がその場でパッと得られる。この場合、それは動画である必要はない。このようにデジタルサイネージをPush型で使う場合もあるが、消費者がちょっと立ち寄って必要な情報をパッっと探すことができるPull型として使う場合もある。これは大きな商業施設の一階によくあるような店舗情報を探すためのものである。これもまたネットワーク化されることによってさらに充実してくるだろう。
何しろ、まだ何も標準化されておらず、具体的なビジネスモデルもない分野なので、議論しにくかったと思う。今後の動向を追って、何か確率されたらもう一度NCで扱って見るのもおもしろいと思う。

あと、発表はもう少し3人で連絡を取り合うなどして流れのよいものにすればよかったかなと思う。このような不確定要素の多い分野は、自分たちで整理して何ができていてなにを改善すべきなのかを明確にしておけばさらに議論も一つに集約していくと思う。とりあえずNCの難しさを実感しました!

0626ゼミの感想

 こんにちは!すでに夏まっさかりな服装ばかりしていたら「そんなことで真夏に入ったらどうするの?!」と心配され青くなった大賀です。何だかんだでもうすぐ夏!がやってくるんですねー時の流れは早い!韓国合宿も目の前に迫ってきてドキドキわくわくです★

●三田祭論文のことについて
 「夏休み後に始める」という金ゼミのスタンスは、他のゼミと比べると大分異質ですが、私たちはあくまでも「金ゼミ」のメンバーなわけですから気にすることは無いと再認識しました。夏休みはしっかり合宿を行って映像を撮って観光して、その他にも旅行したりしてたっぷりある時間を満喫し、三田論に向けてのエネルギーをしっかり蓄えたいところですね!

●English Presentation
 先週に引き続き行いました。Brand Myselfや全員プレゼンを行った時にも思っていましたが、皆の物事に対する切り口や考え方は多種多様で本当に面白いです。「三人寄れば文殊の知恵」と言いますが、人数が多ければ多いほど色々な考えがあって、それらを上手く融合させていくことでより良いモノがクリエイティブされるんだなあと実感しました。まさに金ゼミCloudといった感じですね。また、先週よりも英語での議論が活発に交わされていたように思います。やはり英語を話すのに一番必要なのは度胸と慣れだと思うので、今後も継続的にこういった機会があればいいですね。英語を話すのはやっぱり楽しいです!毎回思うように言葉にできないのが悔しいですが・・精進します。

●NC「デジタルサイネージの未来」
 たまたま今週は広告関連の本を読むことが多かったので、デジタルサイネージについては知っていました。ですがそのメリット&デメリットや海外比較などは考えたことも無い切り口だったので非常に勉強になりました。またNCの村山君が、しっかりと文献を読んで(空港に電話までするなんて本当にすごい!)どんな質問に対しても的確に答えていたのが印象的でした。素晴らしいNCだったと思います。
 「映像にこだわらないデジタルサイネージを創る」という話が出ましたが、確かに良いアイディアだと思います。「何もすることが無い満員電車」の中でついつい目を通すトレインチャンネルのようなものであれば、映像であっても問題は無いと思いますが、たとえば駅の構内に映像が置いてあってもなかなか目を通そうとは思いません。「お、何だこれ?!」と人々の注意を喚起させるような、斬新な広告が生まれても良いと思います。先月日比谷駅(だったかな?)に行った時、今夏の世界陸上のプロモーション広告として、改札出口すぐのところに大きなベルリンの壁オブジェが飾られていたことを思い出します。思わず立ち止まってまじまじと眺めてしまったどころか写真まで撮ってしまいました。こんなふうに、「紙や映像」という媒体に留まらない広告がもっと生まれてくればより楽しい世界になると思います。
 また映像のデジタルサイネージであればやはりコンテンツの質が問題になると思います。単なるTVCMの使いまわしにとどまらないオリジナルなものがあれば、電車の中でもエレベータの中でもトイレの中でも、人々の印象に残させることはできると思います。何はともあれ今後の動向に期待大ですね!

前期あと1回!

もう残すところ前期ゼミもあと一回となりました。メディアコム入所からあっという間です。本当に!
合宿、三田祭(出し物を考える)などまだまだ楽しみなことが続きます。

【English presentation】
先週に引き続き。聞いて質問する方も慣れてきました。日本語のように曖昧な言葉で時間を伸ばしたり言いながら論理を組み立てる余裕がないので、いかに「シンプルに!論理的に!」答えるかがカギだと思いました。すぐに質問に合った納得する答えを英語で言える人は、普段から論理的に組み立てて考えられているんだろうな、と思いました。日本語を単純に英訳したくても単語がわからないから、知ってる単語で言えるように文を分解して違う角度で言いかえる。脳内でのこの作業が多いから、きっと疲れるんだと思います。
自分のプレゼンはまず時間内に言えたことがよかったです。緊張していたので、原稿を飛ばして言っていたかもしれません。でも、頭がある程度固まっても、手と口が自然に動くほど重ねて練習すれば大丈夫!と自分の中で証明できたのが収穫でした。質問しにくい題材だったかな、と心配でしたがいろんな角度からの質問が聞けて嬉しかったです。質問に対してちょっとずれた答えをしてしまったなという自覚もあります。自分のプレゼンの話で議論が盛り上がるととても嬉しいので、早く正確に応答して、なるべく多くの人の質問を聞けるようにしたいです。


【NC】
デジタルサイネージと分類されるものが認識していたよりも多かったことに驚きました。
動画であるデジタルサイネージは「時間」がある場所・人に効果を発揮するのでは?という「時間」からの切り口はとても重要だと思います。「広告は24時間という限られた時間内でいかに注目させるか」という広告特殊講義で習った言葉を思い出しました。トイレ内広告は、周りからの情報が遮断される空間で、本来なら見逃される時間なので注目です。ただ実際イメージしてみると衛生面も気になるので設置するトイレも絞られてくると思います。また、以前ファミレスに行ったときに各テーブルにひとつずつデジタルサイネージが置かれていてずっと広告が流れていました。画面で注文ができるのは便利ですが、小さいテーブルで存在感があり、電源も切れずとても目障りに感じました。いくら時間を取り合うとは言っても、相手に不快感を与えないことは最低条件だと思います。
昔「これは味がわかるカップラーメンのCMです!!!…………いえ、それは真赤なウソです!」というようなCMを見ました。ほんとに味がするの?!と思って見ていたら、二言目で裏切られて、画面で味わえるなんて夢のような話かと思っていました。味のするデジタルサイネージ、とても興味があります。

ゼミの感想

一番乗り!(かな?)

【英語プレゼン】

英語のプレゼンはみな英語がうまく、
自分の英語力のなさが際立って恥ずかしく思った。
先週にも書いたが、やはり語学力は重要。
ジョニーや先生の質問を理解できなければ、
それを返すことができない。コミュニケーションが成り立たないのだ。

また、英語を読む機会・聞く機会というのはあるかもしれないが、
話す機会というのはなかなかないように思う。
今後合宿でもそうだが、少しずつそのような機会を自ら設けられるように
積極的に英語を話していきたい。

【NC】

3人とも非常にいいプレゼンだった。
あまり情報の多くない分野だと思うので、
よくあんなにもわかりやすい資料を作成できたなと思う。

現在広告業界でも試行錯誤の中で新しいメディアの創出に
苦心している。そんな中の一つのアプローチとして
デジタルサイネージがあるのだ。

現在のアルバイト先であるTSUTAYAではデジタルサイネージが
活用されている。邦画のレンタルコーナーでは邦画のおすすめや、
ちょっとしたコンテンツが流れ、洋画コーナーでは洋画と言った具合だ。

先日博報堂の方にOB訪問しにいった際に
「今の広告業界の仕事は昔に比べて甲斐がない。
ただやりがいは昔よりも増しているように思う」
と言っていた言葉が非常に印象的だった。

今後どのようなメディア/広告手法が生まれて行くのだろう。

2009年6月26日金曜日

【ホンヨミ!】僕が2ちゃんねるを捨てた理由【岸本】

 最近の新書の例に漏れず、タイトルはあまり当てにはならない。ひろゆき氏による冷静なメディア批評が展開される一冊。氏は、日本の「ジェイコム男」や韓国の「ミネルバ」のように自分はただ時間があって調べものを論理的に組み立てる事が出来て、そしてどのアクターにも属さないから、また誰も自分の意見を表に出さないから本書のように意見を表明するという。

 インターネットは「メディア」ではなく「ツール」にすぎない。だからテレビなどの旧来のメディアはネットを敵視すべきではない。というところから、「クラウドコンピューティング」は、ASPサーバーによってサービスを提供しているだけだから、何も目新しいものではない。などなど。「Web 2.0」などもそうだが、コンセプトに囚われることなくあくまで「普通に考える」。このことがひろゆきのひろゆきたる所以か。こうしたコンセプトに抗う力、あるいは他人のルールで踊らない力は自分には欠けているなと感じた。

 また、「1%のひらめきを99%の努力ができる他人にやらせてみる」という力の抜けたコンセプトは梅田望夫氏のコンセプトが裏返った結果か。とにかくネットは個人をエンパワーするツールのようだ。

 ニコニコ動画を黒字化する気はないという話も興味深かった。下手に広告を打ってユーザを手放したり、規模を小さくして無理矢理黒字にしたりするなど安易に黒字化するのではなく、当面は赤字が続いてもユーザをがっちり手放さないようにする。これはTwitterの話に通じるものがあるのではないだろうか。バブルに浮かれるのではなく、あくまで顧客満足度を重視するやり方はようやっとネットビジネスで定着するのだろうか。

【ホンヨミ!】ミラーニューロンの発見【宮村】

他人のしていることや考えていることや感じていることを私たちはどうしてわかるのか。その事について、神経生理学の分野から非常に説得力の高い説明を与えるのがミラーニューロンである。ミラーニューロンは、自分や他人の(主に)行動に対して発火する脳内の特殊な細胞群だ。例えば、映画のキスシーンを見ている時に自分の脳内で発火しているいくつかの細胞は、自分がキスをするときに発火する細胞と同じ物であり、これがミラーニューロン。つまり、他人の行動を見るだけで、他人と同じ行動のシミュレーションを脳内で行い、自分自身の運動計画を強化してしまう。ミラーニューロンの発見の経緯や具体的な実験の事例に関しては、マカクザルの脳のF5野の実験(ミラーニューロンが発見されるきっかけとなったもの)を初めとして極めてサイエンティフィックな実験方法の数々が紹介されていて、専門性の高い所も多く理解が及ばなかった所も多いが、最も強烈だったのは、他者への共感や感情とミラーニューロンの関係性についての部分である。

ミラーニューロンは「行動・動き」に対して発火する性質があるから、当然、他人の顔の表情に対しても発火する。そのため、私たちは他人の表情を見ると、自分が意識する間も無く自動的に、表情のシミュレーションを脳内で行い(ミラーニューロンが発火する)、これと同時にミラーニューロンは感情中枢に信号を送る。これによって、自分が見た表情と関わりのある感情を私たちは感じるというのだ。この流れで、模倣と共感の関係など、極めて科学的な根拠と方法論に基づいた考察も展開されていき、非常に好奇心が刺激される本だった。

神経学的な科学的方法論の進化は、おそらくマーケティングなどの分野に対しても今後より大きな影響力を持ってくると思う(感情や共感について、科学的な説明ができると主張しているし、データに基づく根拠も揃ってきているから)。そのような時に、例えばマーケティングなどの方法論は今後どのように変化していくのか、大変興味深い。

【ホンヨミ!】ケータイの未来【岸本】

 iモードの仕掛人である夏野剛氏の本。適当に機能を拡張しただけだと思っていた「おサイフケータイ」も、綿密に仕込まれた戦略(マーケティングなど)に基づくものだとわかり、びっくりした。著者は垂直統合モデルから水平統合モデルへの移行を見切り、iモードを進めたが、今となってはそのiモードですらクローズドなプラットホームとなってしまった。そのため、海外からの脅威と渡り合っていくためにドコモがグーグルのアンドロイド搭載携帯を発売するのもうなづける。また、ビジネスユーザの拡大のためにブラックベリーとも組んだ。こうした海外の大手の勝ち馬に乗る戦略は果たして吉と出るのか。

 この本が出版された時(ナンバーポータビリティ導入直後)には国内シェア55%を保っていたものの、現在は50%を割っている。じわじわとではあるが牙城が切り崩されている感は否めない。著者が掲げる「生活インフラ」に携帯電話が本当になっているかというと、消費者実感としてそうは思えない。(ただし、iPhoneは別だ。)

 本当の生活インフラを目指すのであればやはりネットとの共存は避けては通れないように思える。私たちの生活の中心にはパソコンがあり、インターネットがあるからだ。ネットと共存していくことを考えると、日本の携帯電話はプラットホームをオープンにし、特化した技術を海外へ輸出する1プレイヤーに「成り下がる」こともアリなのではないか。

【ホンヨミ!】デジタルのおもちゃ箱【岸本】

 中村先生のエッセイ(なのか?)。とにかくぶっ飛んだ人ばかり出てくる。メディアラボはあまりに現実世界と乖離しているというか、デジタルディバイドが進みすぎていて、まるでSFの世界の中のようだ。

 こんな記事(http://www.pochi.cc/~sasaki/chalow/2006-04-27-5.html)がある。( via 宮村さん)この本の中に登場する「DEMO or DIE」だけではなく、現在は一歩進んで「PROTOTYPE or DIE」になったらしい。実際に形にして自己満足で終わるのではなく、テストモデルをつくり他人に使ってもらうまでが重要であるということらしい。技術屋の中で満足するのではなく、あくまで社会への還元が求められるといったところか。「New」だけでなく「Meaningful」あっての「Creativity」というのもうなづける。

 かなりクレイジーな技術屋たちが面白半分(これ良い言葉だと思います。残りの半分はマジってことですよね?)で作ったものが世界を変える。社会全体を意識した発明が結果的に人類を不幸にした事もあるが、その幸不幸を分けるのは結局は(在り来たりかもしれないが)その技術を使う人間次第であるということか。

【ホンヨミ!】プロデューサーの仕事【宮村】

プロデューサーの役割・能力・仕事についての様々な要素やノウハウが紹介されており、プロデューサーに求められる内部要因、外部要因を一通り理解することができた。ビジョンの構想、プロジェクトメンバーの選定、資金管理の方法からミーティングの進め方(例えば、「突飛なアイディアも潰してはならない」など)に至まで、ノウハウ的な知識として役立つものが多かった。しかしながら、全体を通して、様々な要素やテクニックが整理されずに羅列されている印象が強く、体系的なフレームとしての整理を示して欲しかった。

21世紀がプロデューサーの時代である事は間違いないと思う。本書でも、プロジェクトベースの「システムズアプローチ」という事を言っているが、ビジョンを共有し、各々のメンバーに権限を委譲することで自律分散的で機動力のあるプロジェクトが描けるのだと思う。そのような時代に、プロジェクトに求められるメンバーというのは、複数分野に関して深い見識や技術を持つ、ジェネラリストでありスペシャリストでもある人材ではないだろうか。本書でも述べられていたが、「専門家同士のコラボレーション」の重要性が強調される事は多いが、その各人が持つ専門性は単一の分野では不十分になってきているように思う。takram(タクラム)という非常にクリエイティブなデザイナー集団があるが、彼らはすべてのメンバーが持つべきベーシックなスキルとして、プログラミング・エンジニアリング・デザインを挙げ、さらにその上で各々の2つ以上の得意分野をのばすことを使命としている。「2つ以上の専門性」という事で「π型」人間という事を言っているが、プロジェクトにより高度なクリエイティビティを求めようとすると「T型」に留まらず、複数分野を極めようとする「π型」の精神をもったプロデューサーやメンバーが不可欠であると思う。

【書評】出会う!技術【勝部】

人との出会いは一期一会とよく言うが、誰もが他人に依存することで生活を成り立たせている。他人が作った食事を食べ、他人が作った歌を聴き、他人と時を過ごすことで楽しみを享受する。人と出会うことは人生における大きなウェートを占めている。

本書は「コミュニケーションとは共通点を探し出し積極的に理解すること」と「そのためには行動が必要である」ということを述べている。筆者は出会いの結果は「場数×確立」と述べている。その上で、仲良くなる可能性を「接触回数×接触時間×相手への気持ち×人間関係の技術」としている。素晴らしい出会いのためには、場数だけでなく「相手への気持ち」と「人間関係の技術」が求められているのだ。

また、筆者は出会いを「探す」だけでは何も生まれない、「決心する」ことから全ては始まるとも書いている。漠然と「面白いこと無いかなー」と思いながら日々をすごすのではなく、「自分の運命は自分で決める。それと同じように今日運命の出会いをするんだ。」と決意を持って日々を生きる方が面白いに決まっている。

「運命の人」とはどんな人だろうか。筆者は「自分と何か違うものを持っている人」か「自分を確立している人」だとといている。自分が運命の人と出会うためには、自分が他人にとって運命の人になることが最短だ、とも筆者は言う。そのためには、自分が魅力的になればいい、そのための自己投資は惜しんではいけないと思った。

【ホンヨミ!】ブランド 価値の創造【宮村】

ブランドとは何か。ブランド価値とは何か。ブランドという実体に還元し難い無形の価値のメカニズムを、実践的事例と独自の軸によって明らかにしようとした本である。最も印象深かったのは、「イッセイミヤケ」というブランドは一体何なのか、という部分だ。時代によってスタイルが著しく変遷するイッセイミヤケブランドにおいて、そこに価値の統一性をもたらしているものは何なのか。つまり、「スタイル」が命であると考えられるファッション業界におけるブランドの究極の価値を、スタイルに還元出来ないとしたら、そこにはどのようなメカニズムがあるのか。ファッションにおける「スタイル」や日用品における「機能」といった目に見える次元を超えた価値があるという説明は大変興味深かった。この視点は、以前ホンヨミで回って来た「ネクストビジネスリーダー」にあった機能や価格を超えた「次元的なイノベーション」にも通じるものがあると感じた。

