2009年11月20日金曜日

【書評】クラウドソーシング【村山】

クラウドソーシングとは、不特定多数の人に業務を委託することで課題を解決する方法、つまり、集合知のことである。インターネットが全世界的に普及したことで、このような形態が可能となった。
本書の中で、クラウドソーシングネットワークサービスの一つとして「インノセンティブ」というサイトが紹介されている。このサイトでは、例えばP&Gの様な世界的な大企業に所属する研究員が年月をかけて取り組んだ挙句、解決できなかった課題などが投稿され、それらの課題解決に世界中の人々(crowd=群集)が取り掛かる。その結果、実際に、社内だけで解決を図る従来の方法と比較して、30%以上多くの課題が解決された。つまり、何が言いたいかというと、多くの課題を解決するのは、一人の才能のある科学者ではなく、世界中の群集の叡智(集合知)だということである。クラウドソーシングは、ペインが唱えた「多様性は能力に勝る」ということの象徴だと思う。

また、本書を読んでいて、業務委託ではないが、多様性ある集団が課題解決に向けて取り組むという意味で、私たちが現在行っている論文制作もクラウドソーシングに当てはまるのかなと感じた。例えば、私たちの班であれば、「gov2.0による政府のオープンプラットフォーム化」という課題の解決・提言のために、全く違う考えや価値観を持った四人が共通の課題解決を目指して、各人の知恵を合わせていくというように。一人の才能ある人間が解決策を考えるよりも、多くの人間から多様な考えを募った方が、沢山のより先進的なアイデアが出てくるのではないか、そう感じた。
最後に、「自分のために群集に何が出来るかではなく、群集のために自分に何が出来るかを問う」という言葉がやけに心に残った。

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