2009年6月26日金曜日

【ホンヨミ!】僕が2ちゃんねるを捨てた理由【岸本】

 最近の新書の例に漏れず、タイトルはあまり当てにはならない。ひろゆき氏による冷静なメディア批評が展開される一冊。氏は、日本の「ジェイコム男」や韓国の「ミネルバ」のように自分はただ時間があって調べものを論理的に組み立てる事が出来て、そしてどのアクターにも属さないから、また誰も自分の意見を表に出さないから本書のように意見を表明するという。

 インターネットは「メディア」ではなく「ツール」にすぎない。だからテレビなどの旧来のメディアはネットを敵視すべきではない。というところから、「クラウドコンピューティング」は、ASPサーバーによってサービスを提供しているだけだから、何も目新しいものではない。などなど。「Web 2.0」などもそうだが、コンセプトに囚われることなくあくまで「普通に考える」。このことがひろゆきのひろゆきたる所以か。こうしたコンセプトに抗う力、あるいは他人のルールで踊らない力は自分には欠けているなと感じた。

 また、「1%のひらめきを99%の努力ができる他人にやらせてみる」という力の抜けたコンセプトは梅田望夫氏のコンセプトが裏返った結果か。とにかくネットは個人をエンパワーするツールのようだ。

 ニコニコ動画を黒字化する気はないという話も興味深かった。下手に広告を打ってユーザを手放したり、規模を小さくして無理矢理黒字にしたりするなど安易に黒字化するのではなく、当面は赤字が続いてもユーザをがっちり手放さないようにする。これはTwitterの話に通じるものがあるのではないだろうか。バブルに浮かれるのではなく、あくまで顧客満足度を重視するやり方はようやっとネットビジネスで定着するのだろうか。

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