『世界を信じるためのメソッド』 森達也
メディアコムの試験を受ける前に、森達也さんの本を何冊か読みました。彼はオウム真理教の報道のしかたをめぐって、勤めていたテレビ局をクビになり、いまはフリーで映画や執筆、番組制作をしています。『放送禁止歌』は私にはとても衝撃的でした。
それまで漠然と、テレビやネットに載っていることを鵜呑みにしちゃいけない、と思っていたことに対して具体的な理由づけなどが書かれていて、新たな視点に気づかされたきっかけでした。
この本は児童書なので、説明もわかりやすく、口語体で読みやすい本です。でも内容は決して浅くなく、いろいろな提言、アドバイスにすべて事実の裏付けがあります。時にはデータ、時には歴史的背景、そして筆者の経験など。ここがポイントだと思います。
”言うことは簡単だけど、裏付けがないと説得力がないんだな”と思いました。
データがあるからと言って信用できるわけではない、というのも本書に書かれていました。でもデータや関連した知識を示せることは、信憑性が増します。
自分で見て聞いて経験したことももちろん説得力があります。何より本人が一番熱く語れるからです。でも独りよがりの経験では視点が偏ってしまうかもしれません。
裏付けに必要な知識は机上の勉強で身につけることができます。同じ本を読んだら、得られる知識はきっと誰が読んでもそれほど差はありません。
経験は実際に自分の体を移動させて、五感をフル稼働させて吸収するものです。同じ経験をしても感じ方、受ける刺激はさまざまです。
じゃあ、今の自分にはどちらが必要なの?!
――答えはわかりません。理想は、もちろん両方身につけることです。
最近の私は後者がより大切だと思っていました。いろーんなものに興味がある時に、実際に見たいし聞きたいし触りたいっ!!と思っていました。でも、単なる興味だけじゃなく、知識があって初めて楽しめるものもある、とこの夏休みで感じました。旅行での建物ひとつとっても、歴史の背景を知って実物を目にすると全然違います。これは単なる準備不足かもしれません。でも知識の引出しをいっぱい持っておくことは、説得力につながります。常識や教養と言われるレベルのこともです。昔習ったのに、短期記憶ですっかり抜けてしまっています。昔の自分に会えるなら、しっかり覚えておくんだよ!と言ってあげたいです。
でも同時に、いま、自分が自信を持って熱く語れるナニカが欲しい!と思っているのも確かです。他の人にはない何か。ちょっと面白い自分だけの世界。もしかしたら自分が気付かないだけであるのかもしれないけれど、見つけられたら!と思います。
ちょっと人とは違う深いものが欲しいと思いながら、初めての場所に行ったり見たり触れたり、新しく出会った人の話を聞いたり、の挑戦をしながら、
人並みな知識も欲しいと思って、自分で不足に気付いた部分の知識を、本を読んだり調べて補って、
という夏休みを過ごしています。
このブログを書いて、自分の文章に頭を悩ませている間に成年になってしまいました。
昔はもっとかっこいい人になっているイメージでした…
無理をして背伸びしすぎずにいきたいです。
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