この本で述べられていることは以下の4つです
1. 情報社会の主導権は供給側から需要側へ
2. メディアと社会・組織の構造は伴って変化する
3. メディアは「多対一」へ変化していく
4. 情報の信頼の確保
1. 情報社会の主導権は供給側から需要側へ
これは他ならないインターネットの普及による情報の爆発によって共有過多になったために主導権が移ったと言えます。
2. メディアと社会・組織の構造は伴って変化する
これは以下の図にまとめられます。メディアと構造の変化のどちらが先かは一概には言えませんが、伴って変化するということには一定の説得力があります。
3. メディアは「多対一」へ変化していく
これは1と2の帰結であると言えます。
一対多:マスメディア(情報は一方通行)
多対多:ネットメディア(双方向)
多対一:エージェントメディア(また一方通行?)
現状のネットメディアでは情報は双方向に流れるようになり、また必要な情報も手に入りやすくはなりました。しかし、意思伝達、あるいは検索のための取引費用が膨大になってしまいました。
そのため必要な情報のみをより効率的に伝える必要が出てきました。これは編者となる緩衝剤が必要であるということです。こうした編者のことを筆者はエージェントと呼んでいます。
この編者は様々な方法で既に実現していると言えるでしょう。例えば、ニュースサイトのカスタマイズ、あるいはRSSリーダー、またあるいはクラウドソーシングによるタグ付けなどです。タグ付けの方法についても様々あり、弟子筋にあたる濱野智史さんのこの論考も興味深いです。
4. 情報の信頼の確保
筆者はまず情報の信頼を4つに分類しています
信頼の4パターン(一部改)
- 権威による信頼
- 「世間」による信頼
- 友人による信頼
- 自己の体験による信頼
これから従来のメディアだけでなく市民メディアがいかにして信頼を築き従来のメディアの代替メディアとなることができるかということを論じています。
この本を読んでいて常に頭の中にあったのはTwitterのことでした。Twitterが万能なエージェントを務め、また従来のメディアに代替するとまでは思いませんが、こうしたマイクロブロギングでなおかつ一方的に「フォロー」するという仕組み(アーキテクチャ)が次世代のメディアをある程度予見していると言えるでしょう。『Twitter社会論』で登場した属人性という概念が信頼を生み、ニュースソース、編集者としての社会的な価値を持つことを考えると、現在のTwitter及び同様のマイクロブログサービスのアーキテクチャ及び普及の過程、ロックイン戦略などを比較することで今後のメディアのあり方を予言することが出来るのではないかと考えました。
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