2010年1月5日火曜日

【ホンヨミ!0105②】ラテンアメリカ経済論【田島】

「ラテンアメリカ経済論」西島章次ら著

私は第二外国語でスペイン語を選択している。ラテンアメリカの映画や歌を授業で鑑賞する機会が多いのだが、そのどれにもラテンアメリカの「貧困」のムードが重低音のように流れていた。炭鉱等での過酷な労働に苦しむ人々、マス工場で低賃金で働く若者たち、危険を冒してアメリカに渡ってヒスパニックとなる者。中世以降世界は植民者と植民地に分けられ、ラテンアメリカもアジアやアフリカと同様に植民地としての運命を辿ったが、地理的にアメリカと近く、資本主義への依存と癒着が見られるのがラテンアメリカ地域の固有性ではないだろうか。

私は一年間の授業を通して「ラテンアメリカは何故貧しいのか」「ラテンアメリカは本当に貧しいのか」の二点の疑問を持ってこの本を読み始めた。内容には経済学の概念が多く、必修のマクロ経済学を適当に勉強してしまった私には大変だったが、これを機に勉強しなおすつもりでいたい。またこれからもいろんなラテンアメリカの本を読んでいきたい。

この本を読んで感じたことは、新興国の経済の脆弱性や、経済に対する政府の影響力の大きさの強さである。ラテンアメリカで「失われた10年」と呼ばれる1980年代の経済危機はラテンアメリカ政府が債務やインフレに対して有効な手立てを打ち出せなかったことに起因している。「市場の力」のみでは貧困は解決されることがない。自由経済化によってラテンアメリカが成長しつつあるのは確かであるが、資本主義が全ての国に適応されうる最上の価値であるかは疑問を持ち、慎重になる必要性があると感じた。
現代人はお金なくしては生きることができない。今まで避けてきた経済だけれども、社会のことを知るためにもっと勉強しなくてはいけないと感じた。

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