2009年12月4日金曜日

【ホンヨミ】日銀を知れば経済が分かる【菊池】

 市場は、人々の信頼で動く。急激な円高・デフレを受け、一昨日から日銀が事実上の量的緩和政策に踏み切っていることは大きく取り上げられている。これはあくまで下支え・金利低下の手段であるのも確かだが、市場の予想は「今後もアメリカ経済の先行きは暗く、いつ円高ドル安に戻ってもおかしくない」ということだ。つまり、市場は今回の日本の政策を、円安に向かう要素としてあまり信頼していないということだ。市場の信頼がなければ、本来円安に向かうはずの効果も限定的になる。

 実は、過去にも日銀は同じような政策をとったことがある。アメリカでのITバブル崩壊の飛び火を受けた不景気時、日銀は量的緩和に踏み切った。実はこの時日銀は、市場の期待を得るために、ひとつ細工を仕込んでいた。景気回復による市場での利上げ予想→金利上昇を防止するため、たとえ景気が回復しても、インフレ率がある水準で安定するまで利上げは行わないと宣言したのだ。これにより、市場が「勝手な信頼」をするとこを防止し、政策効果を十分に確保しようとしたのだ。量的緩和の効果の是非は別として、日銀は市場の信頼を味方につけることに成功し、日本はリーマンショックまでの束の間の好景気を謳歌することとなった。

 日銀の政策は、賛否両論、様々だ。超低金利が生んだ円キャリートレードが、世界を襲った金融危機の元凶だと主張されることもある。ただハッキリ言えるのは、通貨の番人である中央銀行の役割は、市場の動きが実体経済と乖離しすぎないよう努めることなのだ。今日の円高は、明らかに国力を反映しているとはいえず、実体からかけ離れていると思う。今後の世界経済、はたまた日銀の動きは、要チェックだ。回復に向けて、どのような手立てがなされていくのか個人的には大いに関心がある。早く回復してくれないと、就職にも困りますし。

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