ブランドの話に限らず、アイデンティティやポジショニング、経験や価値といった事を考える際には、特定のに還元できないような次元的なイノベーションを行う事ができれば、他の追随を許さず高い競争力を得る事ができるのだと思う。自分自身に関するあらゆるポジショニングやブランディングを考える際、このような視点は大切にしたい。

【読書】ロシア・ショック【小山】

ロシア・ショック (単行本)
大前 研一 (著)



 シベリア鉄道を使ってロシアに10日も滞在した私は、少なからずロシアに親近感を抱いているので、この本を読むのはある種必然なのかもしれない。
 と、ひとりごちるのはやめにして、この「ロシア・ショック」読んでみると、データが多く、説得力に富む一冊だった。ロシアのこれからの台頭を予見している。私もモスクワとウラジオストックはきちんと滞在したので、これら都市についてはわかるのだが、ロシア、まだ潜在能力があるとみる。モスクワは灰色のイメージを受けたのだが、逆に灰色から色をつけられると考えられる。現に、本書で語られているように、ロシアはその力があるのだから。一次産品のみならずハイテク産業などまでも主力になり始めたロシア。まだまだ伸びる余地はある。
 特にハイテク産業についてだが、ロシアの広大な領土のことである、それこそデータセンターなどの建設にはうってつけともいえるのではないだろうか。世界の情報がシベリアに集まることも夢ではないと私は考えている。本に書かれていたことで知ったのだが、教育水準も、他の先進国に近い国々(特にBRICs)に比べてぬきんでていることは確かだ。これもプーチンパワーか。
 日本ではロシアの強さをネタとして扱っている部分もあるが、その強さを直視して、より生産的な関係を築く努力をしなければならないことは自明だろうと思う。

【読書】ザ・ネクスト ビジネスリーダー【小山】

BBT ビジネス・セレクト1 「ザ・ネクスト ビジネスリーダー」 (新書)
西浦 裕二 (著), 山田 英夫 (著)



 この本は主に日本のビジネスリーダーと目されている人に、リーダーとは、ということで対話録のようなかたちで書かれた本である。
 目からうろこだったことは、まず、ジョンソン&ジョンソンに代表されるようなリーダーの形があること。そして、tangibleとintangibleという2つの枠にはいる項目がリーダーに求められていること。それぞれについて書いてみたい。
 まず、ジョンソン&ジョンソンのようなリーダーということだが、これは変わらないことを、しかし改善は続けていくというものだ。実はこれはリーダー像の中で、一番難しいかたちなのではないかと思ったのだが、会社の風土、文化などに大幅に手を加えたりすることはせず、しかし、確実に前進し続けていくというものだ。日常を非日常にすることは比較的容易だが(旅行に行けば済むことだ)、日常を変えずに、それを少しずつ、だが確実に面白いものにする、ということは難しい。私はこういうタイプではないだろうから、素直にこの道は諦めるとする。
 もう1つのtangibleとintangibleについてだが、これは非常に面白い概念だと思う。簡単に言えば目に見えるものと見えないもの、ということだ。目に見えないものを評価することは難しいが、リーダーは確実にintangibleなことについても部下から評価されていることを考えるべきだろう。そして中々どうして鍛えることが難しい一面でもある。習慣によって得られる点も多いだろうので、これは経験をつみつつ、付き合っていくとしよう。

【読書】その他大勢から抜け出す成功法則―「何か必ずやる人」11の考える習慣術【小山】

その他大勢から抜け出す成功法則―「何か必ずやる人」11の考える習慣術 (単行本)
ジョン・C. マクスウェル (著), John C. Maxwell (原著), 斎藤 孝 (翻訳)


 この本はリーダーシップ論を11の思考習慣で語ったものである。個人的にはリーダーのみならず、むしろ人生の幸福を得る一般則としてみてもいいかもしれないが、幸福云々の話を避けるために、リーダーシップ論としておく。
 示唆に富んだ内容で、何から書くべきか非常に迷うのだが、自分のことを考えたときにどうかを考えてみる。
 まず、自分として、過不足を考えてみたが、明らかに不足しているのは創造的思考、現実的思考、戦略的思考、反省的思考、利他的思考が特に足りていないと思う。創造的思考、現実的思考、利他的思考は必要性を以前から感じていた。しかし、戦略的思考、反省的思考については方法もさることながら、今までそれほど必要性を感じた瞬間がなかったので、これは非常に良い発見であったと同時に良い学びとなった。それぞれ、少しずつ書いてみようと思う。
 戦略的思考、これはより生産性を高めるための思考ともいえる。まぁ仕事が出来る人の思考とも言えるかもしれない。問題を理解し、細かい事象に分解して、それを整理し、取り組むことだ。簡単なようで実は難しい。これも訓練でいかようにでもするしかないだろう。
 反省的思考は、もともとの価値を、さらに高めてくれる。これについて、自分のフレームワークを持って臨んだら、でてきたアウトプットの価値は非常に高いものだろう。ただ、先述したように、自分にはかけている部分でもあるので、これから強化していきたい部分でもある。

【ホンヨミ!】対話のない社会【斉藤】

 対話のない社会 中島義道

 本書は4年ほど前に読んで、内容がとても自分にとって新鮮であり感化されたため、この機会に再び読んでみようと思って手にとった。
 日本は私語は氾濫しているが、対話ができない人が多いと思う。対話ができるとは、適切な時に適切な言葉で適切な音声ではなすことができる能力であると思う。時に関しては、相手が応答や意見を求めている場合、自分の意思を表明しなければならない場合。適切な言葉とは、相手に見合った言葉、また最も大切なのは決して暗黙の了解に頼ることなくしっかり最後まで言い終えることである。音声に関しては、場所によってトーンを臨機応変に変えることである。
 簡単なことに思えるが、私は特に大学の授業において、日本人の対話能力のなさを実感することがある。対話ができる、ということは決しておしゃべり好きのことではない。特に語学の授業で感じるのは、多言語を話しているからかもしれないが、全く聞こえないような小さな声で話す人、授業に関係のないことをひそひそ話す人、質問されても全く声を発しない人、最後まで言葉を言いきらない人が目立つ。自分もその一員かもしれないので、対話能力が欠如しているかもしれない。
 これは対人コミュニケーションについてのことだが、実はメディアと人のコミュニケーションでも対話の欠如が感じられる。マスコミュニケーションは、不特定多数の人に情報を投げかけることであるが、それは誰もが期待する情報ではないので、「適切な」と前述した事柄に当てはまらない。日本にはマスコミュニケーションが氾濫しているが、これもまた「対話のない社会」の象徴であるのではないだろうか。

【ホンヨミ!】ハーバードからの贈り物【斉藤】

 ハーバードからの贈り物 デイジー・ウェイドマン

 本書の中で、私の一番心に残った「贈り物」は、「自分が相手に何を言うではなく、自分が話している時に相手の内面に何が生じるか」を考えなければならない、というハーバードビジネススクールのトーマス・J・出ロング教授の言葉である。本書には卒業する学生に向かって教授一人ひとりから贈られる、貴重な贈る言葉がたくさんつまっているが、とりわけ自分にはこの言葉が響いた。
 自分も含め、人は自分が今まで勉強をしたり経験を積むことで築き上げてきた価値観や蓄積してきた知識をもって、たとえば相手に意見を言ったりアドバイスをしたりする。もちろんその時は相手にどうやったら自分の思っていることを伝えられるだろうか、どんな内容を話したら自分に賛同してくれたり、尊敬されるだろうか、ということを考えてしまう。それは相手と会話する上ではもちろん必要なスキルだと思う。しかし、同時に自分の言葉から相手が感じとること、そして相手がとる次の行動を考えることが大切だ。例えば、自分がとても疲れているとき人と会って話をするという約束があったとする。その時相手が親しい人である場合は露骨に「自分は疲れているから仕方ない」という態度が表面化してしまう場合が多いのではないだろうか。そんなとき、ふと自分がこんな態度をとったら相手はどんな風に感じるだろうか、ということを省みれることができればいい。相手をポジティブにさせる、それが人が他者と会話することの醍醐味だと思う。ポジティブなサイクルのある空間、を自らの発話によって創り出していけるようになりたい。

【ホンヨミ!】広告【斉藤】

 新しい教科書 広告 天野祐吉

 あらためて広告ができるまでの過程を知ることができたが、その中で意外と不可欠な役割はメーカーだと思った。メーカー自身で広告を制作することはあまりない。しかし、メーカーは代理店に広告を依頼するときに行うオリエンテーションで、自社の理念」は何なのか、どのような商品を開発して、それのどこが売りどころで、どんな人に手に取ってもらいたいか、などを明確に提示しなければならない。メーカーと代理店の間に暗黙の了解のようなものが存在し、あまり大規模なオリエンテーションを行うことがない場合もあるが、たいていの場合、メーカー側も自社をアピールするプレゼンテーションを行わなければならない。ここで代理店の興味を引きつけない限りは、よい広告はできない。
 現在広告特殊の授業で、自分たちが代理店のつもりで、スポーツメーカーPUMAの企業イメージを上昇させるためのキャンペーンを提案する、というグループワークをやっている。メーカーからのオリエンテーションとして、PUMAの売り商品や、どんなイメージにしたいか、またPUMAの利用者の年齢層や、その人たちが現在どのようなイメージを持っているかについてのデータが与えられる。その時に実感したことは、もっとこんな情報があれば、とかこれは何故なのか、本当なのか、それさえわかればもっとよい提案ができるのに!というもどかしさであるy。メーカー側のプレゼンは代理店側のプレゼンより印象が薄い。しかし代理店と協力してよい広告をつくっていくためには、メーカー側の入念なプレゼンが重要だと思う。

差分

差分/佐藤雅彦

佐藤雅彦さんの本。この人は本当によく考える人だと思う。
この人の本はいつも頭の使ってない部分を刺激されるような気がしてとても好きだ。

この本はaという事象、bという事象の差を取るとaにもbにも現れなかった情報を認識する、という仮説のもと科学的な表現の形を集めたものである。

これを見て思ったことは人間には原因と結果だけ見れば、だいたいの過程が理解できるということだ。表現という点から見れば、作り手は楽だし、観客は想像力を働かせる事が出来る。つまり、作り手すら想像していなかった表現を生み出せるのである。
しかし、ビジネスの世界ではそうはいかないと思った。良好な組織を築くには人材の育成が欠かせない。そのためには、優れた評価制度が必要である。見えない差分の脅威はここにあるだろう。組織では、かかったコストに対する結果だけを見ると、努力が足りないと評価されることがある。これは、組織の信頼関係を揺らがせる。また、評価が適切でないと人材のインセンティブがなくなってしまう。
組織のタスクの見える化が必要だと感じた。特に、新規の事業を扱う際には、経験という差分を引き出す要因がないからだ。

【ホンヨミ!】地頭力を鍛える【菊池】

フェルミ推定というナゾナゾのようなものに興味があったので本書を読んでみた。検索なんかを使わずに「日本全国に電柱は何本ありますか?」という問いに答える。これがフェルミ推定。

本書は、フェルミ推定のアタマの使い方をいかに実生活やコミュニケーションに生かすかという感じ。著者は、このフェルミ推定のアタマの使い方の力量を「地頭力」と呼んでいる。個人的に、グループワークなどやるときに使えそうなテクニックが多く紹介されていて面白かった。また、今までの自分のアタマの使い方がかなり甘かったなと思わされる部分もあった。例えば、仮説を立てるということ。自分の反省点として、情報が少ないことに甘え、何でもやりたいことをやみくもに試すことが多かったが、少ない情報でもある程度自分の将来像という仮説を立て、そのもとで経験を積み検証していくという結構当たり前なプロセスが甘かったなと思う。

 身の回りで、「この人すげーな」って思える人って、仮説を立てることに長けていると思う。ひとつひとつの行動の意味づけが気持ち悪いほどハッキリしている。このフェルミ推定はただのナゾナゾにしか見えないが、効率的なアタマの使い方の本質が顕れているんだなと思わされた。

最後に、最近自分の読書がテクニカルな方面に傾いてる気もするので、少し方向を変えてみようと思った。

【ホンヨミ!】脳と創造性【菊池】

 茂木健一郎の著書を読むのは初。本書も脳についての話であるが、そこに人間の感情の本質らしきものがあらわれてるなーと思った。そう感じた理由の一つに、社会科学と現実とのギャップの存在がある。ここでの社会科学とは、合理的かつ価値が見出されているようなルールとしておく。

少し話が外れるが、大学教授にはいわゆる左寄りの人が多いと言われる。あくまでも私の個人的な考えだが、彼らは知的レベルが高いゆえに、他の一般人も彼らと同じく合理的な行動を選択できるという期待が大きいからではないか。「左翼」とは、センセーショナルな「右翼」に比べ、ロジカルであることが多い。その極みが社会主義という超合理的な理論だ。社会科学も、例えば政治分野では「国民主権」や「三権分立」といった理想のルールが存在するが、現実はそれとは事実上かけ離れていると言ってもよい。これが、最初に挙げた、社会科学と現実のギャップである。そのギャップの最大の原因が、人間の感情なのだ。感情の存在を無視すれば、それは上手いマネジメントとは言えない。これは社会主義が、欲望という感情によって崩壊したことから自明である。社会科学を信奉することは、何でも合理的に動くと信じ、しばしば人間の感情を無視することが多い。

しかし本書でも述べられているように、いざという時には明示的なルールは役に立たず、むしろ人間の感情に支えられた直観によって決められる。もし学問によって未来が全て予想でき完璧な判断ができたなら、今回のような金融危機は起こらなかったはずだ。このように、この世界は不確実性に満ちている。そのような中、最後は感情によって根拠のない判断、つまり直観で決定がなされる。「ルールによるコントロール可能性というフィクション」と本書は素晴らしいフレーズにまとめているが、ロジックというコンピューターの十八番を補う、感情の力の素晴らしさを再認識できる本だった。

【ホンヨミ!】地域再生の条件【内山】

地域再生の条件/本間義人

都市への人口密集、格差の問題を、地域が主体となって解決していく姿を描いた本。たしかに過疎化している地域は、それを都市のせいにして嘆いているだけの節があるように見える。もちろん何かしらの対策を打っているのだろうが、もう後がない、という自覚が乏しいのではないだろうか。たとえば「あまおう」にしても、立派な地域活性化の対策の一つになっている。「とよのか」「とちおとめ」など、既存のイチゴのブランドからパイを奪う、新しいブランドとして生み出され、その生産地域を一躍活性化させた。たとえば、身近な自然を保全することでそこに人が集まることもある。バリアフリーに気を使った街をつくれば、そこに人が集まる。何かに特化すれば、その地域のブランドができ、人の注目を浴び、結局は人が集まる。発想の転換しだいで、過疎化の対策は可能なのである。だいたい、国という大きな組織が、地方を見るというのは不可能なのである。わたしは道州制が実行されればいいのにとずっと思っているのだが、なかなかそうもいかない。シャッター通りなどのさびれた悲しい光景を、少しでも見なくていい社会になればいい。

【ホンヨミ!】ブルー・オーシャン戦略【池亀】

ブルー・オーシャン戦略/ W・チャン・キム、レネ・モボルニュ

本書では、競争の激しい既存の市場をレッド・オーシャンと呼び、これに対し今はまだ生まれていない未知の市場をブルー・オーシャンと呼んでいる。前者にはすでに多くの競争相手が存在し、それらで限られた市場でのシェアを争っているような状況であり、今以上の利益や成長の見通しは難しい。一方後者は未開拓であるため、新たな需要及びそこからの利益はより期待できる。「市場を創る」でも出てきたように、インターネットの普及により探索コストが下がったことで、これまでのニッチ市場は消えつつあり、またグローバル競争が激しさを増すことで、製品のコモディティ化や価格競争が激化している。このようにレッド・オーシャンで競争を続けることは、企業に多大なコストと少ない利益をもたらすだけのケースもあり、あまり魅力的な市場とは呼べなくなってきている。そんな中、リスクは高いかもしれないが、企業のブルー・オーシャンへの注目が高まっている。本書は、その今注目を集めるブルー・オーシャンをどう開拓していけばよいかという企業の戦略が体系的に述べられている。例や図も豊富で、非常に分かりやすい。

今週ちょうどソフトバンクの孫社長の経営に関する本を読んだのだが、その中にあった、競合他社とのベンチマーキングは行わず新たな市場を切り開こうとする姿勢や、細かい数字や短期的な利益にとらわれず長きにわたって続く企業を気づこうとする姿勢は、本書のブルー・オーシャン戦略と共通するものであった。一人の経営者の話が、本書では論理的に紹介されていたので、頭の中を整理することができた。

【ホンヨミ!】ご当地ラーメンの地域ブランド戦略【金光】

『ご当地ラーメンの地域ブランド戦略』 関満博、古川一郎

ラーメンは正直、あまり好きじゃない。
だってまず女の子だけではラーメン屋さんに入りにくいし、入ったところであの回転の良さと威勢の良さ。もくもくの湯気の中、黙々とラーメンをすするお客さんたち。落ち着いて食べられないし、ゆっくり食べていたら麺が伸びちゃうし、味も単調だし…

でも、日本人でラーメンを食べたことがない人はたぶん、いない。
それくらいおなじみのソウルフードなのだ。

この本自体は、それぞれのご当地ラーメンについてブランド化された過程などが章ごとに述べられている。全体を通してどうなのかという考察に乏しいところが惜しい。その土地土地によって特徴も状況も違うから共通項を探すのは難しいのかもしれないけれど。
でも、どうやらラーメンはメディアになる要素を十分持っている素材らしい。
特に、地方を活性化させる起爆剤としての。ラーメンをもとに地域を盛り立てた町の例を見ると、皆、一生懸命だった。「ラーメンが好き」とか「このラーメンをみんなに食べてほしい」とか純粋な気持ちがつながって、ブランド化が成功しているように見えた。これは今週読んだ、企業の成功例とも共通点があると思う。
少し前に「讃岐うどん」が題材の映画があった。ラーメンをネタにしてショート映像を作っても面白そうだな、と思った。

