2009年6月24日水曜日

【ホンヨミ!】web進化論【戸高】

梅田望夫著『web進化論』

 今や常識的知識になってしまったweb2.0や、ロングテールといった単語。この本が書かれたのは2006年初めなので、主に2005年までの内容が書かれているのだが、当時としてはかなり画期的なものであっただろう。
 ロングテールには「ニッパチの法則」、つまり、恐竜の首の部分が全体の売上の8割を占めるも、その尾の部分にもまだ2割の売上の可能性があり、それがAmazonという場に商品情報を置いておき、レコメンドシステムやレビュー機能などのサービスによりその商品情報をより適切な消費者のもとへ届けることで十分なビジネスにまで成長した。
 このことはすでに知っていたのだが、「ニッパチの法則」が、100年前の経済学者による、「富の80%は人口の20%の人々によって占有される。」という経済法則までさかのぼることができる。以前、information rulesを読んだ時にもそうであったが、新たな技術が登場してきても、そこに用いられる法則は、既存の経済体系や、法体系の組み合わせを改良したものであって、何も新しいものではないのである。
 つまりは、昔の事例といったものをよく観察していくことが重要となってくる時代なのだ。それは、ゼミでもしょっちゅう議論している著作権法でもそうであり、デジタル時代の著作権法は、フェアユース的考えを導入し、判例を参考に著作権のあり方や判決を考えていかねばならないといった方向へと進んで行っている。
 本著の内容としては、googleについて書いてある本ではよくあることなのだが、googleを称賛しすぎている気があって、少しうんざりした。それだけすごい企業なのは重々承知の上だが。

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