2009年6月30日火曜日

【書評】著作権とは何か―文化と創造のゆくえ 【栫井】

著作権とは何か―文化と創造のゆくえ/福井健策

最近なにかと扱うことの多い「著作権」。この本は、条文から解説してくれるいわば著作権入門だ。
中でも、古本屋や中古CDショップと著作者との関係についての項目が印象に残った。確かにこれらの店では、著作権が行き来することなく商品だけが人の間を動いていく。自分の創ったものが自分の手の届かない場所で取引されているのを、著作者はどのような思いで見ているのだろうか。
消費者と商品の関係が多様化するにつれて、著作権の扱い方もあいまいになっていく。先日の著作権法改正のNCで、無料動画サイトからのダウンロードが特に規制されていなかったことに少し驚いた。私自身はダウンロードしたことがないが、無料のダウンロードソフトもいろいろ出回っている中、権利の絡む問題をそのまま捨て置いたことはいかがなものだろう。先生が法改正のような問題は、議論で決まったものではないと仰っていたが、もっと活性化された議論でより実用化するような改正をしていくべきだと思った。市場のイノベーションには著作権の問題が絡んでくる。活発なイノベーションを促進したり、より確実に権利者を保護するために、著作権のより効果的で活発な見直しは必要なのではないかと感じた。

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