2009年12月14日月曜日

【ホンヨミ!1211②】デジタル時代の出版メディア【田島】

遅くなって申し訳ありません。

デジタル時代の出版メディア 湯浅俊彦著

論文のテーマのために電子出版に関する本を多数読んでいるが、驚くほどにその中で出される問題提起は共通している。同時に、これだけ問題点が明確化されながらも早急に手を打ってこなかった出版界の対応の遅さというものを感じてしまう。

本書も出版業界の危機と、電子書籍の展開について書かれているが、著者独自の見解として、この後出版メディア関連企業はM&Aをしあい、メディア・コングロマリット化していくと述べている。
私も、出版社が流通において主導権を握り続けるためにはそのことが必要なのではないかと思う。
ネットの出現で膨張していく出版流通のなか、出版社はアナログの道のみ考えていれば、その大きなストリームに飲み込まれ利用されてしまう。上質なコンテンツは対価がある。出版社はコンテンツを守り、大事な収益源を他企業に利用されないようにしなければならない。従ってデジタル化も出版者の目の届く範囲で行なうのがいいのだが、各出版社で小さいプラットフォームを作るよりも、巨大なものを一つ作ったほうが集客力もあがるしいい。出版社が協力しあい、収益が出版業界に還元されるようなプラットフォームが望ましいと思うが、それが論文でもとりあげている電子文庫パブリである。
しかしパブリの認知度は未だ薄く、googleやamazonなど認知度の高いプラットフォームが電子書籍販売を始めてしまえば大きな脅威にある。それらに出版社のサイトが勝つにはどうしたらいいのか?商店街に例えれば、八百屋さんが、「そこに行けばなんでも買える」スーパーに勝つにはどうしたらいいか?八百屋さんでよくあるのは、その店のバリューをつけることである。「そこに行けばおじさんが色々教えてくれる」「そこに行けばおまけにもう一本もらえる。」google やamsazonなどの巨大なプラットフォームは逆に言うと専門性は低い。出版社が出版社ならではの価値を用いて魅力的なプラットフォームを形成すること、それがカギである。

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