2009年6月26日金曜日

【ホンヨミ!】プロデューサーの仕事【宮村】

プロデューサーの役割・能力・仕事についての様々な要素やノウハウが紹介されており、プロデューサーに求められる内部要因、外部要因を一通り理解することができた。ビジョンの構想、プロジェクトメンバーの選定、資金管理の方法からミーティングの進め方(例えば、「突飛なアイディアも潰してはならない」など)に至まで、ノウハウ的な知識として役立つものが多かった。しかしながら、全体を通して、様々な要素やテクニックが整理されずに羅列されている印象が強く、体系的なフレームとしての整理を示して欲しかった。

21世紀がプロデューサーの時代である事は間違いないと思う。本書でも、プロジェクトベースの「システムズアプローチ」という事を言っているが、ビジョンを共有し、各々のメンバーに権限を委譲することで自律分散的で機動力のあるプロジェクトが描けるのだと思う。そのような時代に、プロジェクトに求められるメンバーというのは、複数分野に関して深い見識や技術を持つ、ジェネラリストでありスペシャリストでもある人材ではないだろうか。本書でも述べられていたが、「専門家同士のコラボレーション」の重要性が強調される事は多いが、その各人が持つ専門性は単一の分野では不十分になってきているように思う。takram(タクラム)という非常にクリエイティブなデザイナー集団があるが、彼らはすべてのメンバーが持つべきベーシックなスキルとして、プログラミング・エンジニアリング・デザインを挙げ、さらにその上で各々の2つ以上の得意分野をのばすことを使命としている。「2つ以上の専門性」という事で「π型」人間という事を言っているが、プロジェクトにより高度なクリエイティビティを求めようとすると「T型」に留まらず、複数分野を極めようとする「π型」の精神をもったプロデューサーやメンバーが不可欠であると思う。

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