2009年6月23日火曜日

【ホンヨミ!】ロングテール【栫井】

ロングテール/クリス・アンダーソン

金ゼミに入ってから、ロングテールという言葉を幾度も聞いたが、初めてこの言葉の発案者の著書を読むことができた。

一番印象的だったのは、音楽市場におけるニッチ文化の発展である。音楽とは反体制的な色合いも持つ文化なだけあって、もともとヒット作の裏でニッチ作が幅を利かせていた。しかし、ニッチ文化の曲は限られたクラブでしか聴くことが出来ず、物理的に開かれたものではなかった。日本で言えば、シモキタザワのレコード店だろうか。行けばニッチな音楽に触れられるが、物理的に行くことが出来ない人はニッチ文化を知らずにヒット作しか聴くことはない。そんな人たちにニッチ文化への扉を開いたのが、アマゾンなどのロングテール文化だ。限られたヒットだけではない、限りなく広い範囲をカバーしたアマゾンはウェブという物理的な壁を超越した空間で発達していった。アマゾンのほかにも、聴きたいと思った曲をネット環境にありさえすればいつでもダウンロードできるiStoreなども接触の幅を広げていった。最近の音楽市場に、以前のようなミリオンヒットが生まれにくいのは、従来のニッチ文化がヒット文化の割合をじりじりと縮めているからではないかと感じる。ロングテールの発展は、ニッチ文化をニッチでなくす可能性もあることではないだろうか。

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