2009年6月19日金曜日

【読書】ハリウッドはなぜ強いのか【村山】

まず面白いのが、アカデミー賞の中のドキュメンタリー部門賞を獲得したマイケル・ムーア監督が、アカデミー賞授賞式の自身のスピーチの中でアメリカ合衆国のブッシュ大統領(現在から考えると前大統領)を批判していたことです。幼いながらに、ブッシュ氏とゴア氏の大統領選でゴア氏優勢との報道にも関らず、既に候補者の名前が記載された選挙用紙を運ぶ運搬車が横転して、その時に何らかの不正が行われたという報道があったことを覚えています。ムーア監督はこのことを指して、「私たちはフィクション(不正な)な選挙によって選ばれたフィクションな大統領の下、フィクションな時代に生きている」と、(当時の)ブッシュ大統領を批判しているのですが、アカデミー賞授賞式という公式の場で、このような発言をする監督の精神が面白かったです。
次に驚いたのが、アカデミー賞授賞式の開催理由。ハリウッド映画の振興のためというのは建前で、実際には、映画業界の収益を高めるためで、自分たちの儲けのために授賞式をショーに見立てている点。アカデミー賞授賞式の視聴率が高いということもあり、莫大な額の放送権料をハリウッドは受取り、これだけで数十億の利益を上げるのである。
また、興味深かった内容が2点。まずはハリウッドのヒット作品の作り方について。ヒット作品に必要な要素として、スーパースター(ヒーロー)と続きもの(興行収入の良かった作品の続編)の二つが指摘されている。つまり、出演俳優の知名度や前作の評判の高さを利用することで、前作のファンだった観客を予め確保して、低いリスクで高収入を得られるという戦略である。因みにこれは、日本も取っている戦略です。(おそらく日本が真似したのかな?知っている人が居たら教えて欲しいです)例えば、最近では「花より男子」がその典型的な例だと思います。元々テレビドラマで放送されていた本作品は10代の若者を中心に高視聴率を維持していたので、後に映画化されました。そして、テレビドラマを見ていた元々のファン層を中心に、映画も大ヒットしたそうです。そして、もう一つがハリウッドの超大作主義について。ハリウッドは膨大な制作費をかけて多くの観客を集める、ブロックバスター(大ヒット映画)の制作を目指しています。私が面白いと思ったのは、この事実ではなく、映画を制作するスタジオの収益の形態について。このようなブロックバスターを十本、制作しても、この内の六、七本は利益無しか赤字で、残りの数本で収益の80%を稼いでいるそうです。つまり、収益の八割は数本の人気作品によって賄われるというロングテールの法則(80:20の法則)が、映画業界にも見られるのではないかということです。授業の話が読書にもつながってきていることを実感できました。

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