2010年1月16日土曜日
【ホンヨミ!0115①】未来への手紙【斉藤】
本書は、全国から集まった2万5322通の「未来の自分」に向けて書かれた手紙の中から選ばれた100通を本にしたものだ。未来に向けた手紙のアンソロジー。この企画は、シンガーソングライターのアンジェラ・アキさんが10代の時に30歳の自分に向けて書いた手紙が届いた実体験を歌にした「手紙~拝啓 十五の君へ~」をもとに始まったものだ。全国に向けてテレビ、CM、雑誌、ポスター、ネットを通じて広報し、集まった手紙を、アンジェラ・アキさん、作家のあさのあつこさん、実業家の小笹芳央さんの3名の審査員が100通選んだ。
手紙の中に書かれた内容は変わることがない。その時感じていたことがそのまま文章として残っている。情報が日々刻々と変わっていくのと同じように、自分が考えることも日々変化する。ツイッターやミクシーのボイス機能は、これら刻々と変化する自分の思いをその都度つぶやくことができる。そしてそのつぶやきは新しいものが出れば、時間の古いものはどんどん消えていく。情報だけでなく、人の考えもフロー化してきたことの表れだ。確かに今他人がどのようなことを考えているのか、をリアルタイムで知れることは人間関係において画期的な変化をもたらすと思う。一方で、自分に関してはある一時期の「考え」をストックしておくことも大切なのではないか、と思う。なぜならば、過去の自分から学ぶことも多いからだ。審査員の言葉の中に、「自分の最終的な味方は自分だ」という言葉があった。味方というか、結局考えるのは、自分であるから最終的には自分に頼るしかないということだ。そんなときに自分の考えの軌跡をたどることは重要だ。それも自分としっかり向き合っている時の考えをだ。紙と鉛筆を持てば、気軽につぶやくときよりも、なんとなくかしこまり、必然的に自分と向き合うことになる。そこが未だに紙のメディアに権威を感じる所以だと思う。
書いて長いこと置いてあったものを読み返すと、その時の真剣さがひしひしと伝わってくる。手紙を書くということや、自分と真剣に向き合う機会が減ってしまった現在であるからこそ、このようなプロジェクトがあったのだと思う。一人ひとりが、このようなプロジェクトがなくても、書くこと、自分と向き合うことの重要性に気づき、実行することができるようになればいいと思う。
2010年1月13日水曜日
【ホンヨミ!0115①】生きるためにいちばん大切な食の話【金光】
筆者は丸紅経済研究所長。「食」の統計的な話がわかりやすく書かれていた。現状分析が多く、最期に筆者の提言が書かれていた。コメ農家保護の政策は良いこと――と自分が丸暗記していたことも、他の面からみると、そうとも限らない。筆者はこの政策は過剰保護で、日本の米ももっと国外へ進出していくべきと言っていた。たとえば中国では実際に日本の米が高級ブランドとしてセレブ層に売れている。
2010年1月5日火曜日
【ホンヨミ!0105⑥】悩む力【山本】
しかしここで、悩む内容が問題になってくると思う。
ただ闇雲に悩むだけでは成長することができない。
悩むことを選択する力も大切だと思った。
また、本書の自我に関する文がとても興味深かった。夏目漱石の『心』の先生などの自我が強いひとは、自我に捕われるあまり、他者との折り合いがつかなかったり自分の城に籠城してしまう。あるいは、“他者との関わりは表面的にしのぎ、本当の自分はかくしておく”ひとも多いと筆者はいう。しかし本当は、他者とのつながりの中でしか自我は成立しない。よって、自分の城を壊すべきと筆者は述べている。本当にそうだろうか、と思った。自分の城に籠城することによって、より確固たる自我を確立できるひともいるのではないかな、と思った。
また、この本を読んで、夏目漱石の作品を違う視点からみることが出来て良かった。また夏目作品を読み返そうと思うきっかけになった。
【ホンヨミ!0105⑤】感動する脳【山本】
そしてその意欲とは“生きるうえで避けることができない不確実性への適応戦略”のことをいう。人間は、生きて行くうちに経験や知識が増えていくため、この不確実性が少なくなり、意欲がなくなってしまう。なので、意欲がなくならないために、私たちは日常の中に常に新しさを見つけなくてはならない。