【書評】衆愚の時代―「神々は渇く」の政治学【勝部】

本書の驚くべきは、矢野暢先生の無残なまでの先見性だ。天安門事件から中国共産主義の本質、ソ連型共産主義よりも伝統的な「アジア的不条理」、を明らかにし、その後の中国の大国化を予言している点は感嘆した。私が生まれた1989年に、矢野暢先生を除いていったい誰が今日の中国を思い描けていただろうか。

「体制」から「文明」へのシフト。冷戦の終結により、社会主義とその敵という構図が消えた。その代わりに、ヨーロッパ文明圏、アメリカ文明圏、中国文明圏といったような文明ブロックでの固有の法則ができるだろうと言っている。この時点である程度予言は的中したわけだが、私はここでは直接触れられていないが、イスラーム文明圏とアメリカ文明圏の対立がイラク、アフガン戦争の対立だと思った。それはある意味で宗教的対立以上のものを持っている。また、本書ではベトナム戦争に関する考察が深く掘り下げられていた。「アメリカ人はベトナム戦争を個人化する」ことで、それを自分の戦争とした。その点で、過去における国民戦争とは姿勢が明らかに異なる。であるからして、ベトナム戦争は「市民」戦争と化した。その結果、ここにも「神々」が現れて、アメリカは敗北した。よくアメリカ政府はベトナム人に負けたのではなく、アメリカ人に負けたのだと言われるが、少し違うと思った。ましてや、アメリカ軍がベトナム軍に負けたわけではない。一人ひとりのアメリカ人が自分自身に負けたのだ。

矢野先生は「衆愚」と「神々」の正体を明らかにしている。一言で言えば前者は「反知性主義」後者は「人間的未熟さと政治に疎外された歪んだ人間性」だとしている。現代の日本やアメリカにおいては暗殺や暴力クーデターなどという愚行が起こる可能性は低いが、「衆愚性」あるいは「神々性」をどこに見ることが出来るのだろうか。それは「せっ頭」という「何らかの原因で政治家が辞任に追い込まれる」という現象に見られると矢野先生は指摘する。それはマスコミを通して匿名性を持った神々が演じる。
私はこの「衆愚」と「神々」の中に、都市に生きる現代人の「抑えられない悲しみと怒り」のようなものを感じた。物質主義の逆説、いくら物質的に満たされるほど心は渇き、不幸になり続ける。そのやり場のない渇きを現代人は怒りをこめて糾弾する。反知性主義はその欲望が満たされないがゆえに、さらに満たされようと貪り続ける。そこにあるのは文明的ニヒリズムだけだ。

また、衝撃的だったのが、「独裁者」とあだ名されたマルコスやブレジネフが過去においては人間的魅力に富んだ素晴らしい政治家であったことを矢野先生自身が実際にあったとき認めていることだ。どんな素晴らしい政治家でも独裁者になりうる。それは「衆」との相互作用が働いているとしか思えない。

散々褒めてきたが、この矢野暢先生は、お笑いのくりーむしちゅーの有田の親戚で、彼がよくネタにする「偉すぎて親戚でも一年に5分くらいしか会えない大学教授の叔父さん」その人である。この話には落ちがあって「その叔父さんが晩年セクハラで訴えられた。」いくら先見性に富んだ矢野先生でも自分自身が「せっ頭」されることは思っても見なかっただろう。違うか。

2009年6月25日木曜日

書評 ヒトデはクモよりなぜ強い

ヒトデはクモよりなぜ強い

分権型の組織の方が強いという論調が多く見られるが、それに疑問を持っていた。
なぜなら、時と場合によると思うからだ。迅速かつ幅広い変革が必要な時にはトップダウン型、集権型の組織の方がまとまりやすいと考えるからだ。


そんな疑問にこの本は解決してくれた。
トップダウンとボトムアップを兼ね備えたハイブリッドな組織が比較的万能な組織だという。イデオロギーを統一した上で、個人を有機的に結合することで柔軟な組織が組み立てられる。自由な発想と責任を組み合わせることにより、個人の創造性を引き出すことができる。また、責任があるという点はインセンティブの点から見ても強い。ある事業で成功すればある程度まとまった金銭的報酬を得られる事が保証されているからだ。


この分権型の組織はイノベーションの加速にも繋がると思う。その場その場で個人が自由な意思決定ができるからだ。顧客のニーズを知っているのは現場の人間であるし、その人間がイノベーションに関われば当然生じるイノベーションの価値は向上する。

金銭的インセンティブと人間のやりがいに強く訴えた組織が本書の言うハイブリッド型の組織なのかもしれない。

【ホンヨミ!】世界大不況からの脱出【池亀】

世界大不況からの脱出/ ポール・クルーグマン

昨年ノーベル賞を受賞したポール・クルーグマンの著書。ノーベル賞という話題性と、ゼミの輪読書・市場を創るの影響で、ちょっと背伸びして手にしてみた。

本書は題名が「世界大恐慌からの脱出」とあるが、脱出の術は特にはっきりとは書かれていなかった。(もちろん現在の世界的恐慌に有効な対策があるかは疑問だが)
筆者も冒頭で述べているが、ここでは「なに」が起こったのかより、むしろ「なぜ」起こったのかという今の世界的不況に至るまでの経緯が中心的に説明されており、ひょっとしたら題名も「脱出」というより「入口」とか「突入」とした方が適切かもしれない。
ただその内容は実に充実しており、1930年代の世界大恐慌から、共産主義の崩壊、そして1990年代に起こった中南米での経済危機やアジアでの経済危機、さらにバブル崩壊後の10年以上にもわたる日本の経済不況について説明されている。たしかに経済いついて詳しい知識がないと読解の難しいところもあるが、経済理論を身近なベビーシッターの例に置き換えた筆者の説明などはだいぶ分かりやすい。
筆者は、今現在起こる世界大不況を、1930年に起こった世界大恐慌を、それからしばらくして再び起きた中南米及びアジアでの経済危機を彷彿とさせるもので、現在の不況に対する警告だったとしている。過去のそうした経験から教訓を得て経済対策を講じたはずなのに、今ふたたび大不況が世界を襲っているという状況はなんだか不気味に感じられるかもしれない。しかしそれと同時に、市場ではたとえその市場が健全であろうとそうでなかろうと、予想しえない事態がつきものであるということもあらためて認識させられる。

まだかなり消化不良な部分ところがあるので、またあらためて熟読したいと思う。

【ホンヨミ!】ブータンに魅せられて【大賀】

今枝由郎著「ブータンに魅せられて」(2008年、岩波新書)
2009年6月25日読了

***

学部の授業レポートでブータンについて調べることとなり本書を読んだ。ブータンについて「未開発の発展途上国」というイメージしか持っていなかった私だったが、本書を読みブータンの社会、人々のことを理解すると同時に、その中に「失われた日本の美しさ」を見ることができた。
第四代ブータン国王が提唱した「GNH」すなわち国民総幸福という指標。物質的経済的豊かさを計るGNPよりも、GNHを追求することがブータン国家最大の目標となっている。ブータンはGNP指標的に見れば「発展途上国」だ。だが国民たちは、「今、幸せである」と答えた国民は、2005年の国勢調査豊かで97%に至っている。豊かではなくても、モノが無くても、人々は幸せを感じている。美しい自然と愛すべき家族と隣人に囲まれ、ゆったりと過ごすこと。それがブータンの人々にとっての幸せなのだ。その考えは、近代化が進む状況下で、日本人の多くが失ってしまったものだ。だからこそブータンの思想に郷愁をさそわれる日本人が多いのかもしれない。
幸せとはなんだろう。私は何があれば幸せだと感じるだろう。時間?お金?名誉?-この問はきっと、未来永劫続く人類最大の疑問だろう。ブータンの幸せが全ての人々の幸せであるとは言い切れない。また、ブータンの「幸福追求」の姿勢が、グローバル化が進む現代においても維持できるのかはわからない。もう一度問い直したい。そして、それを世界中の人々が実現させるためにはどうすべきかを考えたい。

 「幸せって、何だっけ」

【ホンヨミ!】ブランド大繁盛【田島】

堺屋太一「ブランド大繁盛」

「ブランド 価値の創造」「プレミアム戦略」「サマンサタバサ 世界ブランドをつくる」などに続き、ブランドという高価格帯を扱う本はこれで4冊目。現代のマーケティングにおいて「ブランド」というものが重要な位置を占めるということは理解できたが、どの本を読んでも「どういうことをすればブランドになりえるか」ということはよくわからない。ブランドは非常に繊細なバランスの問題であり、一般論というものが出しづらいのだと思う。

この本においては、ブランドというものを「伝統ブランド」「大量生産ブランド」「知価ブランド」の三類型に分類している。これまでの本で「ブランド」とされてきたものは、おもに本著では「知価ブランド」として扱われている。「知価ブランド」とはその価格の圧倒的な部分が「知価」つまりイメージに支払われているものである。逆に、高価格をつけることによってブランドは「イメージ」を作り出しもする。
さて、今年度上半期ヒット商品番付の一位にも輝いた「ファストファッション」について考えてみる。「ファストファッション」が支持されている理由は「安いのに可愛い」ということである。つまり、高級ブランドにまでは及ばないものの、「消費者が満足できる程度」のデザイン性と「廉価価格」を両立しているところがポイントである。以前まで、デザイン性はファッションブランドだけのものだった。しかし技術の向上やグローバル化による安価な人件費の獲得によって、「ファストファッション」のデザイン性はどんどんあがっている。人々は、自分たちが高級ブランドに今まで支払っていた「知価」に出費しなくても、似たようなデザインのものが安く買えることに気がついてしまったのだ。また、最近人気のファストファッションには「一商品大量生産」ではなく「多種類少量生産」という戦略をとっているところが多い。商品はすぐ入れ替わるので、消費者は気に入ったらすぐ買うことが求められている。「知価ブランド」が生産数を抑えることで消費者に与えてきた「飢餓感」は、ファストファッションにおいても可能なのだ。

【ホンヨミ!】V字回復の経営【金光】

『V字回復の経営』 三枝匡



前に読んだ『戦略プロフェッショナル』と同じ筆者だった。どうりで文体とか視点が同じだと思った。

この本は、経営の手法(戦略)というよりも、社内の立て直しの過程だった。だから方法というよりもいかに「人」に訴えて人を動かすか、という印象を受けた。

これを前に読んだことがある父は、気に入っていたらしい。

でも私には、企業がどういう団体かわからないので、会社ってもっとすごい自分とかけ離れた難しいところかと思っていたけど、ゼミも部活もサークルも同じじゃないのかな。だって人の集団だし!背広を着た大人だって、意外と幼かったりするんだなァという感じがした。特に、古い体質を守りたい、変わるのが怖い、だからすねてみたり、っていう態度を読むと、学生と同じー!!と思ってしまった。

集団としてみると、ことがうまくいくかはトップが大事。そしてサポートする優秀な人材を見抜くことができるのがトップとして大事。今まで埋もれてても、目立たなくても、見る人が見ればわかるものらしい。そして、熱さとほどよい緊張感も大事。知識は補えるけど、その人が今やってることや発言に本気かどうかはすぐに見抜かれる。
が全体を通して筆者が強調していたこと。

あと印象的だったのは、プレゼンをする改革主要メンバーが大変な時間をかけて用意して、やっと社員全員が聞く耳を持ち、真剣になりかけた会議の場での話。大切な会議なのに遅刻して入ってきていきなり雰囲気をぶち壊す発言をした社員に対して、主人公の黒岩が怒鳴りつけたこと。

社員たちが一斉に、黒岩の対応に興味の目を向け、さぁどうするのか、諭すのか、あきれるのか…と思ったら、彼は怒鳴った。その一発が周りも覚醒させたし、何より本人がやっと失態に気付いたと思う。そこまでされないと気付かない人だろうということ。そして、現実世界で、そんなふうに怒鳴る人が減っているような気がすること。
自分がもう大学生だからかもしれない。大教室で怒鳴るおっかない教授が珍しいということは、やはり怒られなれていないということ。怒られないからって自分たちが優秀になったわけではないと思う。黒岩がそうであったように、怒るときは真剣だから。いい加減な人は怒りの気持ちも抱かない。
自分は、さすがにこの本のぶち壊し社員のような悪い意味でのKYな行動は絶対に取らない。でも、悪いことは悪いと言ってくれる人が近くにいてほしいと思う。

【ホンヨミ!】パラダイス鎖国【山本】

『パラダイス鎖国 忘れられた大国日本』 海部美知 アスキー新書

 私にとって、この本は冒頭部分から驚きの連続だった。なぜなら、日本があまりにも住み易い国で、パラダイスのようだから若いひとは海外に出たがらないという話は、最近、ニュースや授業で日本の雇用問題や経済格差のはなしばかりを聞いていた私にはかなり新鮮に思えた。
 そんなに私たち日本人は、この国を住みやすい国と思っているだろうか。先日学部の授業で比較価値の話を聞いたが“日本が住みやすい国である”と認識するためには、そもそも前提として他国の住みにくさを知らなければ分からないと思う。つまり日本が住みやすい国であるとわかっているひとは、他国の住みにくさについてもわかっている、グローバルな人間なのではないだろうか。また、現代の若いひとは海外に出たくないのではなくて、経済的な問題で出ることができないだけなんじゃないかとも思った。

携帯電話のガラパゴス現象について、日本市場が独自の技術発展を遂げたことだけが理由でなく、日本企業が人も資金も国内市場に傾斜投入したことが最大の原因であるという話は、初めて聞く話だったので、とても勉強になった。

【ホンヨミ!】竹中式マトリクス勉強法【内山】

竹中式マトリクス勉強法/竹中平蔵

政界に入るような人はやっぱり違うなぁと思った。政界という場に限定しなくても、成功する人というのうは、きっと皆そうなのだろう。とにかくストイックでいられる方法が列挙してあった。たとえば、飲み会には出るがすぐ抜け出したりとか、自分にとってプラスにならない人、つまり人脈たりえない人とは深く付き合わないとか、とにかく合理的。たぶんわたしのような人間には難しいのかも、と思いつつ、今思えば受験のときは同じようなことをやっていた。わたしが通っていた塾はみんな仲がよくて、いっしょにご飯を食べたり、一緒に帰ったり、とにかく団体行動が好きだった印象がある。わたしは喋ってるぐらいなら早く家に帰って寝るなり勉強するなりしたかったし、家だとやる気が起きないからせめて電車で復習したかった。だから授業が終わると颯爽と帰った。ご飯も食べながら暗記したかったから一人で食べた。いま慶応にいられるのは、だからかも知れない。昔できたことをいまできない、とか、やりたくない、と思うようになったのはどうしてだろうか。たぶん、わたしのなかで目標がはっきりしていないからな気がする。まだ足元がぐらぐらしていて、自分が一体何者なのかが判断できない。考え足りてない気もするし、考えすぎな気もする。よくわからないまま走るのは正直辛いけど、止まるのももったいないから、とりあえず進みつつ考えていきたいと思った。この本に書いてあることは、目標が定まれば、きっと生きると思う。

【ホンヨミ!】ソフトバンク「常識外」の成功法則【池亀】

ソフトバンク「常識外」の成功法則/ 三木雄信

ちょっと大げさかもしれないが、私はずっとソフトバンクを日本の通信業界に現れた言わば黒船のように感じていた。だからその孫社長も外資系企業よりの経営理念を持った方だと想像していた。しかし、本書で書かれている孫社長のスタンスはそうした私が抱いてきたイメージとやや異なるものだった。

特に、孫社長の人材活用術はとても意外で、私はソフトバンクも欧米の外資系企業のように厳しい人事手法を取り、そこでは成果を残せなければすぐに移動や解雇が行われているものと思っていたのだが、孫社長の人事手法はそれとはまたちがうようだ。

それはまず、経営幹部を外部からヘッドハンティングしないところにも表れていよう。今や日本の大手企業でもトップが外部から採用されているというのに、ソフトバンクはM&Aの対象とした企業の幹部をそのままソフトバンクの幹部にさいようするという形をとることでそれを避けている。また、正社員の長期的教育にも力を入れており、これも外資系企業にはみられない特色だろう。さらに、企業として社員に常に仕事の結果を求めるのは当然のことだが、それで孫社長から組織変更や更迭を言いだすこともほとんどないそうだ。このように、孫社長は企業内の人材を育成し、その中で人材をまかなおうとする気持ちがつよい。これは、日本企業の理念と共通するところかもしれない。

2009年6月24日水曜日

【ホンヨミ!】Google-最強のブランド戦略-邪悪にならないこと【大賀】

ニール・テイラー著、石原薫訳「Google-最強のブランド戦略-邪悪にならないこと」(2006年、ソフトバンククリエイティブ)
2009年6月24日読了

***

 Googleのメインページのデザインはシンプルであるがゆえに斬新だ。シンプルイズザベストというが、実際には「シンプル」なものはそれほど多く存在しない。現実世界においても、「インターネット」という仮想空間においても、それの持つ情報が多くなればなるほど物事は複雑な形になる。Googleの情報量はその名の通り「世界を制す」程に多い。だがそのメインページはシンプルだ。Googleのロゴと、検索窓があるだけ。中身の情報量を感じさせない程にシンプルでわかりやすい。図書館で見た、難解な学術書を思い出した。内容量は膨大だけれども、それを感じさせない簡素な表紙を担っている学術書と同じ様相を、Googleは持っている。そのシンプルなメインページが、そしてまた、「Google」という名前とロゴが、ユーザーのニーズを考えた上で作られたものだったとは!Googleはその計画を見事成功させた。いまやGoogleはひとつの名詞となり、「ブランド」となり、また動詞となっている。
 本書は、Googleの裏話からそのビジネスモデル、サービス形態まで記した「解体新書」と言えるべきものだ。Googleがなぜ「世界一」のサービスと言われるのかを知りたい人々にはお薦めの本だ。ただ、こういうコンテンツ系の本にはよく有ることだろうが、やはり「Google」を信奉し過ぎている感は否めない。本書を読んだだけで世界のコンテンツビジネス全てがわかるというわけではないだろう。その点にだけ注意して読みすすんでいくべき本だと思う。

