2009年8月18日火曜日

コンテンツ学会サマスペ第1回

昨日はコンテンツ学会の初回だったので、まとめがてらに内容の共有をします。ちょっと長いですけど。


感想

 以前ゼミにお越し下さった時には各自の質問ベースだったので今回は中途半端だったお話が体系的に聞けた。と言っても、途中疲労困憊で意識が何回も飛んだんで(苦笑)、メモにも読めないものが多く苦労した。(ちなみにこのとき役に立ったのがtsudaってくださった方々や宮村さんのKMDの講義ログだった。)自分の確認のため、またtsudaったtweet統合のためのログをまとめる作業は追体験のようで楽しかった。

 渡辺さんが質疑応答で答えていらっしゃった様に、現在ネット通販でも商品をただ陳列するだけでは売れない時代となった。消費者同士のコミュニティを活性化することがすなわち購買に結びつくのだという。これは商品データベースをただ拡大するだけではシェアを奪うことは厳しいということであり、継続的に購買を続けてもらう「売場」ではなく、「市場」そのものを構築することが必要なのではないかと感じた。また、商品の取り扱いでいうと、wish listの非Amazon取り扱い品の様に取り込みが重要になってくると言えよう。

 今回の講演でいくつかの領域において日本のネット上への制度改革の障害となっているものがはっきりとした。具体的には法や利害集団などであるが、この障害がなぜ存在するのかという目的や意図をすりあわせることなしに、ただ闇雲に改革することもあながち良いとは言えないだろう。


以下まとめ

(based on 宮村さんの講義メモ・Tweet http://twitter.com/search?q=%23cgakkai

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渡辺弘美氏「日本はネットネイティブな国になれるのか」  

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ネットネイティブ:社会経済活動でネットが第一義的になっていること

nn(net native)度:ネットとリアルの利便性の度合い


nn度1:利便性で「ネット>リアル」


例1)音楽のDL購入。

海外…DRMフリーが主流になりつつある。

日本…DRMフリーは実現できていない。(権利者からの許可が得られていないため)

→音楽データの自由度では日本は遅れを取っている。


nn度0:ネットでは処理出来ず、リアルのみで処理可能。


例2)お金の送金。

海外…Paypalがデファクトスタンダードに。

日本…定額給付金で振込手数料が発生。Paypalは銀行法でアウト。

※日本のPaypalユーザーはシンガポール経由で、日本の法律では保護されていない。

※麻生内閣の資金決済に関する法改正で、Paypalのような送金ビジネスが出来る?

→マネーロンダリング防止法の本人確認がまだネックに。(ネット上でアカウントを作るには住基カードが必要になる)

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ドアデスクの話、創業時のビジネスモデルの話

2兆円ほどの収益を上げ、その半分がUS以外の地域での売り上げ

73 categories(Amazon.com)/ 45 categories(Amazon.co.jp)でサービスの差


日本でのKindleの課題

・書籍の最終稿のデータの管理者の特定問題

・XML形式になっていない

・図表が別の会社に移ってしまっている

・再販制の問題(電子ブックは再販の制限を受けない、再販による改変への権利者の想い)


Amazonの各種イノベーション

・affiliate(アーティストのアフィが7%)

・personalization

・recommendation(Attention>Interestを目指した)

・targeting(mail)

・share(顧客によるrating。機械的なので衆愚化?まだまだ発展段階)

・wish list(Amazonで扱っていない商品も載せることが出来る)

・Amazon Remember(iPhoneのモバイルアプリで写真を撮ると類似品をピックアップしてくれる。写真認識ではなく、メカニカルタークが代わりに探す)

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日米のネットネイティブ度の差のキーワード

・personalization

・social

・user experience

・virtual&real

・open


Personalized media(メディア、広告における)

例)NY TimesのMy times beta

iGoogleのように、読者によって関心のあるページを最初に表示できる

(BBCなどのほかのメディアのコンテンツもRSSで持ってくることが出来る)

→サイトの滞在時間を延ばす狙い


Vote

例)digg

vote機能によって、ここだけ見ればユーザの関心ある情報がわかるようになっている


Celeb + Visual Search

例)like.com

画像認識を利用してそれと同じ商品を探したりする


Market Place

電通博報堂いらなくなる


Social Media News

例)GM Europe

blogライクなサイト。会社が出したリリースに対してコメントを付けたりできる


Internet TV

例)hulu


Physical Interaction

→今後はハードを使ったインタラクションがメジャーになる?

例)MSのSurface

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日本と海外を対比した時に政策で決定的な違いが表れていることが。

例)ヘルスケア

・「一般医薬品の郵便等販売規制」に対する厚労省の見解

→パブリックコメントの参加者の意見を反映させる仕組みは無かった

・議事録upが遅すぎる

・レセプト(診療報酬)のオンライン化

→処理に数ヶ月かかる紙ベースから、オンライン化しようとして決めていたのが、一部の医師会や開業医の反発を受けて延期

・遠隔医療

→対面診療ができないと原則できないことになっています。例外は離島や一部の疾患のみ。

・電子処方箋

→電子データでカルテがあるのに、①薬局のフリーアクセスという問題(小さい薬局の排除になりかねない)から薬剤師会が反対している②診療録の外部保存の禁止、この2つの理由で未だに紙しか許されていない


・GoogleのPersonal Health Record

・電子カルテ、処方箋を自動的にImportできるし、匿名で第3者に情報を公開し、web上で色々なサービス(セカンドオピニオンなど)を受けることも出来る

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例)政治

・Obama cloud

→Flickr+Photosynth、Twitter(62機関以上)

・公職選挙法

→選挙期間中以外に選挙運動してはならない。選挙期間中はネットの利用は禁止。

・電子政府

→eTax。公的個人認証ソフトウェアをD/Lさせて、普通ありえないような処理を普通の人にやらせている

・「オープン・アイデア」

アメリカ:Change.gov

→国民から提案して、投票してください(diggみたいなの)で、これのシステムを提供しているのがsalesforce

イギリス:E-Petitions

→オープン・アセットとして警察署の所在位置などの情報を再利用可能な形式で公開しており、面白い事例については2万ポンドの賞金もあり

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例)教育

Kindle DX @University:教科書の電子化

・USのSchool of the future。

→教科書の配布停止、教科書の電子書籍化、電子黒板、ドアの開閉もRFID化する?

・日本は一時期流行ったものの、最近は投資が止まっている

→補正予算でIT増額?

※学校関連での障壁として、某インターネット系大学を作った人の話だと保健室がないから、体育館がないから駄目だという物理的な設置基準で国に没をくらって苦労したらしい。 

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Traditional vs Net Native

画一的 vs 個別化

一方向的 vs 双方向

提供者側 vs カスタマーオリエンテッド

閉鎖的 vs オープン

→日本は少子化でデジタルネイティブ人口が少ない、

 デンマークなどの国と比べるとネットサービスが全世代的には普及していない


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