アインシュタインの言葉で、『感度することをやめた人は、生きていないのと同じである。』というものがあるが、これは上記のように脳科学でも証明されていることなのだ。
私は、人生の中でたびたび遭遇する不確実性とは全くのマイナスであり、学生である私たちは、経験や勉強を通してこれらに慣れていかなければならないと今まで考えていた。
しかし、脳科学の見地から見ると、この不確実性こそが非常に重要であると知ってとても驚いた。
肝心なのは、不確実性に慣れることではなく、不確実性に遭遇したときの自分の捉え方にあるのかもしれない。
【ホンヨミ!0105④】現代宗教【山本】
経済発展著しい中国に於いて、現在その急速な社会の変化に着いて行けない人々が出家の道を選んでいるという。
1982年に中国共産党によって、宗教に対する政策の指針が示された。
自明のことだが、宗教と社会主義思想は対立するものだ。共産党は、マルクス主義の立場から最終的には宗教の消滅を目指すとしつつも、社会主義発展段階の過程で早急な宗教消滅は不可能とし、宗教の存在は認められるべき、としている。また、宗教信者への差別は認められないという政策も示している。
しかし、実際のところ中国で宗教に関する動乱は多い。チベット族のチベット仏教やウイグルのイスラム教など、中国における民族問題はほぼ常に宗教となにがしかの関係を持っている。
そもそも中国でこれほど宗教問題が取りざたされている背景には、中国の領土問題が深く関わっている。日本の報道でも、チベットの問題などが放送されるときは大抵、歴史が保証している中国領土に対する示唆の色が濃い。
そんな中、宗教自体にフォーカスしている本書はとても勉強になった。
【ホンヨミ!0105③】グループ・コーチング入門【山本】
しかし、その内容が実際の業務に生かされることはとても少ないそうだ。つまり、個人の能力がアップしたところでそれが組織全体の業績改善につながらないのだ。それは何故か。
その理由は、コーチングが基本的に一対一のコミュニケーションに限定されてしまっていることだ。そこで、本書では管理職一人対部下複数で行うグループ・コーチングが提唱されている。
この本には、
・意見が出なくなってしまったとき
・一人だけ沈黙しているメンバーがいるとき
・盛り上がり過剰で収集がつかないとき
・論点がずれたとき
などに対する解決法が書かれており、学生である自分にも非常に参考になった。
【ホンヨミ!0105②】決算書の読み方【山本】
業種別に書かれているので、各業界を知る上でも非常に勉強になった。
例えば、食品系などもとても興味深かった。食品系が安定している企業が多い事は周知の事実だが、その反面時価総額は他業種に比べて非常に小さいそうだ。
業績や株価が景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄である医薬品・電気・ガス系と比較して、上場している企業は医薬品の2倍、電気・ガスの4倍であるが、時価総額は医薬品の6割、電気・ガスの7割程度しかないそうだ。
また、同業者が多く競争が激しいため、食品銘柄の決算データは利益率が低いという特徴もある。
その他の業種にも知らないことが沢山あり、就職活動の前にもっと各業種について知るべきだと改めて感じた。
【ホンヨミ!0105①】手にとるように銀行がわかる本【山本】
他社とのサービス競争が激化し、ポイント制の導入やマイルサービスの付加などで費用負担が年々膨らみ、収益率が低下している。このことなどが原因となって、クレジットカード業界は再編が進んでいる。代表的なのは2009年にOMCカード・クオーク・セントラルファイナンスが経営統合し生まれたセディナなどだろう。
本書では、銀行の話だけでなく上記のようなクレジットカードの現状についても触れられている。クレジットカード会社の再編や電子マネーへの取り組みなど、色々な角度からクレジットカード会社について書かれていた。
もともと銀行やクレジットカード会社でのプライバシー情報対策について知りたくて手に取った本だったが、あまりそのことについて書かれていなかったので、他の本を探してみたい。
