2009年12月11日金曜日

【ホンヨミ!1211①】オバマ現象のからくり【大賀】

田中慎一、本田哲也著「オバマ現象のからくり‐共感の戦略コミュニケーション‐」(アスキー新書)2009年12月11日読了

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 論文にも繋がる本書。発表前に何としても書評を書いておきたい!ということで、がんばりました。まずはこの図をご覧ください。



 オバマのコミュニケーション戦略がなぜすごいのかといえば、それが従来のコミュニケーションとは全く異なった形で成り立っていたということである。かつてのアメリカ社会は、アメリカという善に対し、その他の悪が存在するという二元論的考え方に基づいて、大統領から国民に説得する形でコミュニケーションが行われていた。かつての冷戦下の世界においては、資本主義vs共産主義。そしてブッシュ政権下においては、アメリカという正義vsイラン、イラク、北朝鮮という「悪の枢軸」である。しかし従来のこのようなやり方では、現代社会において通用しえない。なぜならば現代の情報過多社会において、人々の価値観は多様化し、単純な二元論的考え方が通用しないからだ。
 オバマはこの現状を上手く見抜いた。そうして彼が行ったコミュニケーションの形は、全く新しいものでありながら、多くの人々を惹き付けることに成功した。図で表せば、以下のようになる。



 つまり、オバマは、「アメリカ社会は変わらなければならない(Change)」という概念を、国民に訴えるために、まずは当時の社会状況の深刻さを国民に「気付かせる」手法をとった。そこには、善に対する悪という考え方は存在しない。また、一方的な説得でもない。オバマはあくまでも、自らは間接的に関わることで、国民からのボトムアップによる「世論」を作り出したのである。そうして彼の唱えた「I can change」というキャッチフレーズは、「We can change」というアメリカ国民全体のムーブメントとなったのである。

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 ここまでがアメリカの「オバマの成功の秘訣」ではある。ここから問題なのは、彼の「共感型コミュニケーション」がいつまで続くかということだろう。オバマ大統領はノーベル平和賞を受賞したが、そのことに対する批判意見も数多く存在している。国民に対する共感を植え付けることが、今後も持続するかどうか。ここからが正念場だ。

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