2009年6月21日日曜日

【ホンヨミ!】変われる国・日本へ【戸高】

坂村健著『変われる国・日本へ』

 まず、この本で日本が「イノベーション25」という長期的戦略を打ち出していたことを初めて知った。
 ここでは、人口減少、少子高齢化に拍車がかかり始めた日本社会を、技術革新、新しいアイデア、ビジネスによるイノベーションで持続的成長と、豊かな社会を実現することを目標にしているそうだ。
 しかし、日本におけるイノベーションはなかなかうまく進んでいるとは言うことができない。もちろん日本のお得意分野である、商品に関するイノベーションや、トヨタのカンバン方式などに見られる、プロセスイノベーションは強いが、ソーシャルイノベーション、つまり、制度設計に関するイノベーションはまだまだ欧米諸国には劣っている。
 それは、イノベーションを生むための環境や、法体系などがもともと日本の法体系は大陸法で、アメリカやイギリス式の、ケーススタディ、判例による裁判ありきの法ではないためなど、理由はいくつかある。
 また、10年、20年後の社会の様相など、誰にもわからないが、日本はその将来図を決めてしまってから、イノベーションに取りかかろうとしている。一方、アメリカやイギリスは、「人材教育」「投資戦略」「インフラ」という強化すべきポイントを政府が定め、予測できない未来に対応するのではなく、何があるか分からないからこそ、イノベーションは起きやすい環境を設計するといった強い意志がみられる。
 もちろん、法制度や文化的慣習が違う日本に、そのまま米英の制度を持ってくるということはナンセンスかもしれないが、戦後日本はそれで発展してきたような部分もある。あとは、それをただ取り入れるだけではなく、いかに日本国としての制度として改変し、イノベーションを起こしていく強い意志をもった国家を形成するのかといったことが重要なのであろう。

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