2009年11月20日金曜日

【書評】クラウド・コンピューティング:ウェブ2.0の先にくるもの【村山】

クラウド・コンピューティング(C・C)という現象を「サービス化」、「ボーダレス化」そして「オンライン化」という三つの観点から分析し、C・Cの課題や未来について言及している。C・Cを支える具体的な技術や、C・Cを利用した具体的なサービスがたくさん紹介されているので分かりやすいが、だからこそC・Cを詳しく知らないと理解するのに非常に時間がかかり、入門書というよりは、C・Cの入門書を読んだ上での新たな知識の構築といった印象を受ける一冊だった。
クラウドの本質は、「壁のない世界」を構築することである、この言葉にクラウド・コンピューティングという現象の説明が凝縮されていると感じた。個人的には、これまでクラウド・コンピューティングという言葉を聞くと、「データをネット上のサーバーに保存してるから、ネットワーク環境にいればそのデータをパソコンからだけでなく携帯電話からでも確認したり、引き出したりできるし、同様にインターネット経由で色んなウェブアプリケーション(ソフト)を自由に利用できる(SaaS)んだよな」とだけ考えていた。しかし、認識が甘かった。クラウドがもたらす「壁」の消滅はパソコンや携帯電話の間だけでなく、テレビやフォトフレーム、ビデオレコーダーなどの幅広い家電にまで広がっていくようである。例えば、テレビという家電の中で、自分の携帯電話にかかってきた電話を受けるといった様に。
クラウドは確かに便利で、コストを削減できるありがたい技術だが、一方で、クラウド・コンピューティングという技術への信頼と、クラウド・コンピューティングという技術を提供する企業を信頼していいのかという問題も残っている。つまり、セキュリティーとプライバシー(個人情報の流出)の問題である。これらの問題は、今後クラウドを利用していく上で切り離せない問題だと思う。
本書以外にもクラウド関連の本を読んでいこうと考えているが、今のところは獺の論文発表に非常に注目しています。毎回毎回、獺の発表を楽しみにしているので、クラウドに関する多角的な視点からの考えを聞かせて頂けたらなと思っています。今後とも、獺からは目が離せませんね。

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