2009年10月8日木曜日

【ホンヨミ!】フランスに学ぶ国家ブランド【大賀】

平林博著、「フランスに学ぶ国家ブランド」(2008年、朝日新聞社)
2009年10月7日読了

***

 三田論のテーマにしようかなーと思っていた「カルチャー産業の世界発信とソフトパワー」について、日本と海外においてはどう違うのか?を知るために読んだ本。三田論で扱うことはなくなったが、本書は非常に勉強になった。「フランス」という国は、そして国民は、自国の文化を愛し、それを誇るべきものとして世界に発信している。その姿勢によって、フランスの国家ブランドは世界的に輝きを持ち始め、現に「2006年度外国人観光客受入国ランキング」では1位だ。
 一方、日本はどうだろうか。私たち日本人は、漠然としたイメージで、「日本文化は世界的に有名で人気だ。日本に観光に来る外国人は多い」と思っている。しかし本当にそうなのだろうか。先ほどのデータの中における日本の地位は30位であり、非常に低い。また、外国人が好む日本の観光地はどこなのか、ということを調べたデータによれば、1位築地市場、2位ディズニーランド、3位ポケモンセンターとなっており、意外なところを好んでいることがわかる。京都や浅草よりもディズニーとポケモンセンター。ポケモンはとにかく、ディズニーはもともとはアメリカのものなのに・・・と思うのは私だけではないはず。
 日本は、国をあげて、あるいは国民たちが自ら「自国の良さを世界に発信しよう」という気持ちがあまりないのではないか。その結果が、先日行われたオリンピック開催地選びでも顕著に表れたように思う。リオデジャネイロに決まった時、国民たちが喜ぶ画像を見ていやな気持を抱いた人はいないだろう。日本はどうだったか。一部の人々が騒いでいただけで、国民は対してオリンピック開催に興味はなかった。日本という国を世界に発信する良いきっかけになるとも思いはしなかった。その「温度差」が、日本が選ばれなかった所以なのかもしれない。

 日本人は「愛国心」を嫌う傾向にある。それは、かつての軍国主義下の教育を思い出させるからだろう。しかし、国を愛し、国の文化を愛し、それを誇るべきものとして世界に発信する行為のどこが悪いことなのだろうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