2009年5月31日日曜日

【書評】ハイコンセプト【田島】

ハイコンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」 著:ダニエル・ピンク

この本は金ゼミのOPゼミで使われていた右脳左脳の絵のもととなった本であるらしい。また著者のダニエル・ピンクはゴア副大統領のスピーチライターもつとめた人物であり、つまり当然ながら社会に対する目線、しかもそれをおもしろくわかりやすく説明する手腕にずば抜けている人物、ということである。そいったことを事前に金先生に教えていただいたので、期待して読んでみたところ・・・・これが本当に面白かった!この本の素晴らしい点は、よくあるハウツー本だと思われて読者からナナメに見られてしまわないような信頼性を保ちつつ、読んで難しさを感じさせないように丁寧に書いてあることだ。本当にさすがスピーチライターと言ったところ。最近の自分の文章は、ただ考えを吐き出すことに終始してしまって、読みやすさわかりやすさを重視してこなかった。しかしわかりやすく書けるということはそれだけ書く内容を自分の頭の中で整理できているということだから、いかなる文章においても読みやすさを意識することは重要なのだとこの本から学ぶことができた。
さて、内容についてだが、世の中では今後どんどんと「右脳型思考」が重要視されるようになるのだという。その理由は、「左脳的思考」が台頭により逆に価値を失っていること、論理で支配できる左脳型の仕事は今後アジアの安い人材やコンピューターにとって代わられてしまうことが挙げられている。これは非常に説得力のある主張であった。同じ質ならできるだけコストの低い方を選ぶのは企業の合理的な選択であり、自分ならではの独自性を持たなければ簡単に切られてしまうのだ。(ひとつだけ筆者に言いたいことは、現在では右脳型的思考でアジアの安価な人材に差をつけることができるが、それも数十年後には追いつかれるのではないかと私は思う。)
参考にしたいと感じたポイントは、まずCHADというデザイン学校では、歴史の時間ローマの水道橋の模型を作ってデザインの観点でも歴史を学ぶというところ。これは歴史の授業として非常に面白い手法だと感じた。文献を読む行為は敬遠されがちだが、実際に体感させれば、楽しんで時代の特徴を覚えてくれるだろう。私が歴史の先生になったら是非やってみたい。
また、6つのセンスを日常にとりいれる方法が色々書かれていたが、デザインメモ帳と短編小説作り、興味のない雑誌を読むことは実際にやってみようと思った。前記のセンスアップに役立つだけでなく、日常のふとした発見が増え、楽しくなりそうだ。

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