2009年8月1日土曜日

【ホンヨミ!】デカくて悪いか!【斉藤】

 デカくて悪いか! いじりめぐみ

 本書の筆者であるいじりさんは、かつて親の仕事の関係者であったため、思わずこの本を手に取ってしまった。日本人女性には珍しい慎重177センチもの巨体を持ち、毎日酒豪っぷりを発揮しながら広告代理店で徹夜が当たり前の毎日を過ごした。そんな中自分より身長の高いアメリカ人男性と出会い、国際結婚をする。日本人というだけで姑から差別をされ結婚を拒まれてきたが、正面から戦い「日本人でもこれだけやるんだ」という意地を見せつけ結婚の許可を得る。そして日本で就職をしてITビジネスマンとなった夫(まだ新大久保の小さな名も知れぬ企業だったマイクロソフトは、当時英語しか能のなかったこの男を唯一採用)とともにシアトルに移住、ITベンチャー企業の福社長を経てクリエイティブハウス「IJIRIYA USA」を設立。

 本書はエッセイ風に書かれているが、そこから得られるパワーは大きい。筆者は自分自身のことをボールに例えている。『地面にたたきつけられ、壁に投げつけられ、思いっきり跳ねかえる。跳ねかえりながら、「こっちのアングルに飛んでいくとなにかおもしろいことがあるかもしれない」と未知の世界を、新たなチャレンジを、楽しみに生きている』 

筆者が結婚した90年代前半はまだあまり国際結婚が普及していなく、アジア人だから、日本人だからという差別を受けることも多かったのであろう。しかし筆者は日本人と結婚しては自分の長所(豪快さ)が発揮できないと思い、既存の概念からはみ出し自らよりよい機会を探しに「外」へ出た。上の言葉は、より流動的になった社会での組織同士、対人同士の関係を築こうとした先駆者であることを表しているといえる。既存の概念の中にとどまっていれば、やてくるかもしれないよりよい機会を逃してしまう。やってきた機会は絶対に逃さないというパワーには目を見張るものがある。また、筆者の夫は、日本で就職活動をしていたが、英語しか能がないためにことごとく企業から受け入れられなかったが、唯一採用したのがマイクロソフトであったという点も面白い。あの時代からマイクロソフトは既に、「外」のものを受け入れる体制ができていたのだなと思った。

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