2009年12月4日金曜日

【ホンヨミ】脱藩官僚、霞が関に宣戦布告!【菊池】

 霞が関の体質に疑問を持ち、将来が保証されている身分を自ら捨てていった、いわゆる脱藩官僚達が自身の経験を綴っている。脱藩官僚は、非常にいいとこどりの人生、悪く言えば、ずる賢い。まず彼らは、必ずといって良いほど、官庁に入ってから国費で留学している。大概はアメリカの名門大学・大学院だ。いわば、官庁や留学制度をキャリアアップのために利用しているのだ。いや、どちらかと言えば、結果的にうまく利用することになった人が大半だと言えるのだが。いずれにせよ、官僚という身分を捨てるという決断には、相当の覚悟が必要なことには変わりはない。その後の彼らの活躍を見ると、その覚悟は非常に強い自信に裏付けされていたのだと思う。

 といっても、もともと霞が関を利用してやろうと考えて入ってきた脱藩官僚達は非常に少ない。本書でも、そのような人は20代で官庁を去った上山氏くらいに感じられる。結果的に、誰にも負けないキャリアと専門性と自信が得られたからこそ、官庁を辞め、その後の道を開拓していけたのだ。こう考えると、人生、長いスパンで考え、「棚から牡丹餅」を期待するような姿勢でも悪くはないのかもしれない。ようは、牡丹餅が落ちてきやすい環境を探し、常にそこにいることこそが、自分の本当のやりがいを見いだせる職や人生に出会える秘訣なのではないか。そのようなプラットフォームを多く持ち合わせていることが重要で、それらをどれだけ戦略的に利用していけるかが勝負なのだと感じた。

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