2009年10月16日金曜日

【ホンヨミ!】新聞がなくなる日【大賀】

歌川令三著「新聞がなくなる日」(2005年、草思社)
2009年10月15日読了

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 新聞業界について学ぼうと購入しておいた本、そのさん(?)‐ようやくこれを読むことができた。長かった。なぜなかなか読む気になれなかったと言えば、どれもこれも似たようなことばかり書いていて、「もうわかったよ…」と食傷気味になってしまったことが原因である。本書は今までに読んだ本の中でも割と古い時期に書かれたものというだけあり、事例や考察は真新しいものではなく、面白いとは言い難かった。ただ、「新聞崩壊」の流れを取り敢えず押さえておきたい人にとっては良い本だとは思う。
 本書の筆者である歌川氏は、元新聞記者というだけあって文章が上手いのは当然だが、何よりも比喩的表現が上手いと思う。その部分は非常に読んでいて楽しめた。最終章に述べられている、「情報の『定食』と、お気に入りの『一品料理』」という言葉は的を射ている。つまり、かつて人々は、新聞やテレビといったマスメディアを介して多種多様な情報を得ることに楽しみを見出していたが、現代では、「自分の好きな物事に関する情報」だけ得られればそれだけで満足なのだ。amazonの渡辺さんがゼミにいらした時、私はその現代の人々の傾向を「情報のタコ壺化」という言葉を用いて主張した。(ちなみにこの言葉も、とある新聞記者の方から教えて頂いたものである)‐さて、では、一品料理の次に来るのは何だろうか?―それは、「自分で料理を作って楽しむ」ことではないだろうか。そう、まさに、「クラウド」の力だ。

 新聞は崩壊するかもしれない。しかしそれは、過去の形が変わるというだけで、ジャーナリズムの精神が失われることにはならないのではないか。悲観し過ぎてもどうしようもない。もう少し、未来を明るく見てみよう。
 

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