2010年1月3日日曜日
【ホンヨミ!0105⑤】ソフトパワー時代の外国人観光客誘致【斉藤】
観光業界、というと旅行代理店くらいしか思い浮かべられなかった自分にとって、観光業界の構造は意外と複数のセグメントの合体によって機能している!ということを気づかせてくれた。観光庁も発足し、日本は現在観光立国として、世界における日本の重要性を確立しようと試みていることは周知だ。権力や軍事力などのハードパワーにおいては、日本は欧米よりも圧倒的に発言力が弱い。そこで、欧米とは違った土俵、つまり日本が持っているユニークな「ソフト」を用いて、日本を世界において魅力的な国にする。その一環として日本が潜在的に持っている「ソフト」である観光資源を生かしていく、という考え方が観光立国である。
それを推進していくのが観光業界。政府は観光立国としての日本を確立するために、外国人観光客数を具体的に目標値として掲げているが、なぜその目標値を達成しなければならないのか、をしっかりと考えなければならない。外国人を誘致することで得られるものは何なのか。観光には、政府、地方自治体、民間業者など様々な主体が各々の利益に則って推進していくものでもある。なので、観光推進には、それらの主体の利益関係をも考慮する、・コーディネーション能力・ファシリテーション能力・コンサルテーション能力・リーダーシップ能力 が必要だ。
観光業界はまだまだ私の知らない側面が多くある。上に挙げたような、社会に出たときに必要な問題解決能力の総体のような力が必要とされる、そんな観光業界に興味を持った。
【ホンヨミ!0105④】若者のための政治マニュアル【斉藤】
現在の生きづらい社会を変えるために必要なのは民主主義である(しかしその民主主義自体の在り方自体を今一度考えなおさなければならない)という主張のもと、その民主主義を実現させる政治の在り方について書かれた本である。単なる机上の政治論ではなく、政治と自分の行動に関連性を見出せない私たちの若者世代に向けた、基礎思考力をつけるための10個の考え方が示されている。
特に私の印象に残ったのは、「権利の主張」に対する考え方である。公共の利益を尊重するためには、私人の利益を過度に主張しすぎてはならないと考えられがちであるが、公共の利益とは私人の利益の主張の最大公約数であると筆者は考えている。権利の主張と特権の主張は混同してはならない。後者はいわゆるモンスターペアレントやクレーマーなどといった、自分の行動を他者の立場に立って考えることのできない人々による理不尽な主張であって、これをもって現代の人々は権利を主張しすぎると言ってはならないと筆者は述べている。これ以外の、自分以外の誰かも望むでろう権利は、決して主張しすぎということは決してなく、むしろ主張する人がいなければ「最大公約数」という考え方も生まれなく、それでは私人の利益と公共の利益に乖離が生じてしまう。「公共」そして「私」は表裏一体でなければならないのだ。その私人の権利を受け入れ、集約していくのが政治の役割であり、民主主義を持って、私たちはその活動に関わっていかなければならないが、その実感が見いだせていない現状が問題なのだ。少しでも国や自治体で行われることに対して実感を持つために、本書のような「思考への誘い」は有意義だと思う。
【ホンヨミ!0105③】「自治」をつくる【斉藤】
正直を言って、本書を通して自分にとっての収獲はあまり得られなかったと思う。本書は、日本のこれからの「自治」について、政界のキーパーソンが行った対談を収録したものである。対談は、複数の話者の視点を見ることができるという点で有意義であると思うが、対談の流れに流されず、学びとるべきところを学びとっていく能動的な読みをするのは難しい。対談は事象説明ではなく、事象にたいする見解を互いに述べ合うものであるから、それだけ見ていると全てが正しいように思えてしまう。そうであるから、それこそ問題意識を持って読むためには、論じられていることに対する十分な知識が必要だと感じた。国家としての政治の流れをすべて把握することは困難だが、では、自分の住んでいる自治体はどうなのか・・・?などアンテナを張ることはできるはずだ。
