2009年7月3日金曜日

【ホンヨミ!】日本のポップパワー【斉藤】

 世界中で認められ人気のある日本のポップカルチャー。その価値を一番発見できていないのは日本かもしれない。日本にはポップカルチャーを全面的に推進してバックアップしていこうという政策がない。ポップカルチャーの性質上、著作権関係が重要になってくるが、その辺も未だ整理されていない。ソフトパワーとしてのポップカルチャーというコンセプトで本書は書かれている。日本のポップカルチャーは国を代表する文化として日本人が積極的に発見・開発したものではなく、外部者、つまり外国人によって発見されることによってここまで日本のイメージ形成に貢献していると言っていいだろう。
 
 ポップカルチャーは現在世界中でも渦中にあるものであるし、その中心地は日本であるだろう。そんな日本自身が文化政策としてポップカルチャーを公に推進していくような環境が整えることは必然であるように思える。しかし私は疑問に思うのだが、日本のポップカルチャーとははたして公に推進していったとしてその価値が失われることはないのだろうか。そもそも日本のポップカルチャーはオタク発祥である。彼らは自分の趣味に打ち込むために公の社会から隠遁したようなかたちで生きてきた。もとはといえばポップカルチャーはそんな彼らから発祥した「裏の文化」といえるだろう。価値はそこにあるのではないだろうか。礼儀正しく、かつ国際社会でも活躍する世界のキーパーソンというイメージのある日本。そんな国では意外にも裏の世界があり、そこで生まれた文化だからこそ希少価値もある。世界の人々の裏の世界への興味が集約されたところにこの日本のポップカルチャーは生存しているのではないだろうか。

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