3年以上前に書かれた本ではあるが、とても興味深い内容だった。中でも面白かったのが、第四章の「ブログと総表現社会」である。ここでは、既存の検索エンジンの「能動性」という限界について示されている。ここで言う「能動性」というのは、現時点で検索エンジンを用いれば、関心を共有する書き手と読み手が、検索エンジンに入力された「言葉の組み合わせ」を通して出会うことまでは可能であるが、それは依然として能動的なメディアであるということだ。またもう一つ問題点として、今の技術では、検索対象の表現行為がテキスト情報ではなく、写真、音楽、映像といったマルチメディア情報になった場合、それを検索するシステムなどが現在は全く存在し得ないということがあげられている。このように当然ながら、「言葉の組み合わせ」すら入力されていない状態では、検索エンジンは何も返すことはできないのが現状である。
このまま受動性という面でのブレイクスルーがない限り、総表現社会の可能性はそこでとどまるとして、筆者はここで「検索エンジン×自動秩序形成システム」の構築に期待を寄せている。それは、検索エンジンは提供者は、世界中のウェブサイトに「何が書かれているのか」ということを俯瞰できるとともに、世界中の不特定多数無限大の人々が「今何を知りたがっているのか」ということも正確に俯瞰できる可能性をもっているからだ。
本書にはこの他にも興味深い点がいくつか述べられていた。あとでこの本の参考文献をチェックしてみようと思う。
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