 さて、Googleのロゴの話に戻るが、気になったので調べてみた。Googleロゴ、季節や行事に合わせていろいろ変わるのは知っていたが、こんなにたくさんの種類があったとは驚きだ。→Googleホリデーロゴ 名画をいじったりアニメキャラクターをつけてみたりと、ユーモアに溢れている。ロゴのデザインに注目するだけでもGoogleはやはり、「世界一」の面白さがあるのかもしれない。

【ホンヨミ!】web進化論【戸高】

梅田望夫著『web進化論』

 今や常識的知識になってしまったweb2.0や、ロングテールといった単語。この本が書かれたのは2006年初めなので、主に2005年までの内容が書かれているのだが、当時としてはかなり画期的なものであっただろう。
 ロングテールには「ニッパチの法則」、つまり、恐竜の首の部分が全体の売上の8割を占めるも、その尾の部分にもまだ2割の売上の可能性があり、それがAmazonという場に商品情報を置いておき、レコメンドシステムやレビュー機能などのサービスによりその商品情報をより適切な消費者のもとへ届けることで十分なビジネスにまで成長した。
 このことはすでに知っていたのだが、「ニッパチの法則」が、100年前の経済学者による、「富の80%は人口の20%の人々によって占有される。」という経済法則までさかのぼることができる。以前、information rulesを読んだ時にもそうであったが、新たな技術が登場してきても、そこに用いられる法則は、既存の経済体系や、法体系の組み合わせを改良したものであって、何も新しいものではないのである。
 つまりは、昔の事例といったものをよく観察していくことが重要となってくる時代なのだ。それは、ゼミでもしょっちゅう議論している著作権法でもそうであり、デジタル時代の著作権法は、フェアユース的考えを導入し、判例を参考に著作権のあり方や判決を考えていかねばならないといった方向へと進んで行っている。
 本著の内容としては、googleについて書いてある本ではよくあることなのだが、googleを称賛しすぎている気があって、少しうんざりした。それだけすごい企業なのは重々承知の上だが。

フランスに学ぶ国家ブランド

フランスに学ぶ国家ブランド/平林博


国家をブランドという観点から比較しているのが面白かった。
フランスと聞くと少し高貴な、アーティスティックなイメージを持つ。実際に、フランスは世界で一番美しい言語と呼ばれたり、町の景観保護に力を入れていたりブランドを保つ取り組みを多く行っている。大統領の強いリーダーシップや国民性などがそれを促しているのだろう。


それと対極的に、日本はブランド力があまりない。文化、技術などポテンシャルはとても高いが宝の持ち腐れになっている。それは発信力の弱さにあるのだろう。日本は国連の常任理事国でもないし、貢献度の割には十分な発言力は得られていない。この部分を解消していく必要もある。そうすることで、日本に対する見方があらゆる面で変わるかもしれない。


日本は面積も狭く、農業が盛んなわけでもない。技術は優れていても、インド、中国の勢いを見ると、技術力で負けてしまうのも時間の問題だろう。そこで、日本が売りにしなくてはならないのは、文化だと思う。
日本の政治は自国の文化に冷たい。しかし、村上隆や日本の漫画が世界中で愛されていることから、日本の現代文化には十分な商品価値がある。文化を大切に育てていく必要があると思う。これは著作権の問題にも通じるが、もっと日本が文化に寛容でより自由な創造ができる仕組みをつくるべきだと思った。

2009年6月23日火曜日

【ホンヨミ!】クラウド・コンピューティング【栫井】

クラウド・コンピューティング/西田宗千佳


前回のNCをやるにあたって、大賀さんにお借りした本。
時間がなかなかとれず、最小限しか読めないままプレゼンに臨んだのだが、読んでおけばよかったと思った。出てきた意見に対応できそうなことがたくさん書かれていたし、クラウド・コンピューティングを全体から見ることができた。

クラウド・コンピューティングという言葉は、技術ではなく現象を表すという見方に、今までふわふわしていた言葉の意味が頭の中で少し落ち着いたように思えた。筆者の言うように、雲ではなく氷山の一角としてみると良いのかもしれない。今までのさまざまな技術動向の結果として、クラウド・コンピューティングという言葉で表現されているのだ。
この言葉を、今まであった技術の言い方を変えただけで単なるバズワードであると言う人も多いが、クラウドというのは「発明」ではないのだ。
ゼミで特に話が出たセキュリティの問題・サービスの不具合についても書いてあった。ウェブアプリとローカルアプリにはそれぞれの良さがあるし、それぞれ不具合が起きることはありうる。正直読んでいて、どちらにも同じようにメリットデメリットがあって、どちらを使った方がいいのか、よくわからなくなってきた。
セールスフォース・ドットコムのCEOが言うように、すべてがクラウドに移行するとは私には思えない。企業内では今後クラウドの連携によって、公開が難しい部分と公開するメリットが大きい部分を切り分けて使い勝手を良くしていく、というのが現実的な形だろう。
この本を読んでみて、自分の知らないコンピューターの話に触れられ、もっと勉強していきたいと思った。

大賀さんありがとうございました!^^

【ホンヨミ!】心の処方箋【小宮】

心の処方箋
河合隼雄著・新潮社

***

読んでよかったなと思う本。
自分はつい考え過ぎてしまったり、追いつめられてしまったりする。
そうするとどんどん解決策を考える思考力もなくなり、
泥沼にはまっていってしまう。

しかし、それは考え方を変えるだけでかなり楽になったりする。なにか困難や、どうしようもないことが起こった時も、「もうだめだ」などと思うわけではなく、「成長のチャンスを与えてくれた。この状況からどのように抜け出そうか」などと考えることによって常にプラス思考に持っていくことが生きていく上で必要なのだなと感じた。

プラス思考といっても、楽観視とは少し違う。楽観視は失敗しても、「まあいいや」と思うことであり、プラス思考は「今回の失敗は仕方がない。いい勉強になった。次回にどのように生かしていこうか」と次に次に活かしていこうとすることだと自分の中で定義している。

考え過ぎてしまったり、追いつめられてしまう時というのは視野が狭くなっており、長期的な視点に欠けている状態になっているのではないかと考える。長期的に見ればその失敗は何でもないことであったり、この状況を乗越えることによって自分にとってプラスとなると考えていくことによって気分が楽になる。

今後社会に出て行くにあたって様々な壁にぶつかり、
様々な失敗をしていくことになるであろう。

どのようなことがあってもプラス思考、長期的な目線をもって生きていきたい。

【ホンヨミ!】50のキーワードで知る勝てる広告営業【小宮】

50のキーワードで知る勝てる広告営業
戸練直木著・誠文堂新光社

***

様々な方にお話を聞くにあたって、
自分のやってきたことや、やりたいことを考えると
君は営業の方が向いているのではないか?
知らないだけであって本当は営業がやりたいような感じに思うよ。

と言われたことをきっかけに読んでみた本。

自分の中での勉強不足の部分が多かったのだが、
広告の営業に対するイメージが大きく変わったように思う。

広告の営業はプロジェクトにおいてリーダー的な存在である。
いわば映画のプロデューサーのような形。
誰を登用して、どのように資金配分して、
どのような戦略でいくのか。

営業には人を動かしていくこと、
プロジェクトをマネジメントしていく能力、
新しいアイデアを発想していく能力、
チーム内や取引先との関係性を作り上げていくコミュニケーション能力
など様々な能力が求められる。
つまりユーリティープレイヤーにならなければならないのだ。

非常にやりがいのある仕事だと思った。
加えてこれから就活をしていくにあたってもっと
様々な仕事に関して理解していくことが必要だなと痛感した。

書かれている内容で印象的だったのが、
「100%の企画書よりも早い60%の企画書」
という部分。ビジネスにおいて早さというのは最も重視するべき問題。

僕はついクオリティを重視するあまり、仕事が遅くなったりしてしまう。
これからの学生生活においても、社会人になってからにおいても
早さや締め切りという面をしっかりと徹底していきたいと思う。

【ホンヨミ!】コミュニケーションをデザインするための本【小宮】

コミュニケーションをデザインするための本
岸勇希著・電通

***

この本の著者は広告界の常識に囚われない
新しいアプローチを打ち出していっている人だ。

現在広告業界は、
(1)情報の大洪水により情報が埋もれてしまう
(2)メディア環境の変化により、メディアを見てもらえない、
もしくはattentionを持ってメディアを見てもらえない。
(3)消費者行動の変化により、情報を疑うようになり、
広告が効かなくなってくるなどの壁にぶちあたっており、
時代に即した変化が求められている。

ただ受動的な情報を発信するだけではなく、消費者がより能動的に関与することができる情報を発信していくことが求められるであろう。

現在は既存の常識が通用しない難しい時代であると言われる。
これは広告業界に限らず様々な業界でをあてはまることであるが。
しかし、それはチャンスだと捉えることもできるのではないだろうか。

既存の常識で通用しなくなったということは、
今までは常識によって阻まれていた新しいアイデアが
採用されやすくなったことを同時に意味する。

「創造とは破壊することである」
という言葉を思い出した。
新しいクリエイティブなものを作りだしていくためには、
ある程度のリスクを背負うことは覚悟しなければならない。

この本によって紹介されている事例はどれも既存の常識では考えられなかったようなアイデアばかりである。

消費者のことを徹底的に考え、消費者が能動的に関与していけるような新しい仕組みを常に考えていく必要があるだろう。

【ホンヨミ!】次世代コミュニケーション【大賀】

横山隆治他著「次世代広告コミュニケーション」(2007年、株式会社翔泳社)
2009年6月23日読了

※参考図書
週間東洋経済6月13日号「大激震!広告サバイバル」

***

日々の生活を思い起こしてみる。朝、朝ご飯を食べる前にテレビをつける。しかし番組を見る時間はないので、データ放送で今日の天気を確認するだけ。その後大慌てで準備をし、電車に乗る。始発に近いので大体座ることができる。座って一息つき、目の前に見える広告に目を通す。新しいお茶が発売されたらしい。「にごり」か、変な名前だなあ、まあ気になるから今度買ってみるか。そんなことを考えていたら睡魔に襲われ、気がつけばぐっすり眠っていた。「秋葉原ー秋葉原ー」車内アナウンスが響く。やばい寝過ごすとこだった!慌ててホームに降りる。コンタクトがずれて目の前がよく見えないけどとりあえず歩かなきゃ。経験値で稼いだ道筋をたどって山手線のホームに行く。目薬を点してコンタクトを直しつつ電車を待つ。ベンチに荷物だけ置いてちょっと伸びをする。へえ、「古代ローマ帝国展」か、面白そうだな。夏休みに行こうかな。ベンチ後ろの広告に記された博物館情報を見て胸をときめかせてみたり。そんなことをしているうちに電車が来た。混雑した山手線車内に乗り込む。ぎゅうぎゅう押されっぱなしだから携帯も出せないし、本も出せない。うーん困ったな。まあ仕方ない。とりあえず上を見上げて「トレインチャンネル」に目を通す。結構面白いんだよね、これ。続きが気になって降り損ねそうになったことが何度あったか!おっと、気がつけばもう浜松町。次で降りなきゃ。田町に着いて早足で歩く。一限にはぎりぎり間に合いそうだ。改札口近くのフリーペーパーが気になるけど我慢我慢。通学路のフリーペーパーも気になるけど我慢我慢・・・「兄貴」って名前のフリーペーパーいつも気になってるんだけど、あれなんなんだろ。名前からして男性向けな内容?今度誰かに聞いてみよう。そんなこんなで大学到着。さて、今日もがんばりますかね。

・・・このように思い起こすと、いかに屋外で広告に接する機会が多いかということがわかる。ただ思うのは、「ただ見て終わってしまっている」ということだ。例えば電車広告に携帯をかざすと、その商品に関する情報が携帯に送信されるとか、そんな「パーソナルなもの」との連動が有れば面白いのに、と思う。クロスメディアとは、「様々なメディアを連動させて広告効果を高める方法」だという。テレビや新聞といった「マス広告」とインターネットとの連動は進んでいる。しかしそれ以外にも、まだまだ発展の余地はあるのではないか。広告を使って人々の注意を引き付ける。問題は、その後、どのように人々の記憶に焼け付けるかだ。

 一度自分の行動を思い起こしてみると、「効果的な広告」が何であるのかが見えてくる。私は広告会社を志望しているわけではないが、少しだけ興味がわいてきた。次世代の広告を作り出す仕事、やっぱり、魅力的かも。

0619ゼミの感想

NC Salesforce.com

 

 今年の始めにやったクラウドコンピューティングの議論の時よりも煮詰めた議論が出来たように思う。日米でのクラウドの導入の違いは、以下の3点に起因する。1.短期的な利益の上昇/下落で経営陣が評価されるか否か、言い換えると即効性を持つかどうかで評価されるという企業風土の違い。2.クラウドはほとんどアメリカの企業によるものなので、他国は踏み切りづらいということ。3.日本の非戦略的な経営--例えば外部へのアウトソーシングへの抵抗など。

 また、日米に関係なく情報というものは一度流出すると取り返しのつかないことになるので、情報のセキュリティ保護のための保守的な姿勢が当分緩和されることはないのではないか。逆にクラウドを提供する側にとっては、商機ともいえる。例えばセキュリティの度合いを数値化するなどして信用を高めたり、セキュリティ度の違いによって価格差別をするなどが考えられる。また先ほどの3点の2番に関わる事だが、ゆくゆくはアメリカの情報一極支配にならないように、各国(特に日本)はそれぞれ自国製のクラウドサービスを展開せざるをえないのではないか。



NC 改正著作権法

 

 最近この話題関連のニュースを全くと言っていいほどチェックできてなかったので、今回のNCは凄く役に立った。というか今までのも含め、4期生のNCがよく調べられて来ているので、感心する。負けてられない(笑)

 裁定制度や国会図書館のサイトのアーカイビングなどは初耳だった。特に後者はウェブサイトの保存という点でかなり重要になってくるのだと思う。ネット上で記事が流れる事が多いIT業界では、重要な記事がリンク切れになっている事などが多々ある。ニュースの保存という面でウェブサイトの保存は重要である。

 日本版フェアユースの取り込みが今回行われつつある事は何となく知ってはいたが、具体的な政策までは知らなかった。一般規定を定め、その他に関しては判例重視というのは、日米法の折衷案のような気がした。



英語プレゼン

 

 テーマがフリーかつ、英語という条件で、かなり各々の素が出ていて面白かった。(ていうか大賀さん凄っ!)皆が言っていること、言わんとしていることはほぼ分かったが、その一方で質問したり受け答えたり、言いたいことがちゃんと英語に落とし込めなかったりで、発信する能力はまだまだ不足していると感じた。英語で話すことにはそれほど抵抗はないので、今回に限らず、英語はゼミの活動に取り入れていっても良いんじゃないかと思う。

【ホンヨミ!】フューチャリスト宣言【栫井】

ウェブ進化論などの著者である梅田氏と脳科学者である茂木氏の対談。まず、茂木氏がウェブの世界の専門家である梅田氏に互角に渡り合い、同じフィールドで話を進めていることに驚いた。
内容は、今までに読んだ梅田氏の著作と似通っていたが、ヒトについての科学とウェブが混ざり合うことで新たに見えたものもあった。たとえば、グーグルなどの持つテクノロジーは、人間のモチベーション・インセンティブを高め、人間がウェブ上にばらまいた知の断片がグーグルを賢くしていく。ウェブと人間の相互作用で、どんどんポジティブな化学反応が生まれていく。2人のフューチャリストかつオプティミスト同士から生まれるインターネットの未来図は、読んでいてわくわくするものだった。
また、この本を読んで、初めてギャップイヤーというものを知った。新卒であることが重要な日本の就職活動ではとても難しい。履歴書に少しでも空白があるということは、日本では致命的といっていい。以前、知り合いの大学生が海外の友人に日本の就活を説明するのは難しいと言っていたが、海外においてこういう考え方が一般的ならば、日本の新卒の重要性を説明するのは困難だろう。自己紹介をするとき、自分の所属ではなく自分が何であるのかを言うために、自分探しの旅期間といえるギャップイヤーは重要だ。日本の就活界が、このことを認識してくれる日が来ると良いのだが。

【ホンヨミ!】ロングテール【栫井】

ロングテール/クリス・アンダーソン

金ゼミに入ってから、ロングテールという言葉を幾度も聞いたが、初めてこの言葉の発案者の著書を読むことができた。

一番印象的だったのは、音楽市場におけるニッチ文化の発展である。音楽とは反体制的な色合いも持つ文化なだけあって、もともとヒット作の裏でニッチ作が幅を利かせていた。しかし、ニッチ文化の曲は限られたクラブでしか聴くことが出来ず、物理的に開かれたものではなかった。日本で言えば、シモキタザワのレコード店だろうか。行けばニッチな音楽に触れられるが、物理的に行くことが出来ない人はニッチ文化を知らずにヒット作しか聴くことはない。そんな人たちにニッチ文化への扉を開いたのが、アマゾンなどのロングテール文化だ。限られたヒットだけではない、限りなく広い範囲をカバーしたアマゾンはウェブという物理的な壁を超越した空間で発達していった。アマゾンのほかにも、聴きたいと思った曲をネット環境にありさえすればいつでもダウンロードできるiStoreなども接触の幅を広げていった。最近の音楽市場に、以前のようなミリオンヒットが生まれにくいのは、従来のニッチ文化がヒット文化の割合をじりじりと縮めているからではないかと感じる。ロングテールの発展は、ニッチ文化をニッチでなくす可能性もあることではないだろうか。