対談は特に日本の「官尊民卑」への批判や解決を模索するものだった。その中でも「税金」に対する考え方でよかった点があるので挙げたい。
税金は市民の意見を反映するもの
このような考え方は現在私たちはあまり持つことができていないと思う。税金とは自治体、あるいは国が徴収して使い道を決定するものだ。民主主義であるならば、本来この使い道に対しての民意が反映されなければならない。しかし、今特に地方自治体の議会の不透明性が問題視されていて、住民の知らないところで市政が行われている状況だ。本書で論じられたのは、自治体で事業を行うときは民意が必ず必要だ、それを反映させるのには税金が最も適している。事業に対して税金を払うとわかれば、住民がもにその事業を不必要だと考えたのならば、税金を払うことを拒むだろう。今自治体では、この市政と税金の関係が不透明であるからこそ、民主主義としての「自治」が危ぶまれているとことだ。
[書評0105④]市場・知識・自由[竹内]
ハイエクは、「われわれが合理的な経済秩序を建設しようと努めるときに、解決したいと思う問題は何であるのか」と問い、当時近代経済学の内部においても主張されていた一般均衡論が描くような集中的なよく組織された市場はなく、問題は「われわれが利用しなければならない諸事情の知識が、集中された、あるいは統合された形態においては決して存在せず、ただ、すべての別々の個人が所有する不完全でしばしば互に矛盾する知識の、分散された諸断片としてだけ存 在するという事実」にあるのだと指摘する。
社会の経済問題は、社会主義における経済計算のような「与えられた」資源をいかに配分するかという問題だけではなく、「社会のどの成員に対しても、 それぞれの個人だけがその相対的重要性を知っている諸目的のために、かれらに知られている資源の最良の利用をいかにして確保すべきかという問題である。どの人にもその全体性においては与えられていない知識を、どのように利用するかの問題」となる。情報は基本的には非対称的であり、その中で、情報の価値をどのように最大し社会にとっての最適解を見つけていくかが問題なのである。
つまり「個々の参与者たちが正しい行動をとることができるために知る必要のあること」を最も少なくすることができる機構だとして、市場システムを全面的に肯定している。
ハイエクは、様々な場所、時間、形態で様々な立場の人間が持っている、そしてそのことによって社会的生産が実に効率的に行われているような「知識」 が、特定の個人や当局による設計主義的な社会建設、経済建設の方法では決して有効に活用できないのだ。柔軟に変動する緩やかな制約が求められている。
市場設計において、政府の政府の干渉のバランス感覚が非常に重要だと改めて感じた。情報は野放しな状態ではスムーズに流れにくく、最低限の制度による制約は求められる。その制約も時代によって移り変わるため柔軟さが必要になると感じた。
【ホンヨミ!0105②】愛するということ【斉藤】
もちろん恋愛云々のハウツー本ではない。人間の「愛する」という行為の核心を説き明かす、「愛する」行為について真剣に考えるための本だ。夏休みに参加した読書朝食会で社会人の方に紹介していただいたこともあり、手にとってみた。前半は「愛の理論」が主な内容であり、割と人間の存在論のようなことが書かれていた。去年の般教で「神を哲学する」という講義を受けたが、この本の前半もそのような神や存在についての他の哲学者の主張などを含めた、「論」が展開されていた。去年から考えていたことだが、私はあまり人間の存在自体についての哲学という学問にあまり興味をそそられない。確かに自分も人間である以上、そのような視点を知っておくことは大切だと思うが、人間はそれでも結局自分が今生きている「私」のこの現状を、「現実」という環境に適合させながら自分で切り開いていかなければならないわけで、そういったときに普遍的な「人間」について思考を巡らせるよりも、私的体験(世界、日本、現代社会、大学、家族、友達・・・)を通して何をどのように学び、そこからどのような思考を持つことができるか、という哲学の方が魅力的だ。なので、本書の内容をすべて読み砕くのではなく、それこそ学びとるべき部分をエゴイスティックに拾った。一番の収獲を挙げたい。
