2009年6月19日金曜日

【読書】パンセ【小山】

パンセ
パスカル (著), 前田 陽一 (翻訳), 由木 康 (翻訳)



古典ブームから第2弾、今度はパスカルのパンセ。いわゆる随想で、私の最も好きな本のジャンル。色々な物事についてのパスカルの所感が書かれている。「人間は考える葦である」の言葉だけが有名になっているが、そのほかの言葉もなかなか含蓄に富んだ面白い、奥深い言葉だし、それに「人間は考える葦である」はそのフレーズよりも、その後の記述の方が、むしろ重要ではないかと思う。というわけで、その後の記述について、ちょっと省略しながら紹介。
 人間は自然界で最も弱い葦のようなものであるが、しかし考える葦である。この葦をおしつぶすのに宇宙全体が武装する必要はなく、蒸気や水滴で事足りる。しかし、人間はそのような宇宙よりも尊い。なぜなら人間は自分が死ぬことと、宇宙が人間よりも優勢であることを知っているからである。宇宙は知らない。だから、われわれの尊厳のすべては、考えることの中にある。われわれはそこから立ち上がらなければならないのであって、われわれが満たすことのできない空間や時間からではない。だからよく考えることを努めよう。ここに道徳の原理がある。
 これが、その葦についての記述。フレーズのみが有名になったが、その奥の意図するところを知ることは重要だ。特にここでは、「だから、われわれの尊厳のすべては、考えることの中にある。」という箇所以降が重要だと思う。思考する、ということの重要性を訴えている、非常に良い記述である。

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