2009年10月14日水曜日

【ホンヨミ!】ディジタル著作権

   ディジタル著作権/情報の私有・共有・公有 名和小太郎

 論文の関係で読んだ2冊。前者が後者をより細かく記述したもので、内容はほぼ同じあった。
私たちの班では、グーグルブック検索とそれが日本の既存の出版社に与える影響について考える方向なので、その過程で必然的に書籍のデジタル化について扱うことになるため、読んでみた。

 著作権法は、従来想像的な作品の権利を保護するものだ。作品は、記号と記号を媒体するもの(紙、DVDなど)に分けられる。さらに、記号は表現(文章や絵など)とそれが表わす意味とで構成されている。ここで、著作物として保護されるのは表現であり、意味の一部は特許で保護される。かつては記号と記号媒体は不可分であり、それはほとんどの場合、権利者に代金を払って享受できるものであった。しかし、デジタル化によって、記号と媒体が遊離してしまっているのが現在だ。作品という遊離物はネット上を浮遊するようになる。こうなると作品が有形であった時代のように、直接的に作品を著作権保護することができなくなる。その結果、どこまでが著作権で保護されるべきものなのかがあいまいになる。ネット上で公有・共有されていい範囲なのか、権利者のインセンティブを奪ってしまうものなのか。
 筆者は、作品や権利者によって保護する基準を複数設けていくことが必要だと述べている。どのような形の作品も一律に先天的に著作権が与えられてしまうのではなく、権利者の方が意志表示をしていくべき時代が来たのだと思う。作品が無償で使用されていくことで、必ずしも権利者が不利益ばかりを被るわけではない。社会にとってよりプラスの結果が生まれるような新しい基準を模索していくべきときがきているのではないだろうか。まさにグーグルブック検索の問題はそんなことを問いかけている。

 

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