・愛することは能動的であり、技術だ
愛するべき対象が目の前に現れた時、自分は全力で愛を注げる自身がある。愛したい対象がないから愛すことができない。自分も含め、そう考えている人が多いのだと思う。愛する対象がないから今は愛することをしていないのではなく、それは愛する能力が未発達なだけだ、という筆者の言葉に感銘を受けた。愛することも、叱ることと同様(いくら叱る対象がいてもそれだけで上手く叱ることはできない)、愛する能力を身につけるための努力と訓練が必要なのだ。そのためには能動的行動が必要だ。筆者いわく、「必要だから、愛するべきだから愛する」のではなく、「自分が愛するから愛する」。例えば、私はその能動的行動をこのように考えた。愛する対象の良さを引き出していく働きかけをすること。愛する対象が自分にとって必要な行動をするから、自分にとって魅力的であるから愛する、という対象依存型の「愛する」ではなく、愛するために自分から働きかける。それは無理やり愛そうともがくというのとは違うのだと思う。どこがどうちがうのか、自分の中でまだよく消化しきれていないので、これから自分で行動しつつ考えていきたい。また、「愛する」という行為の能動性ということが「興味・関心」にも当てはまると思った。今自分は4月からの方向性について考えているため、自分の興味関心について思い悩む。しかし、言えることは一つ、興味関心が持てる対象が現れないから、興味関心を持てないのではない。興味関心は自分の能動的な働きかけを通して獲得するものだ。
【ホンヨミ!0105①】グアテマラの弟【斉藤】
俳優の片桐はいりさんが、中南米グアテマラのアンティグアに移住し「グアテマラの人」となった弟を訪問したときのグアテマラ生活・人間の観察を綴ったものである。しっかりとした論になっているわけではなく、徒然なるままに・・・というような旅行記ではあるが、普段考えもしなかった視点を知ることができたので、それについて書きたい。
「分別したら、この人たちの仕事がなくなっちゃうっていう考え方もありますよ」
アンティグアは景観保護地区になっているせいもあり、町並みはパステルカラーの家々に彩られてとても美しい。しかし、地面に目を落とすとそこはゴミだらけ。バスの窓から平気でゴミを投げ捨てる。街のゴミ捨て場は分別されることなしに各家庭からのゴミが散乱している。ポイ捨て禁止、ゴミの分別は家庭で・・・を徹底している日本人からすると、発狂してしまいそうなことである。しかし、アンティグアではそれがそこでクラス人々の生活サイクルを維持するためのものであるのだ。ゴミ収集所でゴミを分別するという職業がある。ゴミを楽に捨てたい・ゴミを分別することで生計を立てる。需要と供給が一致することで、職業になっているという点ではグアテマラも日本も変わらないのではないか。ただ、社会の発達度による、「仕事のとらえ方」の違いがあるだけだ。また、グアテマラではそう裕福でない家も、いわゆるお手伝いさんを雇う。家庭の仕事は人に任せられるものは進んでお金を払って任せてしまう。そうすることで社会全体で仕事を回しているのだ。グアテマラの人がこれらを意識的にやっているかはわからない。しかし国には国、地域には地域、民族には民族の、それぞれ社会が成り立つためのサイクルが存在する。先進国・途上国ではそのサイクルがどの次元に存在するか、で決まってくる。このサイクルは世界という文脈で考えれば確かに優劣は見えてくるだろう。個々の国地域で成り立っているサイクルがそれ自体いいか悪いかは決められないということはもちろん思うが、その国地域が(特に途上国の場合)世界という文脈から切り離されて、自己完結しているだけでよいのだろうかと考えた。発展するということは、前述したサイクルが一段上に上がることであるのだから。
2009年12月19日土曜日
【ホンヨミ!1218①】出版再生へのシナリオ【斉藤】
