2009年6月19日金曜日

【読書】V字回復の経営【勝部】

著名ターンアラウンド・マネージャの三枝匡氏による小説タッチのビジネス書。スタンフォードでMBAを取って、いまや知る人ぞ知るボストンコンサルティングの日本人社員第一号でもある三枝氏は、日米の対比を交えながら、ターンアラウンドの理想を書いている。



前に読んだ樋口泰行氏の「変人力」と似た部分が多く、この本にしかない部分を抽出するのが難しかった。やはり成功者には普遍性があるのか、いや、ターンアラウンドの王道はこれ一つしかないのだ。

この本は「変人力」と違って、「内からの改革」を描いている。その場合に気をつけなければならないのが、「政治性」である。Creative Environmentの時も質問させていただいたが、例えば「改革だ!一つになろう!」と叫んだとしても、現場に落とし込まなければ何の成果も上がらない。それを阻止するのが会社の政治性だ。どうやったら利益が上がる会社が出来上がるか、なんていうことはビジネススクールに行けば嫌というほど教えてもらえる。(それを否定するつもりはさらさらないが)大切なのはそれ以外の部分、行動力、情熱、執念、厳然たる姿勢、「愚直さ」と三枝氏は表現したが、樋口氏も「愚直論」という著書を出している。この普段聞きなれないワードを同じ分野のスペシャリストであるお二人が同時に用いているのはただの偶然じゃないだろう。

現場での専門性のジレンマも興味深かった。営業は「売るだけ」のプロ、開発は「作るだけ」のプロ、工場は「組み立てるだけ」のプロ。専門性を追求するあまりにこうなっている組織は多いだろう。しかし、それでは商品そのもののプロが育たない。「こう作ってくれればもっと売れるのに」と営業、「そんなの出来るわけがない、せっかく作ったのだから否定しないで」と開発、「もっと無駄があるのに、うちだけ削られる」と工場。せっかくの意見もこれではただの不満になってしまう。これは樋口氏の指摘するセクショナリズムの弊害に通じる。そうではなく、一つの部署で商品全体を顧客に届くまで管理することで、顧客と会社の距離を縮めることが必要だ、「一気通貫組織」が必要だ、と三枝氏は言う。


もっと書きたいことがあったのだが、本当に残念なことに操作をミスって全て消えてしまった。この本は金先生からお借りしたものだが、また読みたくなる日がまた来るだろう。だから、自分で買ってもう一度読むことにした。

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