2009年10月16日金曜日

書評 リスクファイナンス入門 

ITと保険とのかかわりを知りたかったので手に取った。予想していたとおり、本の半分はハイレベルな数式で、数学が苦手な僕はそれを読み飛ばし、概念的な部分だけを読んだ。

まず、保険の5つの原理。危険の分担、大数の法則、収支相当の原則、給付反対給付均等の原則、利得禁止の原則がシンプルなエッセンスとして新鮮だった。リスクの保有と分散、再保険の仕組みなどを大まかではあるが知ることが出来た。

一番知りたかったITビジネスとリスクの章は精読した。IT投資のリスクはITそのものが持つ特徴的リスクに加え、大きく分けて二つあって、「パッケージソフトの導入リスク」「アウトソーシングのリスク」に大別される。ネットワーク保険というのは、もちろん昔からあるが、ITのリスク評価が複雑であることからオーダーメード保険である。また、ITに対する保険は単なる損害補償だけではなく、セキュリティ診断やコンサルティングもかねる場合が多い。

しかし、やはりまだまだこの手のビジネスは未発達である。この章の最後は、「ITリスクは21世紀のリスクともいわれ、リスクファイナンスの新たな展開が求められている。」「事故時の強制捜査や改善命令の法制かも検討されている。」といった具合で締めくくられていて、ITリスクそのものが未発達であることが伺える。尚、この本は平成16年に出版された。

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