【ホンヨミ!】アカデミック・スキルズ【田島】

『アカデミック・スキルズ 大学生のための知的技法入門』 佐藤望他編著

(0612週の書評)
私が受講している「アカデミック・スキルズ」という授業のテキスト。この授業は「情報を集め、整理し、アウトプットする」という大学生に必要とされる基礎的な能力の養成を目標としており、そのメインテキストである本著も、発表や論文を控えたときに逐一見直せるような有用性のあるものになっている。
この本は「知とはなにか、教養とはなにか」という疑問から始まる。何のために勉強するのかというのは大学生である私たちがいつも考えなくてはいけないことだろう。現在の私にとって、それは「面白い」からである。第一に、考えるという行為は楽しい。実際のところ私はグーグルやアクトビラに対しそんなに興味があるわけではなかったが、それについて一生懸命考えることは楽しかった。新しい技術についてはいまだ答えが出ておらず、なおかつ現在進行形なので、考えるのは難しいがわくわくするし、フィードバックもある。第二に、知識を得ることは楽しい。興味があるものだと知識を得るのは楽しいし、逆に知識を得ることで、いろんなものを楽しめるようになる。以前は著作権法に対して知識もなければ、だからこそ関心ももてなかったが、今は金ゼミなどで知識を得て、著作権を考えながらインターネットができるようになった。知識が増えると、世の中に「面白い」と感じることが増えるから、とてもいいことだと私はおもう。
その後は情報収集の方法、整理方法、論文の書き方などがまとめてあってとても助かる。図書館や電子ジャーナルの使い方などについても詳しく書いてあるので、活用できる度合いは高い。大学生活において一冊持っておくととても便利な本だと思う。

2009年6月22日月曜日

【読書】見える化【勝部】

企業活動・組織マネジメントにおける「見える」ことの大切さを語っている。個別事例に関してはそれほどの重要性を感じなかったが、このコンセプトが面白いと思った。「見える化」はただ単に情報を公開することではなく、無意識的に、否応なしに「見せる」ということである。



その点で、よくあるITに偏重した「見える化」を批判している。「透明性」ともまた違う。情報をまとめてデータベース化しても、それを見る者が少数なら何の意味も無い。また、「データは重要だが、それ以上に大切なのは事実」というのも納得できた。数字は嘘をつかない、というのは大嘘で、それは改ざん可能という極端な意味ではなく、解釈や立場によっていくらでも操作が出来てしまうからだ。だから、「事実」をいかに組織全体に見せることが出来るか。これが出来れば生産性・効率性は飛躍的に伸びる。



読み終えて思ったのだが、このことは何も企業に限ったものではない気がする。というのも、自宅でもコレを実践できるのではないかと思った。やりたいことや、やらなければならないことを「見える化」したり、読みたいものや目を通さなければならないものを「見える化」すると個人的なパフォーマンスも向上するのではないかと思った。

【ホンヨミ!】ロングテール【金光】

『ロングテール』クリス・アンダーソン


先生流速読術にしたがうと、たぶんこの本で筆者が言いたいことは名前のとおり「ロングテール」についてなので、おそらく前半(むしろ数十ページ)に凝縮されていて、そこを読めばいいのではと思う。

ロングテールについては、自分が輪読のときに扱ったこともあり、馴染み深かった。筆者はこの「ロングテール」という言葉の発案者。
ロングテールの概念を、一言でみんなにわかりやすく言葉にしたのが彼。実際にこの現象を肌で感じ、実践していた経営者たちにとっては当たり前なのかもしれない。経済学者という職業は、このような覚えられやすく理解しやすい、けどいろいろな事象に当てはまるヒット発見をすると成功、とされるのかなと思った。
80:20の法則について私は聞いたことしかなく、理解しきれていなかったので、この本でロングテールと対比して読めたことは良かった。
また、食料品についての記述も興味があった。アメリカの農民に大きな影響を与えたシアーズカタログが始まったことは、英語の教材で軽く触れたことがあった。通販では煮詰まったと見て、すぐに実際の店を出してまた成功をおさめたことはすごく先見の明があると思った。シアーズの流れ作業を見学に来たフォード社車のせいでの方向転換というところが一見皮肉でもあり、お互いに良い技術を出し惜しみせずに提供して成長し、結果成功しているのがいいなと思った。
最初、筆者はロングテールが当てはまらないものとして小麦粉などを挙げた。でも、それもニッチな需要によって該当してしまう。ロングテールが成功するのは、その品物が安く仕入れられて場所をとらない時、つまりネットの取引にすごく向いているということはおさえておこう!!

【ホンヨミ!】ブレインの戦術【戸高】

岸博幸著『ブレインの戦術』

 自己分析→自己鍛練→情報収集→行動

 だいたいの自己啓発本や、人生論が書いてある本には、そこで行う内容に少しの差はあれど、以上のことを行えば成功すると書いてある。
 このうちの1つの過程でも欠けていれば、十分な判断を行うことはできないし、行動しても失敗ばかりだ。
 失敗をすることは、著者から言わせれば、行動を起こし、失敗を経験することによって新たな発見や、次の仕事につながるのでどんどん失敗すべきということだが、それもやはり十分に事前調査や、自己を見つめ直してから行うべきことである。
 そして、著者は大きなことを始めたり、世界に出て活躍してほしいなどということを考えているのではなく、視野を広く持って、今自分がいる組織や先入観などのしがらみを断ち切り、自分の夢や目標に向かっての努力を継続することで達成感や成功体験を少しずつ積み重ねる。
 それを続けることでさらなる精進意欲が自己の中に芽生え、もっともっと成長しよう、疑問を持ったことは、ただただ仲間内で話し合うだけでなく、行動を持って変化させていこうといった意志が芽生え続けるのだ。
 金ゼミの「思考力・伝達力・行動力」のうちの行動力はまさしくこの本の中心に置かれているものだが、行動を起こして人を納得させ、既存の体制を変えていくためには思考力と伝達力が必要なのは言うまでもない。
 3つの力バランスのとれた人間になれるよう努力をしなければ未来は暗いままだ。

ゼミ感想

【クラウドコンピューティング】

以前ゼミでクラウドコンピューティングに関するプレゼンを行ったが、今回のプレゼンは前回のものよりもさらにいいものであったように思う。プレゼンターの山本さん、カコイさん、勝部くんに敬意を表したい。

クラウドコンピューティングに関してはリスクと、対価の比較によって採用するか否かが決定される。リスクを避けると言われる日本において今後クラウドコンピューティングがどのように発展していくのか注目したい。

【著作権法改正】

このNCのプレゼンも素晴らしかった。今年の著作権法改正に関しての知識というのは網羅的に得ることができたと思う。個人的に興味があったのは音楽自警団。これによって違法サイトが少しでも減るといいのだが。まだできたばかりのシステムなので、注意深く見守りたいと思う。

【英語プレゼン】

英語ができない僕にとって、みな英語がうまいなと感じた。しかしそのできないことをそのままにしていることは問題だなと感じた。やはり言語という共通のツールがなければ国際市場の舞台にすら立つことができない。英語から逃げることによって自分のフィールドを狭めてしまっているのではないかと考えた。今後英語の勉強も頑張っていきたいと思う。

ゼミの感想

NC「Cloud Computing」
初めてのNCプレゼンター。正直本当に穴があったら入りたいぐらいでした・・。議論を発展させることの難しさを思い知りました。言いたいことが上手く言葉にならないもどかしさ、言うべきことが出てこないもどかしさ・・・。
議論をぐいぐい引っ張っていくこと、1つ1つの発言をしっかり拾って、1問1答にしてしまわないこと。今後の課題がまた出てきました。
個人的には、前回のプレゼンの際pptが文字に頼っているという指摘を受けたので、それを改善するようにしてみました。評価シートをもらうと、目的意識の方向性がより定まります。私もしっかり他の人のプレゼンに少しでも指針を与えられるようにしたいです。

クラウド・コンピューティング、今回は山本さんも言っているように「クラコンについて知らない4期生にも理解してもらうこと」を目標にしていました。どうだったでしょうか?
自分自身もコンピューターについて基礎の基礎から知らなくて、SaaSやらCRMやら、わからない言葉だらけの状態でスタートしたので、実際100%理解できていたかというと自信がありません。しかし、今回このテーマを設定したことで、だいぶコンピューターへの理解が大きくなったと感じます。難しいテーマでしたが、選んでよかったと思えます!


NC「著作権法改正」
着実に進むyoutubeやニコニコ動画など無料動画サイトからのダウンロードに歯止めをかける点、オンデマンド、デジタルアーカイブ化の普及を推進する点で画期的な今回の著作権法改正。
著作権について、また1つ勉強しました。
何度か今までのゼミでも登場していたフェア・ユースについて、再確認できたことが大きな収穫でした。一度理解したように思えて、実は理解できていなかった言葉は、これ以外にもたくさんあると思います。せめて、本当に必要な概念・言葉を理解できるように、復習していけたらと思いました。

英語プレゼン
みなさんのこなれた英語に圧倒されました。英語を喋り慣れているな、と感じる人のプレゼンは聞きやすく、訴えかけてくるものも大きかったように思います。
扱っているテーマがそれぞれ違うならば、アプローチもさまざまで見ていてとてもおもしろかったです。
私のプレゼンは来週だと思うので、説得力のあるものにできるように、英語、がんばります。

0619ゼミの感想

◎NC1「crowd computing」
今回発表していた三人が三人とも、単に情報を収集するだけでなく、それを頭を使ってスライドにまとめていたのが聞いていても感じられた。なんというかカッコよかった。このような工夫を感じられるスライドを私も作りたいと思う。
crowd computingに関してはまだ正直少し掴みきれていない部分がある。自分の予習が足りてないせいが大きいので、しっかり復習しておきたい。ビジネスにおけるすべての作業段階が、このクラコンのように、より安く、より優秀なところに外注化されていく。ダニエル・ピンクも書いていたように、今後すべての作業は適材適所な場所に委託されることとなるだろう。インターネットの進歩がそれを可能にしている。したがって、これからのビジネスで生き残っていくためには、その「適所」になるか、自らがクリエイティブなアイディア主になるかのどちらかしかない。また、世界のライバルたちを負かし「適所」になるためにも、クリエイティブなアイディアというものは不可欠である。思考の重要性を再認識させられた。

◎NC2「著作権法改正」
初めてのNC担当ということで、結構プレッシャーを感じた。しかし、事前にコメンテーターをやっていたのがいい経験になった。私がコメンテーターだったときの担当者だった宮村さんを参考にしてがんばった。(参考サイトはあまり流せなかったけれど・・・)
自分のプレゼンに関しては、10分という制限時間を(少しオーバーしてしまったが)無理なく使えたのではないかと一応満足している。内容に関して、金先生から少し違うとご指摘を受けたので、事前の理解が徹底していなかったことは反省している。だが金先生の指摘によって私もちゃんと理解をすることができてよかった。コメンテーターの二人は、私からの事前情報が少ないにもかかわらずよく調べてとてもわかりやすくまとめてくれた。NCが充実したものになったのは二人ががんばってくれたおかげだと思う。
以前総務省にヒアリングをしにいった情報通信法といい、今回の著作権法といい、日本政府もやっと時代の潮流に追いつこうと、重い腰を上げようとしているのは実感できた。しかし、それでもまだ間に合わない。私たちがNCで学ぶ新しい技術はいつも外国発信のものだ。一般規定である日本は、フェア・ユースで「やったもん勝ち」のアメリカには到底かなわない。来年度以降あると予想される「日本版フェアユース」の導入で、日本の企業がいつか一番手になることを期待したい。
質問はユーザー目線ということもあってか無断ダウンロード違法化について集中していたが、もっとみなさんと議論してみたかったなあと時間が足りなく感じた。特に日本版検索エンジンの導入について。青春ぴんくがプレゼンしていた家電のネットワークと関連づけられないだろうか!?近所のスーパーの在庫状況をチェックできたり、日本の季節野菜のレシピを自動更新してくれる冷蔵庫とか。検索技術でグーグルに勝ることは至難の業であり、「ローカライズ」こそが鍵ではないかと私は考える。

◎英語プレゼン
みなさんそれぞれのテーマにオリジナリティがあり、聞いていてとても楽しかった。しかし英語で質問をするのはとても難しい。自分の英語レベルに合わせて質問の濃さも下げてしまいがちだ。
今回英語プレゼンを聞いていて感じたのは、「全部を理解してもらう必要はない。大筋を理解してもらうことが大事」ということだ。次回自分がやるときは、話の核となる部分は強調していったり、シンプルな言葉で言おうと思った。

2009年6月21日日曜日

6月19日のゼミ

【NC】
「cloud computing」
私達3期生が去年に扱ったものの、3人のNCの方が説明などよかったのではないだろうか?たぶんかなり勉強したのだと思う。cloud computingに関する本も貸して欲しいといっていたくらいだし。
cloud computingの日本の市場規模の大きさから察することなのだが、日本がcloud computingに転換しにくい状態であることは想像できる。
ただ、日本や中国は中小企業が多いのだから、この技術が伸びる可能性はかなりある。リスクを考えないのは馬鹿だといわれるかもしれないが、リスクを知って挑戦することは重要なことだと思う。日本にも、もっとチャレンジする精神があれば面白くなるだろう。日本を死ぬ気で面白くする。なんか書いてて面白くなった。

「著作権法改定」
著作権に関する話は私の弱点分野なのだが、今回のNCを通して理解したことは大きい。特に日本とアメリカの違いなど、新しく得た知識もあるし、一方で、著作権と著作隣接権に関することなど、今までに出てきたことの中から、さらに理解を深めたこともある。
とりあえず、私はこのゼミで個人で無断にコンテンツをダウンロードすることの違法性を認識してしまったので、改定内容が施行された後は著作権を無視したダウンロードはできなくなる。気をつけよう。
ただ、このように規制が強化されればそれの逃げ道を必死で作ってきたのが歴史であるから、今度も何かうまい抜け道を誰かが作るのかもしれない。

【英語プレゼン】
やはり久しぶりに英語を使ったので、能力がかなり落ちていた。やっていく中で少しずつカンを取り戻したので、ある程度回復したと思う。来週以降ではできるだけ本調子で話せるようにしたい。
今回プレゼンをした人は皆面白かったと思う。それぞれの個性がでたプレゼンテーマであったし、内容も興味深いものがあった。
自分もそこそこ満足できたが、やはり英語で、ということだったので、自分の言いたいことが100パーセント言えていないことにもどかしさを感じた。しかし、皆の評価は高かったので、とりあえずよしとしよう。
ただ、気になるのは、自分のプレゼンがポエティックだといわれたことだ。これをさらに今後のプレゼンなどで、どう活かそうか、気になる。せっかくの自分の特徴なのだから伸ばしたい。

0619ゼミの感想

NC

クラウドコンピューティングは表面的にしか理解していなかった。特に、クラウドの問題点には考えたことがなく、良い勉強になりました。特に、アメリカにクラウドの技術が集中してるため少し危機感を覚えた。これからネットの向こう側で多くのことが可能になってしまうのだから、もっとインフラの技術が重要になると思った。これも日本はあまり強くなく、あまり日本の未来は明るくないのかもしれない。
salesforceなどアメリカの企業がこれ以上肥大化しないうちにはやく手を打つ必要があると思う。



著作権
著作権の勉強をしないといけないと思っていたところなので、ちょうどよかった。プレゼンの質も高く理解しやすかった。裁定制度など使われていないもの多く、いかに利用していくかという部分の議論も必要だろう。やはり、難しく細かいところまでは知識が行き届いていないので、自分なりのフレームワークを作って議論に備えようと思った。



英語プレゼン
みなさん英語すごいですね。
英語の学習の重要性に気付かされました。1年間授業をとってなかったこともあり、だいぶ英語力が低下してました。これから最低限の会話ができるくらいまで勉強しようと思います。武士道、KYなどみなさんの興味に少しですが触れられたのでそれもよかったです。

ちなみに、僕が紹介した本は佐藤雅彦さんという方の本で、左脳のクリエイティビティを持った人だと僕は思います。最近「差分」という新しい本が出たので、図書館などで見てみてください。個人的にはツボです。

0619ゼミの感想

・NC
 今回、初のコメンテーターとして掲げた目標が“cloud computingについて全く知識のない人が、完全に理解できるプレゼン”だったが、自分の前準備の足りなさにただただ落ち込んだ。SaaS/PaaS/HaaSについてももっと分かりやすい説明法があったと思う。結局は自分が120%理解することが出来ていないからこのような結果になってしまうのだろう。最近の自分はなんだかだらしがない。次こそは頑張ろう。
 cloud computingは日本でどの程度広まるのかという話が出たが、Microsoftのように、従来のインストールベースのソフトウェアとcloud computingのネットベースのサービスとの両輪がしばらく続くのだと思う。しかし実際のところセキュリティへの不安があるとはいえ現に三菱東京UFJ銀行では、三菱UFJグループへのクラコン導入によるコスト低減で、投資余力が生まれたという結果を出している。NTTやKDDIもクラコンの進展で生まれる新たな市場に新規参入するなど、これからクラコンがどんどん日本に浸透していく感が溢れている。
 今度は、企業だけでなく個人にとってのクラコンについてもディスカッションしてみたいと思った。それにしても、今回のような私にとって用語を理解するだけでも一苦労のテーマは、概念化(conceptual thinkingというんでしょうか。)に持っていくのがとても難しい。
 最後に、今回クラコンの理解にあたって、以前のスライドをメーリスに投げてくださった先輩方、お忙しいなか本当にありがとうございました。

・英語プレゼン
 最初はなんだか直前まで日本語でしゃべってたのに急に英語でディスカッションをすることが恥ずかしいようなむずがゆいような気持ちがしましたが、英語のディスカッションも楽しいですね。次回も楽しみです。
 今回は特に彩子ちゃんのプレゼンが、テーマも面白くて説明の仕方も分かりやすくてよかったなと思いました。

・戸高さん誕生日
あめでとうございます!戸高さんが凄く嬉しそうな顔をしていて良かったです!

