2009年6月19日金曜日

【読書】バカの壁【村山】

印象に残ったのは、「わかる」ということに対する説明です。まず、「わかる」ということに関して、常識とは知識があるということではなく、当たり前のことを指すとあります。つまり、常識は知識(雑学)とは異なるということです。しかし、私たちは日常生活の中で、この「わかる」という言葉が持つ曖昧さを理解できていないのではないでしょうか。例えば、サッカー観戦をするためにスタジアムに足を運んで試合を観戦すれば、試合は11対11で行われ、自陣に決められるゴールより多くの点を相手のゴールに決めれば勝ちというルールは知識として理解できると思います。しかし、実際の試合の中では、相手との心理的な駆け引きや、攻守における戦術の違い、仲間とのコミュニケーションなど、試合をパッと見ただけでは分からないようなことが行われています。つまり、「わかる」というのは、単なる表面的な知識を持っているということではなく、そのディティールを理解しているということなのです。こう考えると今まで分かっていると思っていたことも、実際には分かっていなかったという事柄が出てくるのではないでしょうか。実際には分かっていなかったということに気づくのは悪いことではないと思います。むしろ、分かっていないことを「わかれた」ことの方が重要なのではないかと感じました。
また、この「わかる」ということに共通了解を掛けている部分があります。共通了解は世間の全ての人が共通にしている了解事項のことです。そして、私たちは共通了解を求められている一方で、同時に個性も求められているという矛盾を紹介していますが、この部分は面白かったです。ただ、この部分に関しても、全体に関しても「本当にそうなのかな」と思う箇所が多々あり、ベストセラーの一冊ですが、個人的には一回読めばもう十分という感じでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