2009年11月13日金曜日

【ホンヨミ】国際金融入門【菊池】

 サブプライム問題や定期的に発表される経済指標など、金融に関連するニュースは頻繁に見かける。今回はこれらの問題をもっと広い視野でとらえたいと思い、本書を選んでみた。

正直、教科書のような本書の書評を書くのは難しいが、率直な感想としては、勉強した分だけ世界が広がって楽しい。少なくとも日経新聞は普通に読めるようになるし、バラバラに報じられる様々な経済ニュースがどことどこでリンクし、全体のどの部分に位置しているのか、体系的に理解することができるようになる。

 中でも、特に面白いと思ったのが、財政政策と国際金融の関連だ。自分の頭に定着させたいので、一連の流れをここに記しておきたい。70年代半ばから、公共投資乗数(財政政策がGDPにもたらす効果のようなもの)がどんどん低下した。その背景には、73年の「変動相場制への移行」や「資本の国際間移動の自由化」などが行われたことがあり、低下の要因となっている。以下、そのメカニズムだ。

 公共投資→様々な取引が活発化し決算のため貨幣需要が増加→貨幣調達のため債権の売却等増える→債権価格の低下→長期金利の上昇→海外からの日本債投資への乗り換え増える=円の需要高まる→円高になる→輸出額の減少、日本の国際競争力低下=公共投資の効果が相殺されてしまう

 このように、変動相場制における財政政策は理論的にはあまり効果がないと考えられる。本書には載っていなかったが、こんなケースも考えられる。

 公共投資→財源のため国債発行=民間から資金調達→金利の上昇→円高→以下同様

ただ、本書はあくまで入門書であるため、本当に世の中がこのように動いているのか、実体面も勉強してみたい。

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