2009年7月3日金曜日

【ホンヨミ!】テレビ進化論【斉藤】

 以前博報堂に企業訪問させていただいた時、代理店は広告を制作する際にマーケティングを行ってその商品の課題を抽出しているが、最近広告市場は冷え込んでいる、マーケティングで得た商品情報や顧客情報をもってメーカー側の商品開発のコンサルティングにも着手しているというお話を聞いた。商品を宣伝するだけではなく、商品と顧客を上手く出会わせる仕事だ。最近のメディア業界のトレンドはまさにこれだといえる。ウェブ上のプラットフォームは、ユーザーの履歴などの個人情報から次はそのユーザーに適しているページに誘導する。さらにその個人情報をオープン化して、プラットフォーム同士の連携を図ればさらにユーザーにとっても利益になる。本書で提示されている「次のテレビ」は、マッチング技術と個人情報ビジネスでこれから生き伸びていくのがよいだろう、というコンセプトだ。放送と通信が融合し、テレビと私たち視聴者の関係は双方向になりつつある。むしろユーザーといった方がいいかもしれない。アクトビラなどプラットフォームがユーザーの情報を管理して、それを他のテレビ関係の事業者に売る。そんなビジネスが展開される日も近いかもしれない。またユーザーの情報をもとに、最適なコンテンツが自動で提供される、というサービスもテレビ上で起こり得るかもしれない。いづれにしろ、「次のTV」ではブロードバンド・受信装置・コンテンツ配信事業の3層が重要になってくるだろう。そんな中で既存のテレビ局の立場がだんだん厳しくなってきている。しかし、テレビをテレビたらしめるのはやはり個々のテレビ局の番組ではないだろうか。私たちは「次のテレビ」のような使いこなせるテレビを夢見ると同時に、依然として「視聴者」でありたいと思っているのだと思う。「次のテレビ」の流れは今後加速していくだろう。2者が共存できるような環境を考えていきたい。

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