本書は、出版業界の様々な立場の人が集って、今後の出版業界の行方についてのシンポジウムの議事録だ。興味深かった点は、出版業業界のそれぞれ立場の違う人間が話し合うわけであるから、互いに批判を含め、どう思っているかを真剣に述べ合っていた点だ。出版業界はそれひとつの仕組みとしてとらえられがちであるが、その中には数多くの部品があるわけで、それらが一体となって機能していくためには、互いに批判精神を持って、どの部品が不必要なのか、またどこがうまくかみ合っていないのか、を常に考えなければいけない。既存の流通体系を維持しようという力が働いて、何か問題があってもなるべく見過ごすようにしてきたのが今までの出版業界だと思う。それはやはり書籍の電子化の波のせいだが、この期に、それこそ出版業界版の事業仕分けでもやったほうがいいのではないかと思う。何をやめて、何を利用し、どこと組むか。そんな選択を出版社は強いられているのだと思う。その選択肢の考えられる一つを、論文で示したつもりだ。
2009年12月17日木曜日
【ホンヨミ!①1218】日本の「世界商品」力【山本】
日本のソフトパワーが世界で広く好意的に受け入れられている事例が数多く紹介されてていた。日本のソフトパワーが世界市場で好調である事実と、その事実からソフトパワーをより世界へ輸出して行くべきだと論じる本書のような著書が現在世の中にたくさん溢れている。しかし、“ソフトパワーを輸出すべき”とする論だけが一人歩きし、“どのように”輸出していくべきかといった具体度の高い次元での議論は少ないように思う。
世界に広く受け入れるコンテンツを持ちながら日本は十分にその魅力を伝えきれていないという事実があるのならば、何故そうなっているのか、そしてそこをどのような方法をもって解決しようと考えているのかをはっきり示す必要があるように思う。また、“〜の商品をより世界に発信していけば経済効果○○兆円が見込まれる”といったような数字が出てきたとき、どのような背景でその数字が算出されたのかを示した方がもっと説得力が出るように思った。
ちょうど論文執筆期間に読んだため、論文を書くにあたって留意する点を数多く学べた。
【ホンヨミ!1218①】フロントランナー 【金光】
石村萬盛堂取締役 石村一枝さん
彼女は明治38年創業の老舗和菓子屋を、洋菓子も含めた大企業に育てた女取締役。
私がこの記事に惹かれたのは、自分がなりたいなーとぼんやり描いたことのある像を彼女が体現していたから。私は老舗の(京都の)和菓子屋さんに嫁ぐ!そして、その会社を守りながら育てたい!!という野望を本気で抱いてた時期があった。(今もなれるものならなりたい) それだけでなく、この石村萬盛堂という会社が持っている「鶴乃子」という看板商品は私が幼稚園くらいのときに人生で最初に大好きになった和菓子だった。すごいめぐりあわせ!
彼女は大手広告会社出身。「お菓子って生まれたときから亡くなるときまで常に接点がある。コミュニケーション産業」という発想はなるほどな、と思った。
プロポーズされた時のセリフも素敵で、「男は外で働くことで成長する。君も一緒に働いて成長してほしい」というもの。そしてそのセリフ通り、一日中仕事の目線で生活し、同時に息子も二人育てあげ、とても肉体的にはハードな生活だと思うけれど、写真の中の石村さんはとても笑顔で、楽しそうだった。和菓子屋さんから、「ホワイトデーにはマシュマロを」というムーブメントを創った人でもある。
好きなものを一生かけて作っていく。でも老舗の地位にとどまらず、常に新しく挑戦し続ける。そして何より自分の仕事が心から好きなこと。
まず内容面で自分の興味とこんなにぴたりとくることはめったにない。さらに、女性ということも。
内容も生き方も含めて、とっても素敵な人生だなと思った。
2009年12月11日金曜日
【ホンヨミ!1211③】民主主義は経済にも必要なんだ【斉藤】
アメリカの銃社会の抱える闇をテーマにドキュメンタリー映画を撮り続けてきたマイケル・ムーア監督と自らを資本主義の申し子という勝間和代さんによる対談。今回マイケル・ムーア監督は新しいドキュメンタリー「キャピタリズム~マネーは踊る~」を完成させたとのこと。
監督は、今までアメリカの銃社会や、保険制度など、アメリカの社会問題について撮り続けてきたが、今回は「資本主義」というテーマのため、日本も関係のある問題だ。
