2009年11月20日金曜日

【書評】日本の「世界商品力」【村山】

日本のソフトパワーについての論文をしようとしていたことがきっかけで読んだ一冊。本書では、タイトルにもある通り、クール(かっこいい)・ジャパンの名のもと、一貫して日本のあらゆる分野の商品が「世界商品」として認められているということについて言及されている。
この本を読んで感じたことは、意外にも自分が知らなかっただけで(完全に自分の知識不足ですが)多くの日本商品や文化・芸能などが海外から高い評価を受けていて、実際にそれらの商品が海外で使用されているという事実だった。例えば、キッコーマンの醤油は、アメリカを中心とした海外での認知度が非常に高く、アメリカにおいては醤油のことをsoy sauceと言わずに”kikkoman”といっても通じてしまう程である。その他にも、日本の伝統文化、伝統芸能の分野における海外からの注目度は非常に高い。ヨーロッパでは自宅の庭に日本庭園を造ることがブームになっていたり、フランス・アメリカ・中国では歌舞伎の公演が定期的に行われるまでになっている。これらの日本の文化や伝統のことを統合的に見て、クール・ジャパンと言っているわけだが、その中心はマンガ・アニメ・ゲーム・映画などのいわゆるコンテンツ産業である。日本のコンテンツ産業は海外から非常に高い評価を受け、大きな注目を集めている。実際に、日本のアニメが海外で放送されたり(ポケモンは世界70カ国で放送)、日本の映画がハリウッドでリメイク版として放映され、莫大な興行収入をあげている(「リング」のハリウッドによるリメイク版の興行収入は二億五千万ドル)。
しかし、残念なことはこれらの日本のクール・ジャパンと言われ、世界から大きな注目を浴びている様々な日本文化の重要性に日本政府が気づかずに、目を向けていないことだ。もし、これらの文化を単に世界に発信するだけでなく、政府主体で日本の産業として展開したらどうだろうか。かつ、単に発信するだけでなく、クール・ジャパン産業として様々な文化を包括的に展開するのである。現段階で大きな注目を浴びている分野なのだから、統合的に産業化すれば大きな収益・経済効果が見込めるのではないだろうか。日本経済の建て直しのためにも、日本政府にはこれらのクール・ジャパン産業の具体的な海外への展開と政策が求められるのではないだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