2009年6月19日金曜日

【ホンヨミ!】ウェブ時代をゆく【岸本】

 この本に描かれている生き方は、まさしくスティーブ・ジョブス的なものだ。徹底的に自分が心から好きだと思えるものにコミットしまくり、極める。いくつかやり散らかした後に自分だけの「けものみち」が完成しているという感じだ。インターネットというのはこの「けものみち」を個人が作る上で強力にエンパワーする。

 ただ、オープンソース関連で飯を食うことには疑問がある。確かにまとめ役、及びその片腕くらいまでは十分に飯は食える。しかし、「その他大勢」は技術などの「集合知」を提供してもそれっきりだ。既存の雇用体系の上にオープンソースなどのクラウドソーシングが成り立っている事を考えると、完全な移行は無いのか。あるいはもっと徹底的に移行し、ほとんどのサービスが無料で提供され、少数の金持ちとなったまとめ役とその他大勢の貧しい(でも生きるのには差し支えの無い)人々に分離するのか。

 また、ひたすら自分のやりたい事だけにコミットし続けるということは、組織に移植出来るのだろうか。ともすれば「『やりがい』の搾取」ともなりかねない。こうしたこれからの創造性を重視した世界では明確な雇用体系が求められているのか。あるいは小さな組織のみが生き残るのであろうか。

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