【ホンヨミ!】楽天の発想【内山】

講演会に行ったときに買った本。この本よりも、正直その人の話について書きたい気分であるが、とりあえず本について触れたいと思う。あまりおもしろくなかったけど、発想の転換がいかに大事か、ということがわかった。発想の転換とはつまり自己暗示以外の何物でもないとわたしは思うのだが、自己暗示であろうがなんであろうが、それによってポジティブになれるならそれに越したことはない。どんな逆境においても、プラスに考えていれば、最終的な結果はわからないが、ネガティブに考えているよりもいい結果が起こるのは確実だと思う。書評も、自分のためだーって思ってたらなんだか楽しいし、要するに世の中気の持ちようなのだろう。結局気持ち、あきらめたら最後、できないは禁句。プラス思考の人がそばにいたら場の空気も明るくなる。楽天って素晴らしいことだなと思った。さいきんなんとなく物事をマイナスに考える習慣がついてしまった気がするので、プラスに切り替えたいと思う。いつもポジティブでいられたら、無敵でいられる気がするから、ポジティブに考えて無敵になろうと思います。

この本の筆者の話なのですが、プラス思考でいたら、人生においてプラスになるような人との出会いがたくさんあって、いまものすごく充実しているらしいです。もちろん、そこにいたるまでの紆余曲折は話を聞いている限り大変なものでしたが、プラスの気持ちはプラスのものを引き寄せるのでしょう。プラス思考で金ゼミにもたくさんいいものを呼び寄せたいです。

【ホンヨミ!】持続可能な福祉社会【内山】

日本の福祉についての本。祖母と生活することで、手にとってみた。「見えない社会保障」ということばを読んで、ああーと思った。たぶん今回の祖母とわたしの家の関係がそれにあたるのだろう。しかし、昔の見えない社会保障はより強固であった。田舎に行くとよくわかるのだが、本家といわれている尾田家(母の旧姓)の中心的な家があり、祖母のめんどうを叔父の家が見れないときに、祖母のために力を尽くしてくれる。田舎にはそういった見えない社会保障が存在するところには存在している。しかし過疎化が進んだ土地に住むひとや、生まれた土地を離れた人にとって、そういった社会保障は存在しない。実際、わたしの老後はどうなってしまうのだろう。わたしはひとりっ子なので頼る兄弟もいなく、もしもわたしに子供ができたなら迷惑をかけないうちにそういった施設に入るつもりでいる。しかし世の中にはそうするお金がない人もいっぱいいるし、今話題の年金問題など、高齢者大国日本には福祉における懸念が多い。また、人生後半だけでなく、人生前半にも社会保障をおくべきだという筆者の主張はとても興味深かった。格差が広がり、人々は生まれたときに同じスタートラインに立てない。それを是正しろ、ということである。たしかにわたしがいま慶応に通っているのは、家庭がそれなりに裕福であったことに起因する面も大きいだろう。(もちろん、裕福でなかったら慶応に来ていないとは言い難いが)チャンスがお金を理由に潰れてしまうのは、たしかに惜しいことだ。しかし、さいきん友達がノリで言っていた「天下りとかって言ってるけど、そりゃああいつら勉強したもん。いいじゃんそれぐらい」というセリフが、わたしの胸に残っている。努力が報われるのは理不尽ではない。世の中って難しい。しかし、若い芽を潰すのは、そういう現実があるのは、やっぱり悲しい。そういった事態を変える気概がわたしにあれば。

0619ゼミの感想

【クラウド・コンピューティング】
ちょうど前々回のゼミ終了後の食事の席で、クラウド・コンピューティングについて話題にあがりました。しかしその時、クラウドについては漠然としたイメージしかなかく、今回NCで取り上げてもらえてよかったです。
私はクラウド・コンピューティングに関し肯定的な意見を持っていて、セキュリティもしっかりしていてなおかつコストも安く済むというのなら、利用しないてはないのではないかと考えていました。しかし議論を通じ、クラウド・コンピューティングを利用することは日本国内の重要な情報が海外で漏えいされるリスクが多少なりともあることや、万一クラウドがダウンした場合大きな損害を被るなどの問題点も確認することができてよかったです。

【著作権法改正】
ゼミの中で度々登場する著作権ついて、あらためて確認する機会がもててよかったです。また、著作権法というと複雑で難しい印象を受けますが、今回のプレゼンは大変分かりやすくてたすかりました。
今年度の著作権法改正により音楽や映像の無断DLが違法と規定されるわけですが、罰則はないということなので、改正に無断DLに対する抑止力を期待すなら、もっとこの改正内容を人々に知らせるべきだと思いました。施行されるのは来年ですが、無断DL件数に減少傾向が見られるのか注目したいです。

【英語プレゼン】
とても楽しかったです。普段日本語で行われているゼミの場で英語が飛び交うという状況に、すごく不思議な感覚を覚えました。
実際英語でプレゼンさせてもらいましたが、みんなの前に立つとあがってしまい、質問を受けても答えてるうちに最初の質問内容を忘れてしまうといった具合に、うまく頭がはたらきませんでした。
英語での思考力ももっと鍛えていきたいです。

さいごに、戸高さんの誕生日会成功してよかったです!
あらためて、おめでとうございます!

ゼミの感想

【NCについて】

Cloud  Computingについては自分自身、事前にこれといった知識が全くなかったので、今回のプレゼンを聞けたことはプラスになったが、理解するのがとても難しかった。完全に理解できた訳ではなく、以前、本屋に行ったらCloud Computingに関する本が沢山あったので、これから自分で本を読む必要があると思う。だが、まずCloud Computingの考え方として、複数の企業情報(顧客情報など)をたった一つのPCのデータベース上で管理しているが、PCの中ではそれぞれの企業情報は区別して整理されている。それは、あたかも、一つのPCの中に沢山のPCがあって、その沢山のPCとそれぞれの企業情報が一対一の関係で整理されているかのように。これを、仮想化と呼ぶと同時に、これがCloud Computingの基本的な概念と言うことで、仕組みを理解できたのは自分にとって大きかった。また、Cloud Computingは便利だが、一つのPCで複数の企業情報を管理するため、ハッキングされる可能性に対するリスク対応も迫られると思う。このような状況の中で、コストがかかるために中小企業は自社で顧客情報を管理しきれないが、Cloud化することで、安全な情報管理が行えるというような趣旨の発言があったと思う。これは、納得できるが、では、何故NTTのような大企業も顧客情報のCloud化に踏み切ったのかの話も聞きたかった。

そして、著作権法改正について。今までは不正サイトへ音楽などのコンテンツをアップロードしていた業者だけが違法行為をしていると見なされていたが、改正によって、ダウンロードするユーザーの行為も違法となった。しかし、それに対する罰則がないということで、どれだけ効果があるのかなと思ったのが正直な感想でした。ただ、自分は意識するようになったが。また、この話に関連して、裁定制度(著作権者が分からない場合、政府が権利者に代わって著作物の使用を承諾する制度)が出てきましたが、これによって、今までの著作権の内容と合わせて、著作権に関する内容は網羅できると先生も仰っていたので、これから自分で整理する必要があると感じました。さらに、著作権が強化されることでインセンティブはアップし、弱めるとイノベーションがアップするというのが今までの認識でしたが、これはあくまで仮説に過ぎず、前者の場合は占有率がアップし、後者の場合は共有率がアップするということしか確実に言えないという先生の話も興味深かったです。視野を広げる必要があると痛感しました。

【英語プレゼンについて】

みんな英語がちゃんと話せてて、びっくりしっぱなしでした。特に、大賀さんとジョニーさんはすごいですね。何も見ずに、あんなに自分の言いたいことを長考することなく伝えられるんですから。自分も頑張らなければと、ものすごい焦りを感じました。内容はみんな別々で、それぞれの個性が出ててとても面白かったです。個人的には、戸高さんともっとゆっくりサッカーの話をしたいと思いました。

0619ゼミの感想

 今回のゼミは私用で早退することになってしまいすみませんでした。英語のプレゼンも参加したかったし、バースデーパティーも参加したかったです><!

・NC

 クラウドコンピューティングという言葉はメディアコムを受験する際に「現代用語の基礎知識」にのっていたので、聞いたことはあった。「サービスを受ける側から見ると、サービスの提供元は大きな雲(cloud)のような漠然とした存在であり、サーバーの構成や場所、システムの構造など雲の内部(あるいは雲の向こう側)を気にしなくても、必要なサービスを必要な時に利用できるネットワーク(インターネット)の形態」と説明が載っていたが、これはユーザー視点での解釈だと気がついた。そして、今この説明は要するにプラットフォームのことで、使う側としては1つのサービスを利用しているつもりが、実はそのプラットフォームにはいろいろな企業が参入していた、ということだとわかった。身近な例としては、Amazonはさまざまな企業とユーザーのマッチメーカーの役割をはたしているが、私たちユーザーは「Amazonを利用する」という意識が強いのではないだろうか。 また今回はクラウドに参入する企業側の視点に立って考えることができた。情報を一括して管理することに対して安全面の不安はあるが、逆に中小企業にとってはアドバンテージになるのではないか、という意見は鋭いと思った。組織力の弱い中小企業だったら、現在のネットワークに乗り遅れたり、バージョンアップの速度にもついていけないだろう。クラウドの組織はやはりそれなりに組織力の強さや安全面が誇れることが前提なのだから、そこに委託することで有利になることもある。反対に、大企業などで自社内ですべての管理がまかなえていて、かつ自信がある企業にとってはクラウドに参加することは不安にしかならないのかもしれない。 クラウドが使われるべき場合とそうでない場合について考えていきたい。 私は正直今回クラウドについてまだはっきりと理解できたわけではない。しかし、半年前の自分は説明を読んでも具体例すら浮かばず、利用したことがあるのに何か別の次元の話だと思っていたので、多少はわかるようになったのだな、と思った。
 改正著作権法について、やはり今著作権保護を緩和することで、新しい文化を創造していこうという動きがあるのだと思った。緩和の項目の中に国会図書館のデジタルアーカイブ化があった。私は国文学専攻なので、古い時代の貴重な資料をいつか調べなければならないことになれば、気軽にその資料を手にすることができるので便利だと思った。良いものなのに使われないもの、能力があるのに行動を起こせない人、が世の中にはたくさん埋もれていると思う。著作権法は毎年改正されているとのことなので、これからさらに変わっていくのだろうか。そしてフェアユースについてだが、これは法というわけではなく、あくまで判断の基準となるものだが、そもそも日本には新規のものに対して裁判が起こってその判決がでる前に違法されてしまうため、判例が存在しない。よって基準も生まれてこない。だからフェアユースという概念は日本に適さないのだとわかった。

・英語プレゼン
 一番にやらせていただき、早退したためみなさんのプレゼンが見れませんでした。来週も引き続きとのことなので、発言をがんばりたいです。
今回私が扱ったテーマは、去年放映された「GATE」という原爆についてのドキュメンタリー映画についてです。(つたわりにくかったと思うので)この映画の監督さんがGNDFundという世界核兵器解体基金という組織の代表の方で、その方の日本のオフィスが三田キャンパスの近くにある、ということで、先週小川ゼミの先輩の紹介でオフィスに行き、映画を見せていただいて監督さんともお話することができました。監督さんはより多くの学生(特にビジネス思考が得意な慶應の学生!)にFundの活動や映画について知ってほしいみたいで、その広報活動の一貫としてプレゼンのテーマにしました。なので金ゼミの皆さんにも興味を持っていただけたらいいなと思っています。以下にURLを載せておくので見てみてください! ちなみに、もし映画が見たいとか興味がある、という方は私に連絡をくだされば、オフィスで見ることができます!ぜひ。

映画GATE

GNDFund

【ホンヨミ!】変われる国・日本へ【戸高】

坂村健著『変われる国・日本へ』

 まず、この本で日本が「イノベーション25」という長期的戦略を打ち出していたことを初めて知った。
 ここでは、人口減少、少子高齢化に拍車がかかり始めた日本社会を、技術革新、新しいアイデア、ビジネスによるイノベーションで持続的成長と、豊かな社会を実現することを目標にしているそうだ。
 しかし、日本におけるイノベーションはなかなかうまく進んでいるとは言うことができない。もちろん日本のお得意分野である、商品に関するイノベーションや、トヨタのカンバン方式などに見られる、プロセスイノベーションは強いが、ソーシャルイノベーション、つまり、制度設計に関するイノベーションはまだまだ欧米諸国には劣っている。
 それは、イノベーションを生むための環境や、法体系などがもともと日本の法体系は大陸法で、アメリカやイギリス式の、ケーススタディ、判例による裁判ありきの法ではないためなど、理由はいくつかある。
 また、10年、20年後の社会の様相など、誰にもわからないが、日本はその将来図を決めてしまってから、イノベーションに取りかかろうとしている。一方、アメリカやイギリスは、「人材教育」「投資戦略」「インフラ」という強化すべきポイントを政府が定め、予測できない未来に対応するのではなく、何があるか分からないからこそ、イノベーションは起きやすい環境を設計するといった強い意志がみられる。
 もちろん、法制度や文化的慣習が違う日本に、そのまま米英の制度を持ってくるということはナンセンスかもしれないが、戦後日本はそれで発展してきたような部分もある。あとは、それをただ取り入れるだけではなく、いかに日本国としての制度として改変し、イノベーションを起こしていく強い意志をもった国家を形成するのかといったことが重要なのであろう。

0619ゼミの感想

ゼミを欠席してしまい、もうしわけありませんでした。
同期のNC、内容は難しいけど、ものすごくおもしろそうだったので、生で聞きたかったです。それから書評、1冊もアップできていなくて申し訳ありません。本は読んだので、今週6冊アップします。祖母と接して、日本の福祉の在り方に興味を持ちました。次の日曜まで、介護の大変さを肌で感じたいと思います。こればかりはテクノロジーだけではどうにもならないかも知れないな、と思いました。人の手と頭脳がないと。子育てと似てるかも知れません。英語プレゼン、がんばります。

2009年6月20日土曜日

6月19日ゼミの感想

まず、先週の書評アップが大幅に遅れてしまってすみませんでした。しかしかなりの良書に出会えたので個人的には嬉しかったです。

●NC
 今回のNCはクラウドコンピューティングと改正著作権法の2本。私は著作権法のコメンテーターを担当した。NCをやってみて思ったのだが、実際に前にでて議論を見ているのと、議論に参加しているのとはかなり違った感覚だった。とりあえず、発言が出てこないとじれったい。むしろ自分がべらべら喋りたい。ということはだ、これを自分に置き換えてみると、発言しないことは相当じれったいと思われているのではないか。そんな変な感覚を味わえたNCだった。

 まずはクラウドコンピューティングについて。以前、アマゾンの渡辺さんがいらした時のお話とリンクする部分が多く、復習にもなった。定額給付金のシステムで用いられているというのは驚きだった。このような日本にとっては新しく、信用度も低い分野については、政府などが積極的に使っていくことで普及するきっかけになるのではないかとも思う。

 その他にも、クラウドコンピューティングはどのような分野で応用できるか考えてみたが、応用できる分野が多すぎて、これは無限の可能性を持っていると思った。これはたしか渡辺さんが言っていたと思うが、たとえば医療の分野での応用。私は病院でバイトをしている。病院では患者の情報は病院内のサーバーに保存してあり、それを呼び出し・管理・計算などを行うソフトと連動している。しかし、医療関係の法律が毎年改正されるため、ソフトがその改正に追いつかないのだ。だから、診察料の計算時など、マニュアルには書いてない特殊な手段でソフトを操作するしかない。そしてシステムメンテナンスのため、よくシステムが停まる。しかし、もし「あちらの世界」にソフトや情報を置き、管理すれば、更新作業等らくらくできてしまうと思う。毎年の法改正にも柔軟に対応できるはずだ。

 このように、更新を必要とするソフトウェアの管理に、クラウドコンピューティングはうってつけだ。こんなに可能性を秘めている分野は他にあるだろうか?僕のバイトも楽になるので、ぜひしがらみ等にとらわれずどんどん導入してほしいものである。

●英語プレゼン
 とても楽しかった。おかしなもので、ネイティブの前で話すより気が楽だ。こう考えると、やっぱ私は変なプライドにとらわれやすくシャイなのかなと。しかし、私は外国人と話すのが大好きだ。英語力のなさは結構なんとかなってしまうものでもある。
 今回とくに思ったのだが、まずは日本語でモノを考え、伝えられることが大切。日本語もろくに喋れないのに、英語で伝わるはずがない。もっと日本語を操れるようにしたいものだ。

もりだくさんなゼミ

【NC】
・cloud computing
名前だけよく聞いていたけど、今回扱ってもらって良かった。確かに日本企業がいま世界に遅れをとっているからこそ、世界に追いつくために日本市場が伸びる可能性はおおいにあると思う。議論中にも出たけれど、銀行で行われていることと同じシステムなのに最近まであまり企業のデータベースには利用されていなかった、その思想の転換が新鮮だなと思った。
話を聞いていて、私も一番最初に思ったのは、中心となる情報データバンクが攻撃されたりダウンしたら、主要な企業が一気にダウンするのではということ。セコムの例はとてもわかりやすかった。国民性なのかどうなのか、こうして安全性を最初に考えるという癖があるようだ。中小企業を相手にしている(していく?)のでは、という意見は納得した。


・著作権法改正
初のコメンテータですごく張り切っていろいろ調べたけれど、問題の理解に時間がかかった。一人で調べていると、NCがとてつもなく大変で、質問攻めに合うというイメージが頭の中にできてしまった。実際にやってみると、緊張しすぎていた気がした。前に立っていると、NCを聞いている人は決して攻撃的じゃなくて理解しようとしてくれているのがすごくよくわかった。
うまく要約して大事なところだけみんなに伝えられなかった気がして残念だった。質問にそなえていろいろ準備はしたけれど、やはり身近な違法ダウンロードへの関心が高く、デジタルアーカイブ化については突っ込まれなかった。でも準備をすることで安心してのぞめたから良かった。
法学部ということも少し役立てて良かった。フェアユースの問題も出たが、おそらくアメリカは判例国家ということは大きいと思う。アメリカは判例が法律と同じ重みを持つ。だから、グレーでも裁判に持ち込み、判例として勝ち取ってしまうとそれはその人だけでなくそれ以降の人にも適用される効力を持つ。日本は、判例に従う慣習はあっても法律と同じ効力はない。司法も立法を担うアメリカ。これは大きな違いではないだろうか。

【英語】
英語は敬語がない。また日本語みたいに、言いにくいからオブラートに包んで言うなんてことはできない。単刀直入に話す。だからいつもより交わす言葉も情報も圧倒的に少ない。でも関係が遠く感じたりはしなかった。英語は集中しないと聞き取れないので、ものすごくその人の言葉に耳を傾けた。気がゆるんでぼーっとしていると本当に内容が頭に入らない。頭フル回転だった。でも実際、いつもがスムーズだけに、展開のスピードなどにもどかしさを感じていたのは聞いていた人も話す人も少なからずあると思う。プレゼンは来週にも続くが、こんな機会がもっとあるといいなと思った。

夕食のときの話にも出たのですが、向上的な雰囲気と、誰かが言うことを能動的に聞いて、理解しようとしてくれるこのゼミの環境は幸せだと思いました。四期生の姿勢は三期生の取り組む姿勢と、その雰囲気によるものが大きいと思います。ゼミの雰囲気は半分作り、半分伝えられるものかもしれません。
戸高さん、おめでとうございました!
サプライズ、成功ということで…この一年、ゼミでも素敵な思い出いっぱい作ってください!!

