イノベーションという言葉もすっかり日常的なものなった。
ネットや交通網の進歩に起因するグローバルな水平統合が可能になったことがイノベーションを身近なものにしたのかもしれない。
本書にあった多くのイノベーションに関する示唆の中でも、特にイノベーションの対象が「見えるもの」から「見えないもの」へ移っているという指摘が興味深かった。
まったく新しいハードウェアを除けば、ほとんどのハードウェアの品質に差はない。PCや車も簡単に壊れることはない。このハードウェアの品質は「見えるもの」にあたる。
その一方でスターバックスはサードプレイスというコンセプトの下、コーヒーを飲む場所に付加価値を与えた。これが「見えないもの」のイノベーションだ。このようなイノベーションはコストを浪費することなく、商品の価値を高めることができる。
このような「みえないもの」のイノベーションは日本では例が少ない。これも技術にこだわる日本の視野の狭さに起因するのではないか。デザイナーやアートディレクターといった全体を見ながら調整する人々の地位がいまだに低いのも「みえないもの」の価値を見えないままにしている原因だろう。階層や職域にこだわらず、広い視野での全体最適を目指すべきだと思う。
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