2009年11月6日金曜日

【ホンヨミ!】ヤメ検【金光】

『ヤメ検 司法エリートが利欲に転ぶとき』森功

「ヤメ検」とは――かつて反社会的行為を取り締まってきた元検事が、弁護士になった人のこと。現役検察官時代に凄腕として、数々の犯罪を取り上げてきた立場の人が、一転してかつての敵を弁護する側で活動する。しかも、かつてやり手だった人であるほど、裏社会と言われるようなところでも名をあげ、そして時にはいきすぎて自らが犯罪に手を染めてしまう。

自分がかつていた組織と敵対するなんて、普通に想像してもなかなか難しい。しかもただの関係ではなく、正義をかけた対立である。私は、こんなに矛盾した存在があることを知らなかった。でも裁判になればいかなる被告人にも弁護人がつく。自分が被告人なら、検察側の事情に詳しい人に弁護を頼んで、無実までいかなくとも、執行猶予をとってほしいと考えると思う。自然な流れなのかもしれない。
この本ではすべて実際にあった事件を、ヤメ検という視点から描いている。みんな本当に精鋭エリートばかり。さまざまな思惑。心の裏を読み合う付き合い。からむ金、女性、権威。想像以上の世界が広がっていた。事実関係や話の展開、出てくる語彙が難しく、まだまだ全体を把握することも詳細を理解することもできなかったが、このような世界があること、いくらエリートであっても何がきっかけで抜け出せなくなってしまうのかを知った。はたから見るとおかしなことでも、その時自分の自尊心をくすぐられて軽い行動をとってはいけない。たったひとりの人間との出会いが、人生を大きく左右することもある。自分を見失わないようにしたいと思った。人を見る目、おごらない心は大切だと思った。

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