私は、マイケル・ムーア監督の作品は、「ボウリング・フォー・コロンバイン」(コロンバイン高校における高校生の銃乱射事件を題材に銃社会を批判する)を去年の英語の授業で見たことがある。その際に、そのクラスの先生がアメリカ人だったからかもしれないが、その映画を「アメリカにはこのような問題がある。ひどいでしょ?」という視点から説明していた。日本は関係ない、アメリカと日本は違う、日本もそんな社会だったら困る。とその時のディスカッションも何となくそのような方向に進んでいたと思う。しかし、今回の作品がたまたま「資本主義」という日本にも共通のテーマであったにとどまらず、マイケル・ムーア監督が撮り続けてきた作品をもっと日本人として、外側からではなく、当事者意識を持って見るべきだったのではないか。なぜならば、今まで日本はアメリカを模倣してきたからである。アメリカは日本の鏡であったのだ。しかし、現在アメリカの経済低迷を受け、日本は模倣していく対象を暗中模索している。資本主義と民主主義の取り違えをしたため、現在のような一部の人が恩恵をうけるような経済構造になった。これからは民主主義と資本主義のとの関係を見ていかなければならないだろう。
【ホンヨミ!1211③】2011年新聞・テレビ消滅【金光】
筆者は親戚の知り合いらしい。そしてtwitterでフォローし返してくださったので勝手に親しみを持っている。
佐々木さんはつぶやきを見るとすごい勢いで読書されている。きっと私とは比べ物にならない忙しさだと思うけれど、ものすごい量。ジャンルも本当に幅広い。読書を大切にする姿勢があるからこそ、本も書けるんだと思う。
最近ゼミで勉強したことがさらに深く、いろんな事例を含めて展開されている。読み応えがあった。
広告業界の裏などは知らなかったので、なるほどと思った。このあとはコンサルに移行していくということ。テレビの地デジ化で地方では中央局のテレビが映らなくなるかもしれないというのは驚いた。都会では写って当たり前だから。田舎の家では大きな衛生アンテナをたてて海外から番組を見ている家庭もいたりすると聞いたことがあったけれど、地方と都会で情報の差が生まれてしまうかもしれない。
プラットフォームの取り合い、新聞がどんどん衰退に向かう中で、グローバルポストの海外特派員制度はわかりやすく将来性があると思われる取組みだった。コンテンツを創る人はコンテンツにこだわる。しがらみにとらわれず良いものを書く。プラットフォームは利益をがっぽり持って行くだけじゃなくてコンテンツ制作者にも見合った配当を出す。会社がつぶれるのも困るけれど情報の質を落とさないことはもっと大切。
ちなみに2011年という数字は適当ではなく、アメリカでの打撃の3年後に日本にも同じショックが襲うという過去の経験からの予想とあった。
まだまだ読み切れていないと思うので、もう一度読み直したい。
【ホンヨミ!1211②】思考の整理学【金光】
東大生に話題という噂の本です。
・朝飯前の時間を増やす
→食後は眠くなってしまうから。睡眠とのうまい付き合い方は人それぞれのようです。
・ひとりでは多すぎる。ひとりでは、すべてを失ってしまう
・知のエディターシップ
・思考の深さ
・忘れていいと思いながら、忘れなかったことによって知的個性がつくられる
・ほめるって大事
・無我夢中、散歩中、入浴中 =この三中には良い考えが浮かぶ!!
・看多、き多、商量多 =いっぱい読んでいっぱい書いていっぱい工夫して推敲すること
・いろんな分野の人とこそ議論すること 高めあえる。
いろんな知識を仕入れてそれを再構成すること、それでいい。新しいものはそうやって生まれる。
=知のエディターシップ
参考になると思ったまとめかたがあった。
ABCDの四つの説がある時。自分の思いついた考えXはどれとも違うが、しいていうならBと近い場合は、Bを援用しながらACDを否定しつつXを展開していく。
自分は同じ状況のとき、下手にACDを混合してしまっていたなと思った。そうするとX説が薄くなってしまうそうだ。
この本から発展して考えさせられるというよりも、題名通り、自分が持っている引出しのうまい使い方についてだった。さっそく使えるところは真似して実行している。