2010年1月3日日曜日

【ホンヨミ!0105④】グランズウェル【栫井】

グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略/シャーリーン・リー、ジョシュ・バーノフ(訳:伊東奈美子)


どうして論文中に読まなかったんだろう、と後悔した一冊。
本書で取り上げられている「グランズウェル」つまり、人々が自分達で情報を生成し調達する力は、私たちが先日書き上げた論文が社会にもたらす意義を説明していると感じた。

今、消費者と企業との関係は大きく変わっている。従来の一方向性のマーケティングが双方向的になり、単なる「モノ」としての商品ではなく、人々の生活に「経験」を与える商品が求められている。
この変革をもたらしたのが、テクノロジーによってエンパワーされた人々の力だ。「ソーシャル」という言葉がキーワードになるグランズウェルは、今まで企業に届くことも消費者同士で交わされることもなかった人々の声を、確実に世界中に広めている。

本書は、企業に向けられたメッセージが主となっていて、グランズウェルが企業にもたらすものを中心に書かれている。私たちの論文は、グランズウェルを促進する側面を持つ、UGCプラットフォームの作り手に焦点を当てているので、少しアプローチが異なるが、もっと論文に使う時間があれば、本書にあるような企業マーケティングの立場についてももっと言及したかった。
論文中、角川×YouTubeの戦略について研究したが、まさにこれはグランズウェルを活用した成功例と言えるだろう。
ネット上に溢れ自社についての人々の感情の発露を、丁寧に目で確認し、語りかけ、パートナーシップを結ぶ。今までだったら権利問題として排除していた顧客を取り込み、より自分たち(角川自身とその顧客)がウィンウィンになれる方を採った。
人々が元々内に秘めていた情熱を、上手くサポートして自社の利益にも変えていく。角川が大切にしていると伺った「愛」は、どんな商品にも適用出来ると思う。角川のような作品ではなくとも、世の中に出るひとつひとつの商品には、それぞれ顧客とのストーリーがある。自分の持つストーリーを誰かに伝えたい、そうした欲求は、テクノロジーの支えによって膨らんできている。これらの声を自分たちに取り込むために、企業は変革する必要があるだろう。

人と人との関係を強化する、ソーシャルプラットフォームは社会の流れを大きく変えていく。本書を読んで強く感じた。

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