2009年6月25日木曜日

【ホンヨミ!】ブータンに魅せられて【大賀】

今枝由郎著「ブータンに魅せられて」(2008年、岩波新書)
2009年6月25日読了

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学部の授業レポートでブータンについて調べることとなり本書を読んだ。ブータンについて「未開発の発展途上国」というイメージしか持っていなかった私だったが、本書を読みブータンの社会、人々のことを理解すると同時に、その中に「失われた日本の美しさ」を見ることができた。
第四代ブータン国王が提唱した「GNH」すなわち国民総幸福という指標。物質的経済的豊かさを計るGNPよりも、GNHを追求することがブータン国家最大の目標となっている。ブータンはGNP指標的に見れば「発展途上国」だ。だが国民たちは、「今、幸せである」と答えた国民は、2005年の国勢調査豊かで97%に至っている。豊かではなくても、モノが無くても、人々は幸せを感じている。美しい自然と愛すべき家族と隣人に囲まれ、ゆったりと過ごすこと。それがブータンの人々にとっての幸せなのだ。その考えは、近代化が進む状況下で、日本人の多くが失ってしまったものだ。だからこそブータンの思想に郷愁をさそわれる日本人が多いのかもしれない。
幸せとはなんだろう。私は何があれば幸せだと感じるだろう。時間?お金?名誉?-この問はきっと、未来永劫続く人類最大の疑問だろう。ブータンの幸せが全ての人々の幸せであるとは言い切れない。また、ブータンの「幸福追求」の姿勢が、グローバル化が進む現代においても維持できるのかはわからない。もう一度問い直したい。そして、それを世界中の人々が実現させるためにはどうすべきかを考えたい。

 「幸せって、何だっけ」

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