出社が楽しい経済学2/吉本佳生
1に引き続き、戸高さんにお借りして読んだ本だ。
前回の内容が好評だったため、続編が出たというNHKの番組に合わせて、再び出版されたこの本だが、前回同様、おもしろくて読み応えのある一冊だった。
読んでいて、わかる!と思わず頷いてしまったのが、「ヴェブレン効果」である。これは、必ずしも値下げすることが販売促進につながるとは限らないという、一見すると経済学的におかしいような効果のことだ。しかし、実際100円均一に同じ商品が売られていようと、105円以上の値段がする類似商品を買ってしまうという例は多いのではないだろうか。100円均一の商品の方が、粗悪に思えてしまったり、そんなところで買うのは恥ずかしい、という気持ちが働いてしまったり。特に後者の場合、より高価な商品を買うことで高い満足度が得られる。高価なものを買う自分をみせびらかしたいがための、顕示消費と呼ばれるものである。
一見、非合理的で意味のないものに思えるが、本書にあるように、「高価である」ということは購入したときの満足度を高めるものでもある。同じ味のワインでも、「これはとても高価なもので・・」と言われると、つい美味しいような気になってしまったり、高級ブランドは消費者にとっての価値を下げないために、安売りを避けている。
プレミアム戦略ともつながることだが、ブランディングをしっかり行うことで、高い価格それ自体が価値を生み出すこともあるのだ。
次におもしろいと思ったのが、スクリーニングである。ここでは、就活で面倒なエントリーシートを書く意味として、安易な気持ちで面接に進もうとする学生を振るい落とすため、というものを挙げている。こちらからすると、たまったものではないのだが、こういった考え方を日常に応用すると、だいぶポジティブに生きることが出来そうだ。
また、スクリーニングは振るいをかける立場にたつときにもおもしろそうだな、と思う。人を試すというのは決して楽しい行為でもないのだが、何かを託したいとき、その人がどのくらい本気なのか、少し難しいことを言ってみるのも一つの手段かもしれない。自分にとって本当にそれを託せる人なのかどうか、面倒な作業をポジティブに捉えてくれるか、スクリーニングを応用すればわかってしまう。
相手にとって良質であること、相手が良質であること、より良質な生活の送り方をするために、スクリーニングという言葉を心に留めておくのも良いかもしれないと思った。
2009年12月4日金曜日
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