2009年9月18日金曜日

雇用。

 
 先日、私はホームレスやネットカフェ難民の人たちへの炊き出し活動をした。
通称“うなぎ公園”と云われる狭くて細い池袋駅前公園に、100人近くの“住所を持たない人々”がささやかな夕食を求め、集まった。

 
 現在、日本の雇用問題は日々深刻化している。今週発売の『週刊エコノミスト』によると、7月の完全失業率は過去最悪の5.5パーセントを記録している。民主党は「原則として製造現場への派遣を禁止。日雇い派遣、スポット派遣も原則禁止」と、マニフェストに記している。年越し派遣村報道などのマスコミの影響もあり、派遣の禁止を主張する人々が多数存在する一方、民主党の派遣を禁止したマニフェストに異を唱える声も多々見られる。
その理由のひとつとして、派遣の禁止は結局さらなる雇用問題の悪化を招くということが挙げられる。何故なら、いくら派遣を禁止しても、1999年派遣法改正以前に存在した請負契約や職業紹介などにその名を変えることによって、派遣と同内容の雇用を続けることが可能だからだ。
 また、もし派遣を禁止したら、BRICsを始めとした諸外国との低価格競争に負けないために、日本企業は外国に雇用や工場を移すことになり、一層日本人の雇用が減少する結果となることも予想される。
 上記のように、派遣に関する雇用問題は、派遣を禁止するという直接的で短絡的な政策ではなかなか解決しないようだ。

 
 夜が更けたうなぎ公園で、延々と並ぶ人たち一人ひとりにお弁当を配っているとき、ネイルに飾られた私の手からしわしわの両手で大事そうにお弁当を受け取ったおじさんに言われた「ありがとう」という言葉が、とても衝撃的で、胸が熱くなった。
 民主党のマニフェストが正しいのか否か、私にはまだわからない。しかし、肝心なのは正規とするか非正規とするかではなく、かれらの待遇をいかに保障し改善するかといった、もっと労働者側の視点に立った保護規定なのだと強く感じた。

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