『ゲームの変革者』A・G・ラフリー/ラム・チャラン著、斉藤聖美訳
P&Gが「変化する」必要のあった2000年。社内では分野横断的に。社外ではもっとオープンに。
そのためにはイノベーションを日常的業務に組み込んでいく必要がある。ここでのイノベーションとは、新しいアイデアが収益を生み出す形に変わることを言う。
新しいアイデアが製品やシステムと言った形に変わるだけでは十分ではない。業績に反映されてはじめてイノベーションだと言えるのだ。
P&Gは消費材、日用品メーカーである。日用品を使うのはもちろん消費者である。ゆえにP&GのボスはCEOではなく、消費者なのである。
よってP&Gだけに限らず、すべての消費材メーカーのイノベーションは消費者主体で行われるのが望ましい。技術が市場より先を行き、いくら革新的な商品を市場に投入したとしてもそれが消費者に必要とされないならばなんの価値もないのだ。
故に、技術開発部門とマーケティング部門は別個のものとして運営されるのでなく、場を、目標を共有しながら働くことが重要となってくる。
しっかりとした会議だけではなく、ちょっとした立ち話で目標達成のためにプロジェクトは進んでいるのか?何か問題はないのか?とイノベーションリーダーが簡単に質問することが可能で、随時状況を把握しながらプロジェクトを進めていくことができる。
また、「消費者がボス」といっても、その消費者をしっかりとセグメント化し、ターゲットを明確化していかなければ効果的なアプローチができない。「誰」を明確化し、セグメント化し、正確にターゲットを絞っている企業の例としてレゴが取り上げられている。
レゴは製品テスト、共同制作、特別仕様(カスタム)の企画をしてもらうといった3段階で消費者にイノベーションに参加してもらっている。レゴは子供だけでなく、大人にも人気が高い玩具ブランドの1つである。そのことに注目し、大人ユーザーの意見を広く取り上げるため、レゴファクトリーのサイト(http://factory.lego.com/)を立ち上げ、ユーザーが無料で3Dのモデルを実際に創ることができるサービスを展開した。
P&Gが独自に消費者の視点を理解するために行っているプロジェクトとしては、実際に消費者とともに生活してみること。これで消費者が商品を買う際に、商品を使う際に(この2つが「真実の瞬間」であり、消費者を本当に理解するために最も重要な点)どのような点に注目しているのかを把握し、また商品が家庭でどのような場所に収納されどういったタイミングで用いられているのか、アンメットニーズ(存在するのだが、まだ気づいていない、もしくは充足されていないニーズ)の発見などに役立てる。
この本を読んで思ったのはP&Gといえどあたりまえのことをやっているだけということだ。しかしそのあたりまえを徹底して行うことが難しい。
ブレストにおいても他人のアイデアを否定しない、他人のアイデアに便乗してさらに派生させていくなどは日常で簡単にできることだがどうしてもそれを徹底することができない。むしろこの本を読んで忘れかけていたことに気づかされた。
失敗から学ぶといった点もそうだ。自分自身あまり失敗を活かしきれていないような気がする。「何が」「どのように」「うまくいかなかったのか」についてしっかりとまとめ、またそれに関わった人たち全員がレビューすべきである。
プレゼンチェックシートがeveryone should be leaderの精神のもと、変わろうとしているのが、P&Gっぽくなりつつあるのかなと思う今日この頃。
2009年9月27日日曜日
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