2009年10月20日火曜日

【ホンヨミ!】日本のポップパワー【戸高】

中村伊知哉・小野打恵編著『日本のポップパワー』

 それなりに事前知識がある本なのですらすらと読むことが出来た。この本を読んで再び認識し直したのは、ポップカルチャーに対する日本政府の、クリエイター向けの教育や支援システムの欠如だ。
 そもそも日本は従来から文化の保存、発信に対して鈍いような気がする。イギリスではバンクシーといったアーティストが有名だが、彼のスタイルはストリートアートである。待ち中にゲリラ的に描くという手法をとっている。



 











 彼の作品がただの落書きとして消されてしまったこともあるのだが、保存しようという動きも強い。
 以前見たニュースなのだが(ソースは忘れてしまった)フランスかどこかで街中の落書きが問題となっていた。その落書きは、日本でもよくあるただの落書きもあるのだが、日本画のオマージュのような芸術性にとんだ作品も多い。そこで政府は市民に全ての落書きをプリントし、配布した上で、どの落書きを残すべきかというアンケート調査を行ったらしい。
 こういった落書きアートを日本でも残していこうといった動きは少しずつ見えてきているが、国民全体で参加して趣味を文化にといった動きは見えない。
 論文を進めていく上で、角川デジックスの福田社長が、「趣味で文化は育たない」という言葉を見つけた。まさしく日本の現状は、多くのアマチュアクリエイターが存在するものの、それは趣味の段階でしかない。彼らの才能を活かすためのプラットフォームをコンテンツホルダーが作ってやることが必要なのだろう。
 日本のポップカルチャーを世界に広めていく上で、政府が行うだけでなく、コンテンツホルダーがしてやるべきこともあるのだ。

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