0619ゼミの感想

 夏が近づいてきてそわそわわくわくが止まらない大賀です!まあその前に試験期間があるんですけどね・・・^^;

●NC「クラウド・コンピューティングとSalesforce.com」
 クラウド・コンピューティングに関しては昨年度のゼミから学んでいて議論を重ねていますが、いまいちよく掴めていませんでした。特にそのサービス概要についてはわからないところだらけだったので、非常に勉強になりました。まとめづらいテーマにかかわらず、NC及びコメンテータの方々はよく勉強をして発表に臨んでいたと思います。議論に戸高君が言っていた「個人向けと企業向けのサービスという分野ごとに考えたらどうか」という意見にはなるほど、と思いました。今回の議論では時間の関係もありできませんでしたが、次の機会ではぜひ数多く存在するクラウド・サービスの検証をしてみたいと思います。
 日本企業の、クラウドへの参加が少ないという事実は、いざデータとして示されると何だかいたたまれない気持ちになりました。日本人の「閉鎖性」を如実に表していると思います。ですが私自身、企業側の立場に立ったらクラウドに不信感を抱くことは間違い無いと思います。よって、クラウド・サービス側が、起こり得るリスクを全て説明し、そうした上でも「コスト削減のためにはクラウドへの参加が良い」と声高に主張すべきだと思います。HP上などで告知しているとの話でしたが、それだけでは不十分なのではないでしょうか。また、日本企業側も、クラウドをただ毛嫌いするのではなく、まずはどういうものなのかを知ってほしいです。
 「中小企業にとってはクラウドが成長のチャンスになる」という考えは面白いと思います。日本企業が積極的にクラウドに参加した時、何が起こるのか。中小企業が成長し市場は豊かになるのか、今後の動向に期待です。

●NC「改正著作権法」
 著作権については今年度のゼミで扱うことが多くなりました。そのたびに議論が白熱してとても面白いですね。金先生が仰っていた、「文化審議会ではゼミ以上の議論は絶対に出ない」という言葉には驚きましたが、その事実を知ってモチベーションが上がりました。ゼミで行う議論には、利害関係を考える必要性はありません。だからこそ面白い意見が交換されます。そうした場を、「学生のうちに得ることができた」という誇りを持って今後も議論に積極的に参加していこうと思います。
 私が著作権法改正の話を聞いて思ったのは、「ダウンロード違法化といっても、本当にそれが抑止力となり得るのだろうか・・」ということです。明確な刑罰が無ければ、ユーザーは違法とわかっていてもダウンロードをし続けると思います。現に私もヘビーダウンロードユーザーですが(笑)おそらくは今後もダウンロードし続けると思います。・・ただ、刑罰が無いにしても、民事訴訟で訴えられる可能性が有るとしたら、怖いのは事実です。はたしてどうなることやら。形骸化した法制度になるのか、それとも、人々の行動が変わり新たな(隠れた?)ダウンロードサイトが出来上がるのか。気になるところです。
 裁定制度については、今回の話を聞くまで全く知らなかったので勉強になりました。コンテンツの再利用や二次利用へのニーズは今後ますます増えていくと思います。そうした中で、裁定制度の範囲を広げることは良い判断だと思います。インターネットのオンデマンドサービスに加えて、テレビでも昔懐かしいドラマやアニメがもっと頻繁に見られるようになれば、より幅広い層のユーザーのニーズを満たせるのではないでしょうか。私の祖父はパソコンを使うことができないので、テレビの再放送を楽しみにしています。祖父のようなお年寄り世代のためにも、テレビを介した映像配信でも積極的にコンテンツ二次利用を行ってほしいです。

●English Presentation
 英語でプレゼン&議論ということでひたすらドキドキでした。そしてやはりまだまだだな、と痛感しました・・・。もっと精進します。また今回私がプレゼンしたテーマは、かなり理念的なテーマだったのでわかりづらい部分もあったかもしれません。いつかリベンジしたいです。
 家に帰ってから、私と同様に歴史好きの母と語り合いました。「今の世の中に武士道を持った人間は生まれ得るか?」ということに関してです。現代の世の中にも、武士道の根本にある6つの精神を持った人々は居ると思います。スポーツ選手などがその代表例でしょう。ですが私と母の見解としては、「彼らの持っているものは武士道そのものではないだろう」ということです。武士道とは、かつて、武士の共通意識として存在していました。武家に生まれた子供は勿論、農民の子供でさえ、物心つく前から「武士になる」ための教えを受けていました。武士道は彼らの中に「染みついた」ものだったのです。彼らは後に大人になってから、様々な主君のもとで戦うようになります。たとえば幕末であれば倒幕派と佐幕派。しかし彼らの持つ「武士道」は同じものです。だからこそ彼らはお互いの存在を認め、尊重し、戦うのです。・・はたして現代の世の中に、このようなほとんど先天的な「共通意識」としての「武士道」を持った人々は居るでしょうか?「侍が侍を斬るのは互いに譲れぬ義を抱いているからだ」という言葉がとある本に載っていました。その言葉が、武士道の信念を表しているように思います。
 ・・・と、長々と語ってしまいました。話を戻しまして、英語プレゼンについて。来週も引き続いて行うということですが、もっと積極的に発言して活発な議論を繰り広げたいと思います!

 My English level is not very high, but I like to speak English. I want to speak English fluently and communicate with many people all over the world.When I try to speak English, I always talk to me in my HEART.. "Don't be shy!" It's my policy! XXXXD

●戸高代表誕生日企画
 水面下で続けていましたサプライズ企画でしたが、喜んでもらえたようで何よりです!満面の笑顔に不覚にも萌えましたよ!トレーニングしてもっとガチムチな感じになってくださいね^^本当におめでとう!

誕生日のゼミの感想

 すんません、タイトル調子乗りました。うん、まぁ僕は果てしない恥ずかしがりなので、まだ手紙には目を通せてないです。どうしましょ、すごく恥ずかしいしありがたいです。1日寝かせてから読みます。本当に生きていてよかったと思います。

【NC:salesforce.com】
 salesforece.comというかクラウドコンピューティング全体についての話だった。1月のゼミで1度クラウドコンピューティングを扱ったが、その時は表層を理解したつもりでいた。しかし、それは本当につもりであって、今回のNCを行う上で予習してみると、なるほど!と理解しなおすことができた。
 世界のコンピューターが、Google, Yahoo!, Microsoft, Amazon, salesforce.comの5つになってくるという話があり、さらにそれが1つになるかもしれないという話が出た。それは、逆に新たにクラウドに参入してくる余地が他の企業にないということを示しているようなものだ。しかし、それは本当にそうなのか。
 僕はそう思わない。ゼミでも話が出たが、どこかのクラウドが不調でとまってしまうということが1度でも起きれば、その信頼性を一気に失ってしまうことになり、すると、さらに技術の高い企業が参入することが可能になる。もちろんこれら5社の技術はトップクラスに高いもので、セキュリティや機能を維持することに最新の注意を払っているだろうが、「ガレージでこそこそと技術を高めている姿の見えないプレイヤーが1番怖い。」と言われているように、技術だけならば大企業と個人、または中小企業の差がなくなりつつある。
 ここに、改正著作権法でも話題に上った、日本でGoogleは生まれるのかといった問いの答えがある気がする。確かに、難しいだろうが、可能性はゼロではない。

【改正著作権法】
 今回、またフェアユースの話が出てきた。金先生が言うには、日本版フェアユースは近々必ず可決されるとのことだが、まだまだ日本が解決すべき問題はあるだろう。
 日本の著作権法の特徴である、明文化と、アメリカのグレーゾーンの混在がおおまかな日本版フェアユースの図みたいだが。やはりフェアユースが可決されると、裁判が可決以前よりも多く行われることになるだろう。
 すると、日本の法曹界人口の少なさの問題が如実に表れてくるに違いない。アメリカは、人口10万人当たりの弁護士の数が約360人であるのに対し、日本はたった20人程度でしかない。すると、訴訟がたくさん起こってもとても裁判がおこなわれる状態にはならないのだ。日本版フェアユースに関する議論はもっともっと詰めていかねばならないだろう。
 また、自警団の話は、去年の今頃できた、予告.in(http://yokoku.in/)に少し話が似ているなと思った。
 予告.inは、去年の秋葉原事件を受け2ちゃんねるなど掲示板上での、犯罪予告が問題になり、それを事前に防ぐために、政府が何億もの金と十分な時間をかけ、問題を事前に解決する仕組みを作り上げると発表した当日か、その翌日に、一般人が作り出した、同様のシステムである。民間が0円ですぐさまそういうシステムを作れるのに、政府は何やってんだと話題になったもんだ。
 そして今回の自警団だが、これはさらにインセンティブを設けることによって、ユーザーの積極的参加を呼び掛けている。ちょっと無理がある解釈ではあるがクラウドの集合知の利用だろう。こういったように、クラウドの集合知、クラウドソーシングの利用は無限の可能性を秘めているのだ。

【英語プレゼン】
 自分が興味のある分野では質問できた。今回はサッカーだったけど、僕は野球部で、なんでサッカー好きなの?って思うかもしれないけど、野球部ってすべからくサッカー好きで、野球の練習にどんだけ疲れてても、クラブ終わりにサッカーやったりして、よく顧問の先生に怒られたりするもんなんです。
 そんなどうでもいいことは置いておいて、だから、村山君の日本代表とオーストラリア代表分析に対しては、まわりがポカーンとしつつも質問できたけど、自分が事前知識のない分野にはほとんど質問できなかった。質問が見つかっても、それをいかに簡単な英語に直していいのかという作業がなかなかうまくいかなかった。
 これは場数をふむしかないだろう。英語プレゼンの内容は個人の趣味だけど、頭の使い方や、質問を考える姿勢というのは、すごく金ゼミ的思考が強化される。それこそ、日本語を自分が扱えるレベルの英語に直すために、いじっていくのはすごく頭の体操になる。
 もっとこういう機会が得ることができればいい。

2009年6月19日金曜日

21.6.19 ゼミの感想

今日こそ一番乗りっ!って早くても別に意味ないですね。



【NC】

金ゼミに入って初のコメンテーター。この一週間は結構ハードだったけど得られるものも大きかったと感じる。クラウドコンピューティングなんて言葉少し前は全く知らなかったのに、今じゃ人に説明できるようになっていて、僭越ながら自分の成長を実感します。また、議論を重ねることで自分が見えてなかった面が浮き出てきて、ゼミの相互作用はこういうものか、と思いました。日本にクラウドコンピューティングがまだ根付かないのは、みんな、金先生が言った日本的企業心理が大きいと思いますが、一番はまだ市場が初期段階だという点が大きいと思います。インターネットには国境がないので、この流れに日本だけが乗らないなんてことはないと思います。極端だが、今から僕がこの分野に参入してもまだ大手になる可能性はあると思います。あくまでたとえ話ですが、それくらい大きなチャンスだと感じました。





【英語プレゼン】

英語プレゼンのあとにディスカッションをするなど思っても見ませんでした。自分のプレゼンに議論点が見つかるか若干心配です。僕は大学で英語の授業を一切取ってないので、かなりのブランクがありますので、あまり積極的に質問することが出来ず自分の無力さを感じました。仮にも留学を目指しているので、次は積極的に発言したい。

【ホンヨミ!】ジャーナリズム崩壊【岸本】

 本書のタイトル「ジャーナリズム崩壊」はあまり正確ではない。正すなら「腐敗がやっとバレてきた日本のジャーナリズム」といったところか。

 本書は悪名高き「記者クラブ」問題を軸に、日米のジャーナリストのスタンスの違いを、体験を交えて描いている。全体を通じて筆者の憤りが伝わるような文体は読み手を選ぶかもしれない。

 個人的には日米の新聞の誤報を巡る扱いの箇所で、「ベストエフォート方式」や「英米法」を思い出した。個々のジャーナリストの責任で書かれた記事に仮に間違いがあれば、その訂正は大々的に知らせられなければならない。その訂正まで責任を持って初めて報道と呼べるものだろう。(やや性質は異なるが、生放送の報道番組などでの訂正の扱いの小ささが気に食わない。)

 また、以前から日本の新聞の記事に署名がない事も気にかかっていた。単にニュースソースを体よくまとめ、他社と異なる意見を述べる部分は署名なしで記す。これではネットに負ける。優秀な個人個人が集まっていようと、組織として、集団として腐敗していればそれは意味をなさない。せめて記名制にすれば、いざというときのネット時代にも生き延びていけるのではないか。

 筆者はかつてニューヨーク・タイムズに勤務していたため、日米の新聞業界比較に多くが割かれているが、たとえばヨーロッパの歴史ある新聞社や、他の雑誌などの媒体でのジャーナリズムはどのような組織や個人の仕組みで成り立っているのかが気になる。

【読書】天才の読み方【村山】

かなり読みやすく、読むスピードが遅い自分でもかなり早く読むことが出来ました。印象に残った部分は二か所。まずは、天才とはどういう人物なのかを紹介している部分。我々は、天才とは何の努力もせずに、元から自分には無い優れた能力を持っている人物だと思いがちである。かく言う自分もこのように考えていた時期があった。しかし、本書では本当の天才とは、「量をこなせる人物」であるとしている。現在の自分は、この意見には大いに同感である。自分もこれまでより読書量を増やしたことで、限られた期間内で膨大な情報を処理することの難しさを痛感したと共に、読書量を増やして初めて、今まで出会った人の中で頭が良い(発言が論理的であったり、日常生活での時間の使い方が上手だったり)と思った人物はみんな他者とは比較にならないほど本を読んでいたということに気付かされたからである。ただ、量をこなすには、それを実行するための量の蓄積期間(例えば今までよりも読書量を増やすとか)が必要になるため、他者よりも果てしない努力が要求される。
別の印象に残った箇所は、このことと関係があるのだが、「あることに徹底的に集中する期間を作る」という部分。読書をするなら、月に何冊とか目標を決めるのではなく、とにかく出来る限り読み続けるということ(私たち学生は授業の課題もあるので、週に三冊と設定するのは致し方ないと思うが)。このように、一つのことに徹底的に集中する期間を作ることで(因みにこの期間は月単位ではなく、年単位などの長い期間を意味している)、他者との差を広げろ、ということである。そして、この量の積み重ねがあってこそ、初めてある時に質的な変化を引き起こすとこが出来るとしている。この量から質への変化を「量質変化」と言うのだが、この内容はその通りだと思う。自分の発言や思考力は日常生活や勉強(この場合は読書)から成長するものである。そして、この成長のための有効な手段として他者よりもより多くの読書量を誇る人物はそれだけ知識の蓄積期間が膨大になるので、同じ時間でこなせる仕事の量も自然と増やすことが出来るし、その質も高めることが出来るのである。メディアコム合宿の時や、日頃のゼミ内で金先生が「とにかく他者より圧倒的に本を読め。特にこの学生という限られた期間内に。」と繰り返しおっしゃっている意味が分かりました。

