2009年6月25日木曜日

【ホンヨミ!】世界大不況からの脱出【池亀】

世界大不況からの脱出/ ポール・クルーグマン

昨年ノーベル賞を受賞したポール・クルーグマンの著書。ノーベル賞という話題性と、ゼミの輪読書・市場を創るの影響で、ちょっと背伸びして手にしてみた。

本書は題名が「世界大恐慌からの脱出」とあるが、脱出の術は特にはっきりとは書かれていなかった。(もちろん現在の世界的恐慌に有効な対策があるかは疑問だが)
筆者も冒頭で述べているが、ここでは「なに」が起こったのかより、むしろ「なぜ」起こったのかという今の世界的不況に至るまでの経緯が中心的に説明されており、ひょっとしたら題名も「脱出」というより「入口」とか「突入」とした方が適切かもしれない。
ただその内容は実に充実しており、1930年代の世界大恐慌から、共産主義の崩壊、そして1990年代に起こった中南米での経済危機やアジアでの経済危機、さらにバブル崩壊後の10年以上にもわたる日本の経済不況について説明されている。たしかに経済いついて詳しい知識がないと読解の難しいところもあるが、経済理論を身近なベビーシッターの例に置き換えた筆者の説明などはだいぶ分かりやすい。
筆者は、今現在起こる世界大不況を、1930年に起こった世界大恐慌を、それからしばらくして再び起きた中南米及びアジアでの経済危機を彷彿とさせるもので、現在の不況に対する警告だったとしている。過去のそうした経験から教訓を得て経済対策を講じたはずなのに、今ふたたび大不況が世界を襲っているという状況はなんだか不気味に感じられるかもしれない。しかしそれと同時に、市場ではたとえその市場が健全であろうとそうでなかろうと、予想しえない事態がつきものであるということもあらためて認識させられる。

まだかなり消化不良な部分ところがあるので、またあらためて熟読したいと思う。

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