2009年10月8日木曜日

【ホンヨミ!】ソーシャル消費の時代【菊池】

 本書は、「2015年の消費パラダイム」という副題がついているように、今後の日本の社会的変化を予想し、それに伴って生じるであろう新たな消費の形態やビジネスについて述べている。著者は電通ソーシャル・プラニング局長という肩書を持ち、様々なキャッチフレーズや造語(カリ婚やイエメンなど)を用いて未来の消費について述べているのが印象的で、このあたりは本当に上手いなと思うものが多かった。

具体的なビジネスモデルにまで言及しているところも大きな特徴だ。確かに誰でも思いつきそうなものはいくつかあったが、本書において重要なのはあくまでもそれらのビジネスの基礎となるコンセプトだ。様々なデータを緻密に分析し、それらを基に生み出された未来のコンセプトは説得力がある。ただ、現状の分析からの延長という色が強く、どこか面白味に欠けるような印象もあった。技術革新の延長だけでは宇宙には行けないのだ。

いずれにせよ、ここで思ったのは、ロジックさえ通っていればそれなりの納得を得られるということだ。「現代社会は○○化が進んでおり」→「今後××によってさらに○○化が進むだろう」→「そこで未来社会では△△のようなニーズが生まれる」。筆者は常にこのパターンを用い、未来予測を行っている。これは当たり前のようで、実はなかなか難しいと思う。分析を誤った時点で的外れなものとなるし、各要素間に飛躍があれば説得力に欠ける。そんなハードルもいとも簡単にクリアしている本書は、えーまさか!と思えるようなものでもなんか納得できてしまう、読み物としてはなかなか面白い一冊である。

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