2009年10月9日金曜日

【ホンヨミ!】クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの【菊池】

 本書は、いきなりクラウドの概念を説明しはじめるのではなく、電子機器を使っている際の身近に起こっている変化(地図ソフトの消滅やWindows Vistaの失敗など)を次々に取り上げていく。そして後半にようやくクラウドという種明かしが待っているような、そんな構成であり、読みやすく面白い。

 本書を読むと、なぜgoogleが独自のブラウザを開発したのかや、Azureを打ち出したMicrosoft社の狙いなど、世の中の企業の動きを読み解くヒントが得られ、そこには各社におけるクラウドの位置づけというものが見え隠れしている気がする。これらの例は、私たちのグループ論文において、クラウドコンピューティングが各主体に与える影響を分析する際に特に必要になってくる要素だと思う。クラウドに影響を受けた主体のとったリアクションとは、各主体が独自にクラウドというものを消化し位置づけ、その結果に対する応答であるからだ。このような事例を多く集め、分析していきたいと思う。

 このように企業には、それぞれにとってのクラウドの位置づけというものがあるだろうが、本書では最後に、その先の未来にはクラウドの結果としてユビキタス・コンピューティングが定着するのだと述べているのが印象的だった。現在、クラウドによって同じ情報が扱えるなど、ケイタイとパソコンのシームレス化が進んでいるのは確かだが、やがてはあらゆるものへとそれが波及するという筆者の予想を聞くと、クラウドはなんだかまだ通過点のような気もする。

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