2009年10月20日火曜日

【ホンヨミ!】ウェブはバカと暇人のもの【大賀】

中川淳一郎著「ウェブはバカと暇人のもの-現場からのネット敗北宣言」(2009年、光文社)
2009年10月20日読了

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 なかなか衝撃的なタイトルだ。衝撃的というか、挑発的というか。事実、この本は挑発にあふれている。私のような「インターネット中毒」の人間は作者に言わせればひきこもりやニートと一緒。ただの暇人なのだ。そう言われるとカチンときてしまう。というわけで、本書の最初の方はとにかく、文字通り「イライラしながら」読んだ。WEB2.0は大したことないって言ってるくせに、この作者はインターネットを最大限に利用した仕事をしているではないか。何という矛盾。その癖、インターネットユーザーを馬鹿にしたような語り口。腹が立たない方がおかしい。第一筆者は「インターネットで会話を楽しんでいるユーザーの言葉遣いは稚拙で馬鹿だ」と言っているけれど、それは一種の「ペルソナ」であって、別に彼等が本当に馬鹿かどうかはわからないじゃないか。‐以下悶々。
 しかしふと考えれば、まあ、私だって、インターネットを信じて活用する一方で単なる「遊び」に利用している面もある。梅田氏の言うようなWEB2.0は確かに凄いとは思うが、それがどうした、という感じもする。こうやってキムゼミブログに書き込んでいる今も、別の窓(ウインドウ)では2ちゃんねるが開いているし(ちなみに私は歴史関係のスレが好きだったりする)、うっかり誘惑に負けてニコニコ動画を見てしまうこともあるし、mixiのエコー機能を用いて友人たちと他愛のない会話を繰り広げることだってある。結局のところ、私の生活の大部分を占めているインターネットは「暇つぶし」と「娯楽」の意味合いが強いのだ。
 筆者は言う。「ウェブの仮想世界においては、居酒屋や放課後の教室などで繰り広げられるどうでも良くてくだらない会話がほとんどである」と。確かにその通りだ。その「他愛の無さ」を、やれWEB2.0だ、やれ顧客の素直な意見だ、と言って神格化して利用しているのは企業だが、はたしてそれが正しいのかどうか。本書を読んだ後に色々と考えを巡らせてみると、甚だ疑問である。

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