2009年6月26日金曜日

【ホンヨミ!】ケータイの未来【岸本】

 iモードの仕掛人である夏野剛氏の本。適当に機能を拡張しただけだと思っていた「おサイフケータイ」も、綿密に仕込まれた戦略(マーケティングなど)に基づくものだとわかり、びっくりした。著者は垂直統合モデルから水平統合モデルへの移行を見切り、iモードを進めたが、今となってはそのiモードですらクローズドなプラットホームとなってしまった。そのため、海外からの脅威と渡り合っていくためにドコモがグーグルのアンドロイド搭載携帯を発売するのもうなづける。また、ビジネスユーザの拡大のためにブラックベリーとも組んだ。こうした海外の大手の勝ち馬に乗る戦略は果たして吉と出るのか。

 この本が出版された時(ナンバーポータビリティ導入直後)には国内シェア55%を保っていたものの、現在は50%を割っている。じわじわとではあるが牙城が切り崩されている感は否めない。著者が掲げる「生活インフラ」に携帯電話が本当になっているかというと、消費者実感としてそうは思えない。(ただし、iPhoneは別だ。)

 本当の生活インフラを目指すのであればやはりネットとの共存は避けては通れないように思える。私たちの生活の中心にはパソコンがあり、インターネットがあるからだ。ネットと共存していくことを考えると、日本の携帯電話はプラットホームをオープンにし、特化した技術を海外へ輸出する1プレイヤーに「成り下がる」こともアリなのではないか。

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