2009年12月19日土曜日

【ホンヨミ!1218①】ローマから日本が見える【田島】

ローマから日本が見える 塩野七生

 予備校の先生に、政治学科に合格したことを報告したとき、「ローマ政治を勉強してみなさい」とアドバイスを頂いた。その時は何故ローマ政治を薦めてくださるのか正直よくわからなかったのだが、知れば知るほど、その意味がわかってくるような気がしている。ローマ政治のある時期は、政治史の中で特筆すべきモデルであると思う。それは、古代ローマが築きあげた長きに渡る繁栄が物語っている。それはその時代であるからこそ成立でき、現代には必ずしも全て通用するものではないが、彼らの政治スタイルからは、よいコミュニティーと、リーダーと、メンバーのあり方を抽出することができるだろう。
 この本の中で印象的であった議論点は、元老院が終身制であったことである。終身制と聞くと、選挙という洗礼を受けないため腐敗するのではないかという懸念が出てくるが、塩野氏は事実はそれとは逆で、「ノーブレスブリオージュ」を持つ貴族議院たちは、票集めに奔走することなく、政務に集中できたのだという。
 ここで日本における参議院衆議院の問題が思い浮かぶ。彼らの中には、結局地元での票集めや目先の進退ばかり気にして勉強ができないといった不満も存在する。彼らは何のためにいるのか?地域の声を反映させるためか。それとも全体的な姿勢でよりよい政策を作っていくためか。
 金ゼミにいて組織の意思決定というものを体験してから、恥ずかしながら今更強く政治に興味が出てきた。金ゼミの何百倍も社会的影響力のある決定、日本の政策法律の設計の決定権を彼らは持っているのである。

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