2009年6月19日金曜日

【ホンヨミ!】フランスに学ぶ国家ブランド【岸本】

 日本がフランスに学ぶ事が多いのは従来から指摘されていることだ。例えばそれは発電源をもっと原子力発電にシフトすべきだとか、少子化からのV字回復、食料自給率の問題に周辺国との歴史認識問題などだ。

 著者は現在のフランスの体制をおおむね評価しているものの、フランスの失敗から日本が学ぶものも多い。例えば、フランスの「プレカリアート」と呼ばれる若い労働者階級は国際的な自由化の流れの中で、苦境に立たされている。日本の派遣労働者の問題にも繋がってくるが、社会的な保障体系の構築などによる解決方法が求められている。また、個人的にはフランスの「暴動」文化を評価している。かつて雨宮処凛氏が講演で述べていた事だが、日本の教育では市民による声の挙げ方(あるいは権利の行使の仕方)、すなわちストや各種請願のやり方などを教えない事が問題である。フランスのように火炎瓶をもって…というのはさすがにやり過ぎかもしれないが、正式な手続を踏まえて市民が政治に対して声を上げる事が出来るように社会を変える必要があるのではないか。(教育だけではなく、「プロ市民」などと蔑視し「出る杭」を叩こうとする同調を求める風潮も好ましいとは思わない。)

 自国の文化政策・文化外交を非常に重要視しているフランスであるが、自国の文化の保護だけでなく他国の文化への配慮も忘れず、常に多様性を尊重しようという姿勢には感心した。

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