2009年6月30日火曜日

【ホンヨミ!】疾走する精神【金光】

『疾走する精神』 茂木健一郎

前に茂木さんの本が回ってきたときになんだか印象に残ったので、メディアの新着図書コーナーで見つけて読んでみた。今回は短編のつながりだったため軽い。こんなふうに今までは食わず嫌いしていた範囲に手を伸ばすようになったのは、ゼミで先生が貸してくださっているおかげ。
今、たまたま筆者の経歴について奥付を見ていたら、小林秀雄賞をとっている著作があった。小林秀雄が本文内に何度も出てくるのはそこに関連するのかと思った。

あなたにとっての無限とは何ですか
それはあなたの日常に数えきれないくらい存在します
という内容が一番印象的。詳しくは本文で。でも、言われれば当たり前のことに気づくか否か。当たり前のこと同士を理屈で関連付けるとどうなるか。茂木さんの文はそういう感じがする。とても頭が柔らかくて、結びづける材料となる知識が豊富なんだと思う。
また、中に小林秀雄と永井龍男がエントロピー(乱雑さ)について、横須賀線車内~帰り道とずーっと話し続けてもまだ理解できず、ついに小林が永井を道の脇の溝に突き落とし、「これがエントロピーだ!」と示したという話があった。私よりもはるかに知識の豊富な人が、こんなにつきつめても言葉では示せないような内容なのに、私が茂木さんの本を読んでわかった気になっているのは、本当の理解ではないのだろうか、と思った。

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