【読書】ハリウッドはなぜ強いのか【村山】

まず面白いのが、アカデミー賞の中のドキュメンタリー部門賞を獲得したマイケル・ムーア監督が、アカデミー賞授賞式の自身のスピーチの中でアメリカ合衆国のブッシュ大統領(現在から考えると前大統領)を批判していたことです。幼いながらに、ブッシュ氏とゴア氏の大統領選でゴア氏優勢との報道にも関らず、既に候補者の名前が記載された選挙用紙を運ぶ運搬車が横転して、その時に何らかの不正が行われたという報道があったことを覚えています。ムーア監督はこのことを指して、「私たちはフィクション(不正な)な選挙によって選ばれたフィクションな大統領の下、フィクションな時代に生きている」と、(当時の)ブッシュ大統領を批判しているのですが、アカデミー賞授賞式という公式の場で、このような発言をする監督の精神が面白かったです。
次に驚いたのが、アカデミー賞授賞式の開催理由。ハリウッド映画の振興のためというのは建前で、実際には、映画業界の収益を高めるためで、自分たちの儲けのために授賞式をショーに見立てている点。アカデミー賞授賞式の視聴率が高いということもあり、莫大な額の放送権料をハリウッドは受取り、これだけで数十億の利益を上げるのである。
また、興味深かった内容が2点。まずはハリウッドのヒット作品の作り方について。ヒット作品に必要な要素として、スーパースター(ヒーロー)と続きもの(興行収入の良かった作品の続編)の二つが指摘されている。つまり、出演俳優の知名度や前作の評判の高さを利用することで、前作のファンだった観客を予め確保して、低いリスクで高収入を得られるという戦略である。因みにこれは、日本も取っている戦略です。(おそらく日本が真似したのかな?知っている人が居たら教えて欲しいです)例えば、最近では「花より男子」がその典型的な例だと思います。元々テレビドラマで放送されていた本作品は10代の若者を中心に高視聴率を維持していたので、後に映画化されました。そして、テレビドラマを見ていた元々のファン層を中心に、映画も大ヒットしたそうです。そして、もう一つがハリウッドの超大作主義について。ハリウッドは膨大な制作費をかけて多くの観客を集める、ブロックバスター(大ヒット映画)の制作を目指しています。私が面白いと思ったのは、この事実ではなく、映画を制作するスタジオの収益の形態について。このようなブロックバスターを十本、制作しても、この内の六、七本は利益無しか赤字で、残りの数本で収益の80%を稼いでいるそうです。つまり、収益の八割は数本の人気作品によって賄われるというロングテールの法則(80:20の法則)が、映画業界にも見られるのではないかということです。授業の話が読書にもつながってきていることを実感できました。

【読書】バカの壁【村山】

印象に残ったのは、「わかる」ということに対する説明です。まず、「わかる」ということに関して、常識とは知識があるということではなく、当たり前のことを指すとあります。つまり、常識は知識(雑学)とは異なるということです。しかし、私たちは日常生活の中で、この「わかる」という言葉が持つ曖昧さを理解できていないのではないでしょうか。例えば、サッカー観戦をするためにスタジアムに足を運んで試合を観戦すれば、試合は11対11で行われ、自陣に決められるゴールより多くの点を相手のゴールに決めれば勝ちというルールは知識として理解できると思います。しかし、実際の試合の中では、相手との心理的な駆け引きや、攻守における戦術の違い、仲間とのコミュニケーションなど、試合をパッと見ただけでは分からないようなことが行われています。つまり、「わかる」というのは、単なる表面的な知識を持っているということではなく、そのディティールを理解しているということなのです。こう考えると今まで分かっていると思っていたことも、実際には分かっていなかったという事柄が出てくるのではないでしょうか。実際には分かっていなかったということに気づくのは悪いことではないと思います。むしろ、分かっていないことを「わかれた」ことの方が重要なのではないかと感じました。
また、この「わかる」ということに共通了解を掛けている部分があります。共通了解は世間の全ての人が共通にしている了解事項のことです。そして、私たちは共通了解を求められている一方で、同時に個性も求められているという矛盾を紹介していますが、この部分は面白かったです。ただ、この部分に関しても、全体に関しても「本当にそうなのかな」と思う箇所が多々あり、ベストセラーの一冊ですが、個人的には一回読めばもう十分という感じでした。

【ホンヨミ!】ウェブ時代をゆく【岸本】

 この本に描かれている生き方は、まさしくスティーブ・ジョブス的なものだ。徹底的に自分が心から好きだと思えるものにコミットしまくり、極める。いくつかやり散らかした後に自分だけの「けものみち」が完成しているという感じだ。インターネットというのはこの「けものみち」を個人が作る上で強力にエンパワーする。

 ただ、オープンソース関連で飯を食うことには疑問がある。確かにまとめ役、及びその片腕くらいまでは十分に飯は食える。しかし、「その他大勢」は技術などの「集合知」を提供してもそれっきりだ。既存の雇用体系の上にオープンソースなどのクラウドソーシングが成り立っている事を考えると、完全な移行は無いのか。あるいはもっと徹底的に移行し、ほとんどのサービスが無料で提供され、少数の金持ちとなったまとめ役とその他大勢の貧しい(でも生きるのには差し支えの無い)人々に分離するのか。

 また、ひたすら自分のやりたい事だけにコミットし続けるということは、組織に移植出来るのだろうか。ともすれば「『やりがい』の搾取」ともなりかねない。こうしたこれからの創造性を重視した世界では明確な雇用体系が求められているのか。あるいは小さな組織のみが生き残るのであろうか。

【ホンヨミ!】フランスに学ぶ国家ブランド【岸本】

 日本がフランスに学ぶ事が多いのは従来から指摘されていることだ。例えばそれは発電源をもっと原子力発電にシフトすべきだとか、少子化からのV字回復、食料自給率の問題に周辺国との歴史認識問題などだ。

 著者は現在のフランスの体制をおおむね評価しているものの、フランスの失敗から日本が学ぶものも多い。例えば、フランスの「プレカリアート」と呼ばれる若い労働者階級は国際的な自由化の流れの中で、苦境に立たされている。日本の派遣労働者の問題にも繋がってくるが、社会的な保障体系の構築などによる解決方法が求められている。また、個人的にはフランスの「暴動」文化を評価している。かつて雨宮処凛氏が講演で述べていた事だが、日本の教育では市民による声の挙げ方(あるいは権利の行使の仕方)、すなわちストや各種請願のやり方などを教えない事が問題である。フランスのように火炎瓶をもって…というのはさすがにやり過ぎかもしれないが、正式な手続を踏まえて市民が政治に対して声を上げる事が出来るように社会を変える必要があるのではないか。(教育だけではなく、「プロ市民」などと蔑視し「出る杭」を叩こうとする同調を求める風潮も好ましいとは思わない。)

 自国の文化政策・文化外交を非常に重要視しているフランスであるが、自国の文化の保護だけでなく他国の文化への配慮も忘れず、常に多様性を尊重しようという姿勢には感心した。

【ホンヨミ!】自分の答えのつくりかた【岸本】

 自分の答えのつくりかた / 渡辺健介著, ダイヤモンド社


 著者はマッキンゼーとハーバード・ビジネス・スクールという2つの場所で多くのものを学んできた。この本では中高生にも分かるように、物語仕立て、平易な言葉で論理的な思考の組み立て方がまとめられている。

 自分の考えを持つにはまず疑え(あるいは、つっこめ)。などとよく言う。しかし、懐疑的になるにもどうすれば良いのか。またその疑いをどう自分の問題につなげていくか。それに対する1つの答えが「ピラミッド・ストラクチャー」だ。ただし、これも万能という訳ではなく、あくまで意見と理由を明示するツールに過ぎない。結局はひたすら具体的な所に落とし込んでいって、詰めていくことが「自分の答え」への近道である。

 また、現実の問題は即座に解決できるほどシンプルではない。変数も多く、利害も衝突しがちだ。そうなった時にどうすべきか。この本で示されているのは、他人との対話の重要性だ。そして他人と対話をする上で重要なのは、いかに自分の価値観を明確な根拠をもって他人に伝えるかということだ。

 著者によると、多様な人種、多様な背景を持つものが集うニューヨークのマッキンゼーではこうした思考方法が「共通言語」になっているという。これは全般的にアメリカのビジネス界に限った話だと思われるかもしれないが、建設的な意見の構築を行う上で最も効果的な方法ではないか。そうなると「共通言語」たる所以も分かる。

【読書】V字回復の経営【勝部】

著名ターンアラウンド・マネージャの三枝匡氏による小説タッチのビジネス書。スタンフォードでMBAを取って、いまや知る人ぞ知るボストンコンサルティングの日本人社員第一号でもある三枝氏は、日米の対比を交えながら、ターンアラウンドの理想を書いている。



前に読んだ樋口泰行氏の「変人力」と似た部分が多く、この本にしかない部分を抽出するのが難しかった。やはり成功者には普遍性があるのか、いや、ターンアラウンドの王道はこれ一つしかないのだ。

この本は「変人力」と違って、「内からの改革」を描いている。その場合に気をつけなければならないのが、「政治性」である。Creative Environmentの時も質問させていただいたが、例えば「改革だ!一つになろう!」と叫んだとしても、現場に落とし込まなければ何の成果も上がらない。それを阻止するのが会社の政治性だ。どうやったら利益が上がる会社が出来上がるか、なんていうことはビジネススクールに行けば嫌というほど教えてもらえる。(それを否定するつもりはさらさらないが)大切なのはそれ以外の部分、行動力、情熱、執念、厳然たる姿勢、「愚直さ」と三枝氏は表現したが、樋口氏も「愚直論」という著書を出している。この普段聞きなれないワードを同じ分野のスペシャリストであるお二人が同時に用いているのはただの偶然じゃないだろう。

現場での専門性のジレンマも興味深かった。営業は「売るだけ」のプロ、開発は「作るだけ」のプロ、工場は「組み立てるだけ」のプロ。専門性を追求するあまりにこうなっている組織は多いだろう。しかし、それでは商品そのもののプロが育たない。「こう作ってくれればもっと売れるのに」と営業、「そんなの出来るわけがない、せっかく作ったのだから否定しないで」と開発、「もっと無駄があるのに、うちだけ削られる」と工場。せっかくの意見もこれではただの不満になってしまう。これは樋口氏の指摘するセクショナリズムの弊害に通じる。そうではなく、一つの部署で商品全体を顧客に届くまで管理することで、顧客と会社の距離を縮めることが必要だ、「一気通貫組織」が必要だ、と三枝氏は言う。


もっと書きたいことがあったのだが、本当に残念なことに操作をミスって全て消えてしまった。この本は金先生からお借りしたものだが、また読みたくなる日がまた来るだろう。だから、自分で買ってもう一度読むことにした。

【書評】集中力【竹内】

集中力

いままで読んできた自己啓発系の本はどれもよく似ている。しかし、読むたびに何かに気付かされる。

集中力を鍛えるには、明確な意志や理念を自分の中でもつことが大事とある。そのために、それ以外の要素を上手く取捨選択して集中しなくてはいけないものを減らすことが重要だ。実際これは重要だと思う。自分のキャパシティには限界があるし、それを超えたものには物理的に集中できない。

しかし、今の自分を考えると絞り込む時期なのか、色々なものに触れるべきなのか非常に悩む。現時点で自分は手を広げすぎてしまった感覚があるし、どれをとってもそれらの質には満足していない。ある程度自分の意志を絞る必要があると思う。自分の理想を具体的にイメージして、確固たる意志をもつ必要がある。そのイメージからずれるものは切り捨てていかなければならない。そうすれば、単純に集中しなくてはいけない時間も減るし、集中しやすくなる。手を広げていくよりも、いかに選択していくか、捨てていくかが重要だと思った。

いかに捨てていくかそれが難しいのだが。

【読書】新聞社―破綻したビジネスモデル【小山】

新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書) (新書)
河内 孝 (著)



新聞社の現在のビジネスモデルを紹介している本。
実際に、販売に対するコストなど、唖然とする内容が多々あった。
とりわけ、販売店のモデルについてだ。不透明な部分が多く、私達はおろか、本社の方でも見えていない箇所があるという。これには驚く。かなり大雑把に言ってしまえば、小売店の実績も分からない卸売りのようなものだろうか。ビジネスセンスにかけているといってしまえば一言だが、これはそんなに簡単に割り切れる問題でもないだろう。
特に今後はインターネットとの共存が叫ばれている(当然で、わざわざ書く必要もないだろうが)。この点も部数至上主義の終焉を決定付ける外的要因である。
このように嘆いていても仕方がないことは確かで、それではどうするか、ということだが、やはり私は研究というものがこれまで以上に必要だと思う。そのために新聞社のビジネスにおける透明度の確保。これは絶対必要だろう。透明度の確保によって、新聞社ビジネスモデルというものを、他社、日本国内だけでなく、世界の新聞社を研究しなければならない。
Twitterを使っている身として感じるのは、ITの世界に親和性を持とうとしているアメリカ言論の努力だ。日本の新聞も、もっとリスクを恐れずに挑戦してみることが必要なのだろう。

【ホンヨミ!】イノベーションを生みだす力【池亀】

イノベーションを生みだす力/ 竹内弘高・楠木建

個人の「知」と企業の「知」についての話が興味深かった。というのも以前、社会人の方から企業内の情報や知識をどう上手く共有してかという問題についてお話をきいたことがあり、それがひとつのきっかけで今の専攻に興味をもち始めたからである。

特に、本書で述べられている暗黙知、すなはち簡単に表現できコンピューターに入力・保存できる形式知とは異なる、個人の経験などに基づく知識、の形式知化は気になる。企業の規模が大きければ大きい程、そうした情報の共有は難しくなってくるが、それが上手く果たされれば、そこから生まれるイノベーションは可能性は計り知れないだろう。このテーマに関しては、自分でもっとべんきょうしてみようと思う。

本書でよく分からなかったのが、次元の見える/見えないの話だ。企業の多くは明確な目標を求める傾向にあり、それゆえ可視的な次元上でのイノベーション競争の方に流れ、その結果かえってコモディティ化が進んでしまうとあるが、次元の見えないとはどういうことだろう。どうもまだうまくイメージがわかない。明確な目標というのがどこまでをさすのかも若干疑問である。

【読書】パンセ【小山】

パンセ
パスカル (著), 前田 陽一 (翻訳), 由木 康 (翻訳)



古典ブームから第2弾、今度はパスカルのパンセ。いわゆる随想で、私の最も好きな本のジャンル。色々な物事についてのパスカルの所感が書かれている。「人間は考える葦である」の言葉だけが有名になっているが、そのほかの言葉もなかなか含蓄に富んだ面白い、奥深い言葉だし、それに「人間は考える葦である」はそのフレーズよりも、その後の記述の方が、むしろ重要ではないかと思う。というわけで、その後の記述について、ちょっと省略しながら紹介。
 人間は自然界で最も弱い葦のようなものであるが、しかし考える葦である。この葦をおしつぶすのに宇宙全体が武装する必要はなく、蒸気や水滴で事足りる。しかし、人間はそのような宇宙よりも尊い。なぜなら人間は自分が死ぬことと、宇宙が人間よりも優勢であることを知っているからである。宇宙は知らない。だから、われわれの尊厳のすべては、考えることの中にある。われわれはそこから立ち上がらなければならないのであって、われわれが満たすことのできない空間や時間からではない。だからよく考えることを努めよう。ここに道徳の原理がある。
 これが、その葦についての記述。フレーズのみが有名になったが、その奥の意図するところを知ることは重要だ。特にここでは、「だから、われわれの尊厳のすべては、考えることの中にある。」という箇所以降が重要だと思う。思考する、ということの重要性を訴えている、非常に良い記述である。

【読書】方法序説【小山】

方法序説 (岩波文庫) (文庫)
デカルト (著), Ren´e Descartes (原著), 谷川 多佳子 (翻訳)



 ちょっとしたマイブーム(古典)からデカルトの本。6部構成だが、あまり、間にある章に重点はおかずとも良いと思う。デカルトの価値観、特に学問に関する価値観を出したような本であるが、もちろん彼の価値観なので従う由もない。
 ただし、哲学の原理ということで、出発点となる、有名な「われ思う、ゆえにわれあり」は尊重してよいと思う。外的な権威など、自分の思考を中断させるものに注意を払う必要はない。この、「自分が考える」ということを出発点にして物事を考えるのは、よく必要とされていることだ。方法序説という名前が「理性を正しく導き、学問において真理を探究するための『方法序説』」であることは良く納得できるものだった。
 デカルトは自分の平穏を妨げる名誉を嫌うといっているが、本よりも言葉が有名になり、デカルト自身も有名になったこの世をどう思っているのだろう。皮肉なものだと思う。

【ホンヨミ!】21世紀の国富論【菊池】

著者の原丈人氏は、アメリカを拠点に活躍しているベンチャーキャピタリスト。まず彼の特異な経歴に関心を持ち、色々と調べているうちに本書に出会った。

著者は、ただの金融業となってしまったベンチャーキャピタルの現状について述べて、アメリカ流の経営手法を批判している。これは自分にとって新たな視点を与えてくれた。例えば、ROEの偏重。クラウドコンピューティングのNCの時、先生が「新CEOは、就任すると株価を上げるためにまずコスト削減を行う」ということを言っていたが、まさにアメリカ流の経営はそこに問題があるのだと著者は言う。なぜなら、株価を上げるための短期的な利益しか目指さない経営となってしまうからである。さらに時価会計が追い打ちをかける。これでは長期的な研究と投資が行われなくなり、新たな産業が育たなくなるということだ。

 自分の中でのイケてるCEOのイメージは、比較的短い期間で業績を上げ、上場し、会社を売って莫大なキャッシュを得る、というものだった。しかし、これは単なる一時的な流行りで、このようなプロセスは長期的に見たら必ずしも望ましいとは言えないようだ。そういう意味で、新しい視点が与えられた。

ただ、多死多産のアメリカに対しまだ起業数自体少ない日本において、なかなか利益の出ない長期的なビジネスは果たして起業のインセンティブとなり得るのだろうか。たくさん会社が生まれればその分イノベーションも起こりやすくなるという説もあるくらいだ。

 とはいえ、筆者も言うようにポストコンピューター時代はいつか来るのだと思う。その時代の基幹産業を日本から発していこうというのが本書の主張だ。その新たな産業の構想についても、抽象的ではあるが述べられているので、関心がある方はぜひ読むことをお勧めする。